エスカレイション!

2020

『エスカレイション!』は2020年にWIN用として、ノキスタから発売されました。

リアルタイム3DによるM向ゲーということで、新鮮に感じた作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
ドMな性癖の主人公。
ある日、勇気を出して彼女に『責めてもらいたい』と告白した。
…言ってしまった。嫌われるかもしれない。
そんな心配をよそに、返ってきたのは乗り気な返事。
二人がSMプレイに走るのに、そう時間はかからなかった。
お互いの心をオープンにする中、いつしか首輪とリードを付けられる主従関係に。
その関係は次第にエスカレートしていく…

<感想>

ひと言でSMゲーと言っても、S向けの作品とM向けの作品とでは、方向性がまったく異なってきます。
本格的なSMゲーが出始めたのは、『SEEK』の発売された95年になると思います。
そして、90年代のアダルトゲームの場合、SMを扱った作品といえば、そのほとんどがS向けの作品でした。
私はM向けよりもS向けの作品の方が、好きといえば好きなのでしょう。
そのため、90年代のSMを扱った作品は、とても楽しめました。

他方で、M向けしか受け付けない人にとっては、90年代までは冬の時代だったかもしれません。
しかし、時代がかわればエロゲもかわるものでして。
これはユーザーの好みがかわったのか、それとも作り手の好みがかわったのか。
その辺りの細かいところは、私には、よく分かりまえん。
ただ言えることは、次第にS向けの作品が減っていき、M向けの作品が増えていったということです。
近年のエロゲ市場を見ると、M向けの作品ばかりです。
したがって、S向けの作品は、ほとんど見かけないように思います。
S向けの作品を求める観点からは、冬の時代が到来したとしか言えませんが、M向けの作品を求める観点からは、とても良い時代が来たとも言えます。

ただ、ここで注意すべきことがありまして。
というのも、90年代のS向け作品の場合、ほとんどはフルプライス作品ですし、大手ブランドが制作することもありました。
他方、近年においては、M向けの作品が増えたことは良いのですが、その作品のほとんどは同人ゲーであったり、ロープライスの作品だったりで、小粒な作品ばかりなのです。
そのため、大手による大作のような作品がなく、ストーリーの良い作品はいろいろあるものの、グラフィックや演出等の部分においては、他ジャンルの名作より劣る傾向が強いと言わざるをえませんでした。

さて、過去の歴史から入っていきましたが、何でこういうことを書いているかというと、M向けの作品って、数は増えているし、プレイしてみて、これは面白いぞって作品はあるものの、見た目が地味な作品が多く、プレイ開始直後から違いを感じられる作品って、ほとんどなかったということなんですね。
ストーリーが良いかどうかなんて、見た目では分からないし、少なくとも何時間かプレイして初めて分かるものですから。
逆にグラフィックは最初から違いが分かりやすいですが、上記のとおり、この部分が強いM向け作品が非常に少ないのです。
ぶっちゃけ、どれも地味なのですよ。

本作は、同人ゲーではありますが、3Dで描かれています。
グラフィックの雰囲気も関係するのでしょうが、プレイ開始直後から、これはよくあるM向けノベルとは違うぞと、すぐに感じることができます。
上記のとおり、M向け作品で新鮮さを感じることは稀なので、プレイ開始直後から好印象となりました。

もちろん、中身がともなっていなければ、プレイを続ければ続けるほどそのテンションも下がってくるでしょう。
しかし本作の場合、きちんと中身も伴っていました。
SM系作品の場合、ハードなプレイに目が行きがちですが、それだけが全てではありません。
陵辱と異なりSMプレイの場合は、双方の信頼関係が大事になってきます。
どれだけ過激で目立つシチュとかあったとしても、この部分が描けていないならば、SM作品としてはダメなのでしょう。
本作は、主人公とその彼女のプレイということもあるのでしょうが、そのお互いの相手に対する信頼がきちんと描けていて、SM作品として丁寧に仕上げられているのです。
このグラフィックでこの内容ならば、M向け作品の最高傑作という人がいても、何ら不思議ではないでしょうね。
少なくとも、それに匹敵する作品だとはいえます。

他方、本作の難点を挙げるとするならば、UIであるとか、プレイの快適さというところになるのでしょうか。
モーションがスキップできないことにより、プレイしていて少しイライラしてくることもあります。

<評価>

当初は、快適性等のマイナス要素もあることから、総合では良作と判断しておりました。
もっとも、本作のような突き抜けた特徴を持ったM向けゲーはなく、発売時においてM向けゲーの最高峰であるといえることを高く評価し、総合でも名作とします。

ランク:A-(名作)


Last Updated on 2024-09-08 by katan

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