『ガウディ バルセロナの風』は1989年にPC98用として、ウルフチームから発売されました。
非常に珍しいというか、他にあるのか分からないのですが、サブタイにあるようにバルセロナを舞台にしたADVでした。
<感想>
ウルフチームのADV自体、あまり数がないのですが、バルセロナオリンピックも控えていたということで、それに合わせて作られたとも言われている作品ですね。
まず良い点から触れますと、サウンドが非常に秀逸でした。
さすがにウルフチームと言ったところでしょうね。
これに手描き(何か取り込み風っぽいけど)の味のある絵が加わり、OPから一気に引き込まれていったものです。
数時間たっても本題になかなか入っていかないゲームが増えている今日にあって、この数秒でプレイヤーを物語の世界に引きずり込めたという部分は素直に賞賛に値すると思いますね。
他にも、実はシステム面もいろいろ凝っていました。
ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになるのでしょうが、かなり画面クリック式に近い形になっており、この部分は若干変則的でしたね。
他にも分岐要素があったり、HR(ヒストリーリピート)システムとして、今で言うバックログみたいに巻き戻せる機能もありました。
こういういろいろやったことが経験として蓄積され、後々の作品に活きてくるのでしょう。
もっとも、本作に限って言うならば、結構粗の多いゲームでもありました。
時代が時代故に、基本システムは面倒臭さの方が先立ってしまいましたし、ボリュームが異常に少ないので、せっかくの分岐も巻き戻しもほとんど意味をなしてなかったですし。
それと、肝心のストーリーもイマイチだったわけでして。
バルセロナという文字を単に利用しただけで、あまり内容に活かせていませんでした。
もう一つ加えるなら、これ、人によっては激怒ものだったのかなと。
かなり好き放題やってましたからね。
逆の立場になったら、もし日本でのオリンピックを前にして、お隣の国とかが日本で犯罪や災害が発生しまくるゲームを作ったら、やっぱり気分的に嫌に感じる人も出てくるでしょう。
そういう意味で、若干デリケートさも欠けていたかもしれません。
<評価>
総合では、長所より短所の方が目立ってしまったこともあり、完成度を重視する人には凡作以下もありうると思います。
もっとも、上記のように、本作は決してマンネリな2番煎じゲーではなく、見るべき点も幾つもあります。
そういう意味では資料的価値はあるゲームではありますし、一応の元は取れた作品だと思いますので佳作扱いとしておきます。
ランク:C(佳作)

Last Updated on 2025-05-06 by katan
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