犠母姉妹

2003

『犠母姉妹』は2003年にWIN用として、セレンから発売されました。

セーブデータの扱いについて考えさせられた作品でした。

<前置きのようなもの>

『犠妹』があって、『犠母妹』があって、そしてこれが『犠母姉妹』。
段々増えていっていますね~
発売当時は凄く期待して買って、少なくとも元を取るほどには楽しんだはずなのだけれど、何か似ていることから区別がつかなくなっていくのですよ。
だから何年も経つと、どれがどれだったか混乱してきますw
クリアして早いうちに感想を書くのならともかく、10年近くも経ってからとなると、流石にキツイ作品も出てきてしまいますね。

<感想>

さて、ここから本作の話になりますが、ストーリーは旅館の女将とその娘たちを陵辱する陵辱ゲーになります。

内容的には調教ゲーでもあるのですが、調教SLGではなく調教ADVとなるでしょうか。
セレンは99年のデビュー作、いやそれ以前の同人時代から調教SLGを作り、デビュー時から既に、この分野の第一人者でもあったわけでして。
だから今作も調教SLGであることを期待したかったのですが、残念ながらSLGではなかったんですよね。
(後日、本作のSLG版である義母姉妹SLGが発売されています。)

セレンお得意のSLGでもないし、ストーリーは良くも悪くも普通の陵辱ゲーの域を出ていないということ、そしてそういう作品になるであろうことも事前に予想しえただけに、場合によってはスルーすべきだったのでしょう。
しかし、それでも特攻したくなったのは、やっぱりグラフィックなのでしょう。

<グラフィック>

グラフィック、というか原画ですね。
それが本作の一番の魅力なのだと思います。
当時の私は、原画である「奥間まさみ」さんの絵がとにかく好きで、特に本作の姉妹の姉の方が完全にど真ん中でした。
絵を見た時点で、もう買わねばと思ったものです。

とは言うものの、いざプレイしてみたら、思ったほどエロさを感じられなかったのですが、それでも絵買いとしては十分満足レベルだったと思います。

<評価>

というわけで、絵が好みであるものの、内容自体はいたって普通な作品でした。
そのため、総合でも佳作とします。

まぁ、それだけなら印象の薄い作品となるのですが、本作は、余計な部分で考えさせられた作品でもありました。
ゲームのプロテクトというものは、時に正規に購入した人さえもプレイできない事態を招きます。
私は運良くそういう事態には巻き込まれていませんが、それでもプレイ時にディスクを要求する作品は嫌いでしたね。
特に抜きゲーなんてのは、常駐させていつでも好きなときに起動できることが大事だと思いますし。
でも、ブランド側も生活がかかっていますからね、ある程度の対応策は必要なのかもしれません。
また、せっかく精魂込めて作った作品ですから、ネットでセーブデータを拾ってCG100%にして終わりでは寂しく、ちゃんとプレイしてもらいたいという気持ちも分かります。

ただ、そうは言っても、やっぱり限度というものはあります。
確かこの作品からだったと思うのですが、セレンもアクティベートを導入しました。
個人的には、それだけならまだ許せるのですが、セレンはセーブディスクにまで強固なプロテクトをかけており、自分でプレイした以外の他のセーブデータを使うことができなくなったのです。

もちろん、ゲームは自分でクリアするのが一番なのでしょうけどね。
とはいえ、全クリが億劫になったり、難しくて困難なケースもありますし、それでもせめてCGだけでも見たいってケースもあります。
特に絵だけが特徴の作品の場合、時間を費やしてプレイするのは無駄に感じても、絵だけは見たいって思いますからね。

そういや、昔はアキバでセーブデータとか改造ディスクが売っていて、それを買ったことも何度かあったんですよね。
勿体無いと言えば勿体無いのだけれど、お金より時間が惜しいって場合もありますから。
そこはケースバイケースです。
以後のセレンのゲームはそういう他所のセーブデータをあてることが禁じられ、自力でクリアしなければ駄目になりました。
まぁ本作に限って言うならば、SLGではないので、それほど問題はなかったですけどね。
今後出てくるであろうSLGもそうなるのかと想像したら、何か嫌になってきたというだけで。

ついでに言うならば、心証も良くなかったよなと。
元が同人上がりで、他人のキャラを勝手に使って稼いでいたのに、自分の権利を守ることだけは人一倍必死で、そのしわ寄せがユーザーにくるのですから。
セレンのゲームだけは絶対に自分で完クリしなければならないと思うと、それも妙な圧迫感となってのしかかってきますしね。

昔、リビドーというブランドは、社長がテキストを全部丁寧に読んでもらいたいという想いから、途中からメッセージスピードの変更を取り除き、遅いスピードで読むことを強いました。
読むスピードなんて人それぞれですし、比較的早い私には余計なお世話でしかありません。
もちろん、社長の気持ちも分かるのですよ。
じっくり読んでもらいたいから文字スピードを制限するというのは、製作者の視点で考えれば、それはそれで理に適っているのです。
クリエイターの中にはクリックのテンポも考慮して作るという人もいるみたいだし、こだわりを持ってゲームを作る人ほど、その想定した状態でプレイして欲しいと思うのも、ある程度は気持ちも分かるのです。

今年も『君と彼女と彼女の恋。』というセーブを制限する作品がありましたが、そういう制作側の意図を押し付ける作品はときどき出てきますね。
まぁ、作品を理解してもらうために制限するというのも、ある程度は分かるのですけどね。
その意図を事前に知らないでプレイしたユーザーには不親切なだけに見えるし、ユーザーにストレスを与える方法が正しいのかについては、どうしても疑問が残ります。
根本的に、押し付けられた楽しみ方しかできない作品は、劣る物と考えてしまいますから。

まぁ本作は自分でプレイする分には何の制約もありませんので、程度としてはマシなのでしょう。
ただ、一連の改革で面倒臭く感じてしまったのも確かであり、それまで好きだったはずのブランドへの気持ちが急激に冷めていった、そのきっかけとなった作品とも言えるかもしれませんね。
(実際、セレンのゲームを発売日買いしていたのは、おそらくこの作品辺りが最後でしょうから。)

ランク:C-(佳作)

Last Updated on 2025-08-12 by katan

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