DiaboLiQuE (デアボリカ)

1998

『DiaboLiQuE (デアボリカ)』は1998年にWIN用として、アリスソフトから発売されました。

『デアボリカ』は輪廻転生の物語であり、同時に不老不死の意味を問うた純愛物語でもありました。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

あらすじ・・・
不老不死の絶対支配階級種族デアボリカが統治する世界。
異端のデアボリカアズライトは、ある田舎町で凶(まがき)を狩る仕事を請け負う。
しかしデアボリカに対する町の人々の恐怖心から、アズライトは町外れの民家の一室に寝泊りする事となる。
そしてデアボリカを恐れ疎む町の人々は、アズライトの元に滞在中の生贄として一人の少女を連れてくる。
連れて来られたのは、慰み者として町で飼われている少女レティシアだった。
このレティシアとの出会いが、アズライトの安息の地を求める旅路の始まりとなる。

<ストーリー>

輪廻転生の物語って、自分は大好きなんですよね。
それだけでも十分刺さってきやすいです。

『デアボリカ』もその中の一つ。
主人公アズライトはレティシアと出会い、幸せの意味を知ります。
しかし、幸せになった矢先、不幸のどん底に落とされることに。

レティシアはその後転生し、アズライトは転生した彼女とまためぐり合います。
しかし、そこで待っていたのは、またしても二人の間が引き裂かれるという現実。

ゲームではこれが繰り返されます。
何度引き裂かれ、別れる羽目になっても、それでもレティシアを探し続けるアズライト。
暴力的な描写が多くても、これは紛れもない純愛物語なんですよね。

『デアボリカ』は輪廻転生物として十分過ぎるほどに面白いです。
でもね、全5章総計40万字でしたっけ。
輪廻転生だけなら、このボリュームは必要ないでしょう。

しかし、このゲームにはそれだけのボリュームを要する必要がありました。
人間ではなく、ロードデアボリカという存在であるアズライトは、肉体的にも最強な上に不死の存在でもありました。
しかしその一方で記憶をなくしており、また精神的には非常に弱い存在だったのです。

最初は最愛の存在を失くしたことから、自分を見失ってしまったアズライト。
幾度となく訪れる別れを経験するにつれ、彼は成長していきます。
死による別れ。
それは、残された者には最愛の存在を失う悲しみがありますが、死ぬ方だって悲しみが、つまり最愛の存在を残して、この世を去らなければならない悲しみがあるんですよね。

不死の存在は、前者の失う悲しみは何度も経験するけれど、後者の残して去る経験をすることはない。
不死の存在意義についてアズライトが理解し成長するには、このボリュームは必要だったのだと思います。

輪廻転生に不死の存在意義、更に退廃的な世界観と、様々な要素を絶妙に絡めた本作は、非常にヘビーで重くのしかかるけど、それだけにプレイした者の心に、深く刻まれる作品だったのではないでしょうか。

ところで、本作のストーリー上の他の特徴としては、キャラが非常にたくさん出てくることが挙げられます。
ADVの中でも、比較的多い部類に入るのではないかと。
そして男性キャラの持つ雰囲気と退廃的な世界観が相まって、本作は女性プレイヤーにもかなり好評だったと聞きます。
私もプレイしていて、これは女性向きだなって思いましたし。

それから、本作は基本的に萌えとは無縁な感じなのだけれど、凶アリアだけは別格でしたね。
凶アリア、可愛すぎです。
見た目だけでなく、その境遇とか考えるとね、なんだか涙が出てきそうです。

<感想>

本作において、ストーリーと並んで特徴といえるのは、やっぱりグラフィックでしょうね。
織音さんの絵は、私には凄く衝撃的でした。

こういう絵柄のADVは今までなかったですからね。
少女漫画っぽい雰囲気でもありますので、当時流行の萌えを求める人には合わないかもですけど。
でも、私は、このグラフィックに出会えただけでも大満足ですよ。

また、一枚絵の質だけでなく、2分割や3分割といった表示方法等、演出面でも工夫が凝らされた作品だったと思います。

他方で、本作の唯一にして最大の弱点は、ゲームシステムになるのでしょうか。
コマンド選択式ですが、同じコマンド選択式でも古いタイプ、つまり同じコマンドを何度も繰り返すタイプになります。
このストーリーならば、ノベルにした方が良かったと思いますけどね。
時代は既にノベルゲーに移行しつつあったわけで、私ですら当時少しダルく感じたくらいですから、コマンド選択式に不慣れな人には辛いでしょう。
そういう意味では、コマンド選択式に理解のある人にしか勧められないので、若干他人にはすすめにくいです。
もっとも、本作は攻略テキストがゲームに付属しますので、進行につまることはないと思います。
そういう意味では、マイナス分は最小限に抑えられるのかなと思います。

<評価>

総合でも文句なしに名作といえるでしょう。

コマンド選択式に理解があるかで印象は大きくかわりうるのですが、それさえ大丈夫ということであれば、ストーリー自体は5本の指に入るくらい素晴らしいので、きっと満足できると思います。

一本の濃密な小説の読後の満足感。
そうした物を求める人にはぜひともおすすめの一本でしょうね。

ランク:AAA-(傑作)


デアボリカ

Last Updated on 2024-12-27 by katan

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