『ドラゴンクエスト5 天空の花嫁』は1992年にSFC用として、エニックスから発売されました。
これはね~逆な意味で衝撃だったというか、それまで特別であったドラクエが特別でなくなった作品でしたね。
<感想>
80年代にPCでRPGをやり尽くしていたような人には違ったでしょうが、多くの家庭用ゲーム機オンリーな人にとっては、ドラクエは他よりも先端を進んでいた特別な存在だったのですよ。
その構図が、この作品で完全に崩れ去りました。
私がドラクエに興味が無くなっていったのも、この作品以後ですね。
ゲームにはいろいろ要素がありますが、まずはグラフィックや演出について。
この点は、同じ年の『天外魔境2』が圧倒的だったし、ドット絵の動きに限定しても『FF5』がありました。
いや、そういう上位のゲームと比べなくてもショボかったですね。
まるでファミコンのゲームの画面みたいで、全然進歩の感じられない作品でした。
とはいえ、DQにおいてグラフィックは2の次とも考えられるでしょう。
そこでストーリーとなるわけですが、これは当時はかなり叩かれましたね。
1つは、単純にドラクエにこんなのは求めてないよってことでしょうか。
今と違ってゲーム機では、まだギャルゲーなんかもない時期でしたから、恋愛ゲームってのに免疫のない人もそれだけ多かったのです。
それなのに、いきなり冒険もののDQの中で結婚だ出産だと言い出されても、当然面食らってしまう人も出てくるでしょう。
違和感という意味では、FF10-2よりもずっとあったかと思います。
もう1つは、単純に出来が悪いと叩かれていましたね。特にこれまでのDQのストーリーを評価していた人ほど、本作は過去最低の出来だと酷評する人が多かったように思います。
それを考えると、現在の手のひらを返したかのような賞賛には、驚きを隠せませんね。
ストーリーについては、古くからのユーザーに否定されて、若い人に受け入れられたってところなんでしょう。
TVゲームの初期からプレイしていた人がゲームに興味を失って去り、代わって若かった肯定派が主流になり、今ではすっかり名作扱い。
何かそんな感じがするんですよね。
時の流れって不思議なものです。
まぁ、私はストーリー重視な作品も好きな人間ですし、少々あざといくらいのも好きだったりします。
したがって、ここでは肯定派に属すると言えるかと思います。
今なら多数派になるのかもしれませんが、周りの同年代の人の間ではむしろ少数派だったかと思います。
ストーリー自体は好きだし、面白かったですね。
ただ、この年のSFCのRPGでは『ヘラクレスの栄光3』がありました。
それより上かと言うと、ちょっと難しい気がします。
その時点で抜群に良い点数ってのはないわけです。
ましてや、視野を広げてストーリー全般で考えると、この年のPC98のゲームには優れたストーリーの作品も多かったですしね。
本作の一番の長所はストーリーになるのだろうし、実際そのストーリーは面白かったのだけれど、それ程強力な魅力とまでは思えなかったんですよね。
また、結婚そして世代交代といった要素は、SFCのゲームとしては他になかったかと思います。
そのため、衝撃的に思えた人も多かったでしょうが、実は90年に出たメガドラの『ファンタシースター3』で既に使われているネタでもあるんですよね。
完成度はこちらの方が高いかもしれませんが、どうしてもインパクトは劣ってしまいますよね。
更にゲーム部分に関してですが、基本的に私は新しいシステムを好みます。
新たな要素で興味を沸かせるってのも、ゲーム性の大事な要素と考えますからね。
この点、4のAI戦闘は賛否分かれましたが、それでも4までは目玉と言える新たな要素がありました。
しかし本作は、従来と比べるとマイナーチェンジの域を出ていない気がして、その点では物足りなかったですね。
ストーリーにしてもシステムにしても、既に他のゲームで使われているのが多いというのが、本作の持つ最大の問題だったかといます。
そのため、満足いくかは個人の主観に寄らざるを得ないとしても、少なくともこれまでのような先端を行っている感覚は無くなりました。
もっとも、新要素がなくても、完成度という名のバランスの良さで楽しませるのもドラクエの魅力です。
この点が、前作までは素晴らしかったわけですからね。
この点、DQ5も決して悪くはないのでしょうが、変な編成の3人パーティでこれまでのような絶妙さを感じられませんでした。
この部分は、リメイクで4人パーティーに変更されていますよね。
グラフィック関連は時代共に見劣りしてしまうのでいじる必要がありますが、この部分は本当に自信があったのなら、何もいじる必要はなかったはずです。
それをいじってきたのは、やっぱり十分でなかったと、自ら認めてるってことなのかなとも思ったり。
<評価>
何だかんだ言ってきましたが、老舗の作る作品だけあって十分に面白いです。
ほとんどの要素で水準以上はありますし。
ただ、それまでの特別なゲームという印象ではなく、他と変わらない普通の作品に成り下がってしまったなという、そういう印象が強かったっていうことですね。
したがって、総合でも佳作します。
それと、初代からドラクエを作り続けてきたチュンソフトは、この5を最後にドラクエの製作を離れます。
当時は、その後離れるか否かなんて分からないから何とも言えませんが、今となってはドラクエの一つの区切りみたいな感じがして、それはそれで感慨深いものがあるのかなと思ったり。
っていうか、チュンソフト製作でなくなった時点で、もうドラクエは実質的に終わったような気もするのですが・・・
6以降のハートビート時代は最悪だったし、8でのレベルファイブのグラフィックには驚かされましたが、それはそれで違うゲームのような雰囲気にもなっていきましたしね。
古典的ドラクエとしては本作は最後の作品なわけで、そうなるといつかまたゆっくりとやり直してみたい気もしますね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-08-27 by katan
コメント
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この「天空の花嫁」、当時から仲間内でも評判が悪かったです…
しかしストーリーだけ考えれば面白かったし十分楽しめました。
目立った新しいシステムとかが無かったけど…
たとえるなら、いつも優勝してる人が2位になっちゃったというか。
あの人が2位なんて…どうしたんだ!という感じで。
2位でも十分面白いわけですが、いつも優勝してたから騒がれちゃった…
と、そのときは思ってました。
ゲームをあまりやらないうちの奥さんはこのドラクエ5は絶賛してます。
特に結婚するところが良いと。
逆にドラクエ3や4は難しいといってエンディングすらみてないらしい、笑
常にトップを維持するって大変ですよね。
自分は最新のドラクエ9の方がドラクエらしからぬ感じで
ちょっとイマイチでした…
これもドラクエだから厳しく考えちゃってるのかも、笑
ドラクエと思わないでやったら十分面白かった。
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>> あやちだいちさん
FC時代の勢いを期待していた人には、
ちょっと物足りなかった作品でしたね。
他社のRPGに比して伸びが少なく、
遂に追いつかれてしまったって感じで。
でも、それでいて若い世代や普段ゲームをしない層に評判が良いですから、
ちょっと変わった位置付けの作品でもあったんでしょうね。