『奴隷との生活 -Teaching Feeling-』は2015年にWIN用として、FreakilyCharmingから発売されました。
※なお、時代を反映してか、現在は『Teaching Feeling -傷肌少女との生活-』というタイトルに変更されています。
奴隷とのイチャラブという、ギャップを活かした、何ともツボを押さえた作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
商品紹介・・・
ある日突然、虐待を受けていた奴隷の少女を引き取ることになりました。
最初は無機質な反応しかしませんが、コミュニケーションを重ねることでだんだん心を開いてくれます。
スキンシップをとったり、色んな場所に出かけたり、洋服のプレゼントをして細かな着せ替えも出来ます。
時間をかけると彼女も好意を向けてくれるようになり、えっちなことも出来るようになります。
特殊なえっちモードを繰り返して感度を上げたりえっちに慣れてくると、彼女もだんだん積極的に。
色んなHイベントを繰り替えしステータスや状況が変わると種類や内容も変化します。
エッチシーンは個別にオンオフ可能な断面図、漫画表現、書き文字によるセリフや擬音付き。
また、このゲームはヒロインと仲良くするだけのゲームですのでトゥルールートにエンディングがありません。
プラトニックな関係を続けるも、毎日肉欲を貪り合うも、好きなようにヒロインとの生活を続けましょう。
<感想>
本作のコンセプトは単純明快でして。
奴隷であるヒロインを主人公が引き取り、一緒に生活して甘やかそうという作品になります。
ヒロインが奴隷という設定自体は、昔のアダルトゲームなら普通にありえたのですが、今の商業作品は煩い人が増えて堅苦しくなりましたからね。
こういう設定は今では難しいのでしょうし、そういう意味では同人らしいのでしょう。
前は奴隷として扱われ、非常に不幸であったヒロイン。
当然最初は頑なな態度なのですが、主人公がスキンシップを図り、物をあげたり一緒に出掛けたりなどを繰り返すうちに、少しずつ心を開いていきます。
その変化が、見ていて楽しいわけですね。
つまり幸せを知らない少女をとことん甘えさせて、その反応を楽しむ作品なのです。
また、こちらも庇護欲がそそられて、次第に甘やかさずにはいられなくなるわけで、中毒性も引き出すのがミソなのでしょう。
最近はイチャラブゲーと呼ばれる作品が増えていますが、大抵のヒロインは学生です。
本作もヒロインとの関わりだけを描いたイチャラブゲーになるのでしょうが、他の作品と異なりヒロインは普通の学生ではなく、奴隷という最底辺の立場で、こちらに懐疑的な存在になります。、
そしてそこから生じる変化というギャップを味わう楽しさが加わったわけで、ある意味イチャラブの楽しさの究極を追求したような作品とも言えるかなと。
ラストに凄いストーリーが用意されているわけでもないのですが、これはもう設定の勝利ですね。
ところで、本作のジャンルなのですが、DL版の販売元ではSLG扱いされているようです。
数字が出てくるのでSLG扱いなのかもしれませんが、数値の変化や管理を楽しむ類の作品ではないので、SLG好きがSLGを期待してプレイしたとしたら、間違いなくガッカリするのでしょう。
数値はゲーム進行の目安であり、コマンド選択に制限を課す程度の存在でしかありません。
だから個人的にはコマンド選択式ADVというのが正しいと思うし、実際にPC98時代とかだったら、こういうシステムの作品は、コマンド選択式ADVって表現されていたんですよね。
なお、こういう内容のコマンド選択式もあったからこそ、全てのコマンド選択式に対してコマンド総当たりと表現する人を見ると、単に無知なのか、或いは知らないのに知ったかぶりをしたかの、どちらかなんだろうなと思ってしまうわけです。
SLGにいろいろなジャンルがあるのと同じように、ADVにだっていろいろなジャンルがあります。
パラメーターで制限をかける作品もありますし、主人公を直接動かす作品もあります。
ノベルゲーも、ADVの中の一つのジャンルにすぎません。
しかしアダルトゲームという業界においては、今ではノベルゲーが圧倒的多数になり、ADV≒ノベルゲーと考える人が多くなったからか、パラメーターが出てきたり、P&C式だったりするとSLG扱いにされたり、直接移動するタイプだとRPGに分類されたりすることがあります。
この辺はDL版の販売サイトとかが理解していないのかなとも思いますが、本来はADVだったものがRPGやSLG扱いされていくエロゲの現状には、何とも複雑な気分にさせられてしまいます。
まぁジャンル名は何だって良いのかもしれませんが、とりあえず本作は、様々なコマンドを選ぶことにより、ヒロインとのスキンシップを図っていくわけです。
そしてこういう作品は、PC98末期頃に少し流行っていたんですよね。
元を辿れば『あゆみちゃん物語』辺りなのでしょうが、その時はとにかくエロを見るという意識だったものの、95年からの恋愛ゲーブームにより、次第に恋愛としての側面を重視するようになった作品が増えたのです。
もちろん当時は「~ゲー」とカテゴライズする風潮がなかったので、イチャラブゲーなんて言葉はありませんでした。
しかしあくまでも分類上の言葉がなかっただけで、作品の内容としては今風に言えばイチャラブゲーとなるのでしょうから、作品自体は存在していたのです。
最近はイチャラブゲーが増えていますが、例えばフルプライスのエロゲの場合、そのほとんどがノベルゲーになります。
確かに完全なストーリー重視の作品の場合は、ノベルゲーという構造は非常に適しているのでしょう。
だからノベルゲーが最適なゲームデザインとなる物語も、当然存在します。
しかし、受動的なノベルゲーとイチャラブは相性が良いとは思えず、イチャラブをより効果的に表現するゲームデザインは他にあるはずであり、それで現在のイチャラブゲーに対して、あまり自分は高い評価をできないことが多いのです。
もちろん効果的なゲームデザインは何も一つではなく、方法論としては幾つかありえるのでしょうが、その一つがPC98末期のイチャラブゲーにおけるコマンド選択式であり、それを知っているからこそ、尚更厳しくなってしまうというわけですね。
まぁ、普段から自分はいろいろ書いているけれど、具体的作品を知らない人だと、何を言っているのかあまり分からないかもしれません。
だからと言って、10年以上も前の作品を今更やれとも言えないですしね。
それで難儀していたりもしたのだけれど、今ならこう言えますね。
ノベルゲーを超えたイチャラブゲーを理解したいのならば、本作をプレイしろと。
そして本作をプレイした人ならば、私がゲームデザイン云々と語っていた理由が分ってもらえると思います。
単に奴隷を可愛がるというだけの本作をノベルゲーで作られても、決して本作の面白さは生み出せないのであり、このシステムだからこそ今の面白さが生まれたのだということが。
<評価>
設定から生じるストーリーに、それに即した効果的なゲームデザインにと、両方の側面からイチャラブを徹底的に追求した作品と言えるでしょう。
私はこういう形式の作品を既に知っているので驚きはなかったですが、知らない人だと余計にもはまるでしょうね。
それだけの破壊力は秘めた作品だと思います。
特に主人公と自分を同化させるタイプの人ほど、本作におけるシンクロ率は高まるのであり、より一層楽しめるでしょうね。
また、PC98時代とかのゲーマーの場合は私と同じで、新鮮と感じたり驚いたりすることはないでしょうが、そういや昔はこういうのあったよなと懐かしくなれるかもしれません。
そういう意味では、現状に閉塞感を感じている若手ユーザーも、昔を懐かしむベテランユーザーも、両方が楽しめる作品だと思います。
総合でもコンセプトや内容における長所だけなら、一応名作級と言えるのでしょう。
しかし、狙ってやったのかもしれませんが、あまり絵は可愛くありません。
また細かいシステム部分で、いかにも同人ゲーって不便さもありまして。
それにゲームデザインは良かったとしても、狭義のゲーム性は大雑把であり決して高いとは言えません。
それでも音声があれば、それが昔にはなかった要素であるとして、進化を感じることができたのでしょう。
しかし残念ながら、本作に音声はありません。
絵や音声やシステム周りなど、過去の作品からの進化を示せる部分で違いを示せていないので、比較対象となるべき過去の同系統の作品を知っている人ほど、本作を見る目は厳しくなってしまうのでしょう。
本作は確かに魅力も多いけれど、欠点たる部分もそれぞれ無視できないほどに大きなものあり、それらも踏まえて最終的には佳作としておきます。
まぁ製作者はフットワークが軽いようで、随時修正が入っていますからね。
システム面の不便性は、もしかしたら後にはなくなっているかもしれませんけれど。
というわけで、個人的には不満に感じた部分も結構あるのだけれど、18禁の大人向けらしい内容で意外性もある作品なんてのは、今はそうそう見つからないですからね。
こういうの知らなかったから新鮮だったよでも、いや~こういうの懐かしいなでもどちらでも構いませんが、せっかく今エロゲをプレイしているのであれば、こういう作品にこそ手を出してみてもらいたいように思いますね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-09-25 by katan
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