『2人きりの世界を願ったら。 -Remember second-』は、2018年にWIN用として、
アトリエさくら Team.NTRから発売されました。
『Remember』の「対」となる後継作品であり、同年最高峰のシナリオゲーでしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
ある日、僕は願った。
世界が君と僕だけの世界になればいいのに、と。
翌朝、僕の願いが届いた。
僕らの周りの人たちが一斉に姿を消した。
そして、僕は悟った。
人類は僕の願い通りに、君と僕以外を残して滅亡してしまったのだと。
<感想>
2011年に、『Remember 最愛の妻が他の男の腕の中で微笑む、もう一つのIF』という作品が、同ブランドから発売されました。
このブランドは、基本的にはNTRを題材にした抜きゲーを作ることが多いです。
もっとも、時々、とてもストーリーの良い、ストーリー重視の作品、いわゆるシナリオゲーを出すことがあります。
『Remember』もその一つであり、主人公が二人のヒロインのどちらを選ぶのか、IFの世界と現実の世界のどちらを選ぶのか、という作品になります。
同じ年には、他のブランドから、話題になった三角関係ゲーが発売されています。
しかし、宣伝の上手さと内容の良さは別であり、私は『Remember』の方がずっと優れていると考えています。
とはいえ、2011年は、今世紀のエロゲの中でも最高レベルの豊作年だったということもあり、総合では限りなく名作に近い良作としていました。
その対となる後継作品が、本作になります。
具体的には、前作の場合、主人公は男性であり、複数のヒロインのどちらを選ぶのか、すなわち、亡き彼女のいるIFの世界と、彼女を失った悲しみを埋めてくれた現在の妻のいる現実、その狭間で揺れ動く主人公を描いた作品でした。
本作は、その逆であり、主人公は女性になります。
主人公には愛する旦那がいるのですが、ある日、世界は自分と旦那だけになってしまいます。
実際には、その旦那も失われてしまうのであり、前作と男女の立ち位置が逆になっているのです。
もう少し踏み込むならば、前作は最愛の人物を失った主人公が、その後に得た家族の絆により救われる物語でした。
他方で、本作は、その家族の絆すらも失った主人公を描いた作品となります。
ちなみに、今作と前作は設定上はつながっていません。
そのため、今作だけをプレイしても、何ら支障はありません。
しかし、いろいろな面で対となることから、前作をプレイしていると、また違った印象を抱くはずです。
そういう意味で、私個人としては、できることなら前作からプレイしてみた方が良いと思います。
両者ともロープライスで、ボリュームが多いわけではないですし、手も出しやすいと思いますからね。
ストーリーについて補足すると、前作が世界設定等でやや技巧的だったのに対し、今作の方がシンプルでストレートな構造になっています。
どちらが良いとは一概に言えないのですが、前作を受けての今作という意味もふまえると、本作におけるこのストレートな構造は正解だったと思います。
グラフィックについては、あまり普段は画像を挙げないのですが、一枚だけ挙げておきます。
非常にシンプルな絵です。
未プレイの人は、良いも悪いも何も印象は持てないでしょう。
しかし、プレイした自分にとっては、この年、もっとも心を揺さぶられた一枚となりました。
テキストとCGが上手く組み合わさり、双方の相乗効果で最高のシーンとなった一枚でした。
まぁ、未プレイの人は全く意味が分からないと思いますが、プレイした人は分かってくれると思いますので、ぜひともプレイしてみてください。
<評価>
総合では、名作としておきます。
正直なところ、最後まで悩みました。
少なくとも良作であることは間違いないのですが、前作を良作にとどめてしまった以上、本作も単体としては良作止まりかと考えていたものですから。
ただ、前作を踏まえての本作という点、本作の発売された年は、ストーリー重視のノベルゲーが非常に不作で相対的に浮かんだ点、グラフィックとテキストの相乗効果が良かった点等から、現時点としては、総合でも名作と判断して良いように思います。
何より、ノベルゲーでここまで心に刺さってきた、グッと胸を締め付けられるような思いに駆られたのも、何年振りであることから、その点を率直に評価したいと思います。
ブランドのファンとしては、NTRの抜きゲー出せよという人が多いでしょうから、本作はブランドのファン向けの作品ではないのかもしれません。
出来のわりに埋もれすぎていることからしても、本作を好みそうな人に行き届いていないと分かりますしね。
でも、一人のノベルゲー好き、ストーリー重視の作品が好きな者としては、この作品が埋もれたままで良いとは思えないし、今後もこういう作品を出してもらいたいものですね。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2024-08-13 by katan
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