えりかとさとるの夢冒険

1988

『えりかとさとるの夢冒険』は1988年にファミコン用として、ナムコから発売されました。

ザッピング要素があるだけでなく、2人同時プレイも可能という、ちょっと珍しいタイプの作品でしたね。

<感想>

そういや当時は、こういうタイトルのゲームも違和感はなかったけれど、最近はめっきり見かけなくなったよなと思うわけでして。
内容的には『えりかとさとるの夢冒険』 というタイトルにある通り、「えりか」と「さとる」の2人の小学生が主人公となります。

ある時、その2人は、動物たちが人のように生活する世界に飛ばされます。
そして、「時の冠」を求めて旅をすることになります。
ファンタジーというかメルヘンチックな作品で、どことなく懐かしさの漂う不思議な雰囲気の作品でした。

まぁ、ぶっちゃて言うならば、ストーリー自体はわりと普通だったと思います。
グラフィックや演出も平凡でしたし。
だから普通には楽しめるけれど、それだけであれば強く印象には残らなかったかもしれません。

ただ、ゲームデザインが少し変わっていたんですよね。
本作のゲームジャンルは、コマンド選択式ADVになります。
具体的には、アイコンから選択するタイプになります。
また、マップ上でキャラを移動させることもありますが、基礎となる部分自体は、前年にナムコが出した『さんまの名探偵』と同じ系統と言えるのでしょう。

凝っていたのは、そこにプラスアルファがあったことで、具体的にはザッピング要素になります。
本作では画面が2つに別れていて、片方がえりかで片方がさとるになります。
そしてどちらを動かすかはセレクトで選択できます。
キャラを交互に扱うという本質的な意味ではザッピングゲームなのですが、2人の全く異なる視点で物語が~っていうものでもなかったので、マルチサイト的要素はなかったと言えるでしょう。
近年のザッピング系作品の多くはマルチサイトも伴いますので、こういうより純粋なザッピング系作品は、今となってはかえって珍しいように思います。

この2画面分割というのは、見た目的には斬新でしたが、ザッピング自体は既に見受けられたシステムですので、ここまででもそれ程特別ではないのかもしれません。

本作が凄いのは、もう一つその先があったわけで、実は2人同時でも遊べるという非常に珍しいタイプのADVだったのです。
本作では、えりかとさとるが一緒に何かをするミニゲームもあるのですが、1人プレイではそれがクイズになります。
他方、2人同時プレイではアクション系のミニゲームになるのです。
2人同時で遊べるのも凄いですが、プレイ環境に応じて内容まで変えてきたのは驚きでしたね。

ADVにもいろいろシステム的な可能性はあるわけで、ザッピング一つにしても使い方次第でまるで別物のようにもなります。
近年は完全に忘れ去られたような部分ではありますが、こういう場面に応じたシステムの使いようは、ゲームとしてADVにも非常に重要だと思うんですよね。
そういう意味ではゲームデザインの優れた作品だったと思いますし、『えりかとさとるの夢冒険』 から学べることは今でもとても多いように思います。

<評価>

とは言うものの、肝がどうしても「2人でプレイ」に絡んできますので、1人でプレイした場合にそれ程特別な作品とまでは思えないわけでして。
そのため、1人プレイであることを前提に、評価としては佳作にとどめておきたいと思います。
もう少し内容が練られていれば良かったのですが、その辺が勿体無いゲームでもありましたね。

まぁ、基本的にはマイナーな部類のゲームだとは思うのですが、数年前に暴露があったみたいでして。
どうやらゲーム内に中の人の愚痴が読めるモードがあるみたいで、その方法が報じられて一時期凄く有名になったみたいです。
私は直接は試していないのですが、興味のある人はすぐにヒットすると思うので調べてみてください。
ゲーム内容とのギャップが凄いですが、とりあえずゲーム作りも大変ってことですね。

ランク:C(佳作)

Last Updated on 2025-09-02 by katan

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