『同人ing ~Let’s make the doujin game~』は、2012年にWIN用として、星団ファミリーから発売されました。
同人サークルが製作した、同人ゲー作りを題材にした熱血ゲーになります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
2010年から分割して発売された作品になります。
『同人ing ~0のゲーム制作編~』
『同人ing ~夢奏クリエーター編~』
『同人ing ~伝送スクリプター編~』
『同人ing ~赤き誓い編~』
の4つがありますので、その順番にプレイしてください。
<感想>
一部で評判が良いようにみえたことから、気になっていた本作。
全部完結してからのプレイになります。
ゲーム製作会社がゲーム作りを題材にしたノベルゲームというのは、実は80年代から存在するわけでして。
だから決して皆無というわけでもないし、これまでにも同人に注目したゲームや、エロゲ会社がエロゲ作りを題材にした作品なんかもあるわけですが、まぁ、ニッチなジャンルではあるでしょうから、この手の作品が好きなら貴重な作品と言えるのでしょう。
本作は、端的にいうと熱血タイプの作品であり、やっぱりその読んでいて伝わってくる、同人ゲーや創作に対する熱量というのが、最大の魅力なんだと思います。
そうした一点だけでも凄い部分があれば良いと思う人であれば、本作をプレイして満足できる可能性は高いでしょうし、本作は刺さる人には刺さる作品だと思います。
あぁ~これは好きな人は好きだろうなと思いながらプレイをし、私も普通には楽しめました。
しかし、他方で、基本的に私のような考え方の人には、あまり向いていないのだろうなとも思ったりしたわけでして。
というのも、本作は画面全体をテキストで覆うタイプのノベルゲー、いわゆるビジュアルノベルタイプになります。
この手のタイプは、表示方法に工夫をしないと駄目だと思っていますが、本作では何の工夫も見られず、同人ゲーにありがちな、ただ単純にテキストを全画面で表示するタイプなのです。
この点は、個人的にはマイナスポイントになります。
また、過去の同系統の名作良作の場合、程度の差はあれ、ゲーム作りにプレイヤーが関わるような作品もあり、私自身も、せっかくゲームなのだから、ゲーム作りに対して何かしらのゲーム性を入れて欲しいと思ってしまいます。
本作は一本道のノベルゲーであり、ゲーム性は皆無なので、比較するとどうしても見劣りしてしまいます。
さらに、本作には音声もありません。
私は作品によっては音声がなくても構わないと思っていますが、普段は商業ノベルゲーしかプレイしないような人だと、少し物足りなく感じてしまうかもしれません。
そして、ある意味一番気になったのが、そもそもの設定ですね。
本作が商業エロゲ―であるならば、学園を舞台にしつつ、多数のヒロインを登場させる必要があるのかもしれません。
(そうしないと、作らせてもらえないとか聞きましたので。。。)
いろいろしがらみのある今の商業エロゲの場合は、あまり自由に作れないのだろうなと思います。
しかし、本作は非18禁の一般同人ゲーです。
そうであるならば、学園も、多数の女性キャラも、いらなかったと思います。
テンプレなエロゲのような設定にしてしまったから、リアリティがあるようなないような、曖昧な感じになるのでしょう。
本作は、基本的に熱血路線で一気に読み進められる作品ですが、その根本たる設定のせいで、時々、興醒めしかねないところがありました。
この手の勢いでもっていくタイプの作品は、一気に楽しめている内は良いのですが、一度気になって熱が醒めてしまうと、その後は楽しみきれなくなってしまいかねません。
少なくとも私の場合、途中で興醒めしてしまい、そこからあまり楽しめなくなってしまいました。
<評価>
なかなか難しい作品ですね。
確かに、かなりの熱量を持った作品であり、そうした突き抜けたものを持った作品は、それだけで名作とすることもあります。
ただ、本作の場合、その突き抜けたものが、どっちに向かっているのかが、あまりよく分からなかったわけでして。
かみ砕いて書くと、本作をどういう人に勧められるのか、どういう層に向けた作品なのかが、いまいち伝わってこなかったのかなと。
本作は刺さる人には刺さるとは思いますが、どういう層に刺さるのかがいまいちハッキリしないわけでして。
一般的に知名度が伸びなかったのは、その辺が大きいように思います。
そのため、総合では佳作とします。
突き抜けた熱量を持った作品という意味では同人ゲーらしくあり、他方、その方向性がはっきりしないという意味では同人ゲーらしくなく、その同人ゲーらしくもあり、同人ゲーらしくもないというのが、率直な私の印象になるでしょうか。
まぁ、私は気になる部分の方が目立ってしまいましたが、読んでいて熱さを感じられる作品であるとはいえますので、同人ゲー製作を題材にした熱血系の読み物と聞いて、気になるのであれば、刺さる人には刺さりうるので、プレイして損のない作品だと思いますね。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-12-02 by katan