駄作

2014

『駄作』は2014年にWIN用として、CYCLETから発売されました。

「化け物の、化け物による、化け物のための、ADV」という内容、及び意味深なタイトルで気になってしまう作品ですね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
どこにでもいるような仲良し5人組、しかし彼らはとてつもない化け物だった……。
とある学園に通う、由貴・アリス・華愛美・そまり・枢は、どこにでもいるような仲良し5人組。
そんな彼らは、アリスの誕生日を祝おうとケーキをプレゼントする。
そこにあるのはどこにでもいるような仲良し5人組の、どこにでもあるような風景。
しかし彼らはどこにでもいるような存在ではない……とてつもない化け物達……。
そしてそんな化け物達の織りなす風景が、ずっとどこにでもあるものであるはずがなく……。
化け物の、化け物による、化け物のための血塗られた狂宴へ……。

<感想>

登場人物らは化け物ということですが、いわゆる鬼とか妖怪とか、そういう意味での化け物ではありません。
相手に理解してもらえない人たちというのは、理解できない者にとっては化け物であり、その意味での化け物ということですね。
そして、そんな理解されない化け物たちが集まり、歩みよることで生まれる、絆の物語になります。

まずは本作の良い点として、グロいCGが多いです。
四肢切断とか眼姦とか、同人作品では今も少しはありますが、商業のアダルトゲームでは久しぶりのように思います。
陵辱に対する規制が厳しくなったのは2009年からでしたっけか。
今もこういうのを発売できるのかなと心配してしまいましたが、いずれにしろエログロやリョナ系が好きな人には朗報でしょう。
一枚絵の数自体は特別多いってほどでもないかもしれないですが、差分は非常に多い作品ですので、差分を重視する人なら更に満足度は高まるでしょう。

その点は良かったと思うのだけれど、昔は過激なCGの作品も多かったですし、今も同人とか探せば無いわけでもないので、個人的には商業では久しぶりかなって程度の印象しかなかったのかなと。

もちろん、昔とは違うのだという何かしらの新しさを感じさせてくれれば、新しい時代の陵辱系作品として楽しめるのですけどね。
本作は最近の作品にしてはワイド画面ではないですし、システム周りも何年前だよと思うくらい非常に使いにくく、全体的に古臭く感じるのですよ。
だから過去の作品からの進化も感じられず、本作だけの良さというものを感じられないのです。
ゲームデザインにしても、本作は実質一本道なのですが、クリアしてから再度やり直すことで選択肢が登場とか、これも一昔前にはよくあったなと古臭さに拍車をかけつつ、この手の構造は個人的には鬱陶しくて好きになれないですし。

ストーリーも同様ですね。
相手に理解してもらえないというような題材の作品は一昔前に散々やったので、内容的にも古臭く感じてしまうわけでして。
新しい切り口のようなものも特になかったですし、懐かしさというより今更感の方が強かったです。

まぁ、ここはもう少し具体的に書くと、過激で変態なHシーンやグロいシーンって、どこの作品もあまり差が出ないのですよ。
だからこそ、日常シーンなどでちょっとした狂気を織り交ぜ、キャラとの関連性を増すことで、キャラの持つ狂気や化け物の所以がより伝わってくるし、それが変態・過激シーンの重みを更に増してくれるわけです。
本作の後半は過激なHシーンの連続になってしまっており、日常の狂気の積み重ねみたいなのが薄くなっています。
だからこの作品の、このキャラだけの魅力というのが感じられないのです。
本当にずれた人って何気ないはずの部分にも違和感が生じ、だからこそ、そこに狂気を感じたりもするのだけれど、本作はその描写が薄いものだから、化け物染みたずれた感性を持っている人が書いたのではなく、常人がそれっぽい要素を集めてみたって印象しか抱けなかったわけでして。
それが本作に対する、もの足りなさにつながってしまいました。

<評価>

ストーリー・グラフィック・ゲームデザイン・システム周りなど、どの点を見ても古臭い作品だなという印象が強い作品でした。
穴が多くても尖った作品は個人的に好きだし、本作も一見すると挑戦的なように見えそうですが、私には一昔前に見られた作品の焼き直し程度の無難な守りの作品に見えたわけで。
だからまぁ100点か0点か、それこそ傑作か駄作かでバッサリ分かれるのではなく、人を選ぶ~とか言いつつ皆そこそこ同じような点をつけちゃうような、そんなタイプの作品なんだと思います。
もうちょっと、どこかしらに新しさやプラスアルファを感じられれば、全然違ったのでしょうけどね。
そういう個性を感じられないことから、もし主観面だけで言うならば、凡作もありうるのでしょう。

ただ、今のご時世に商業で、この手の作品をまた出してきたということで、その意味では攻めの姿勢と言えるし、意欲的であったのかもしれません。
いやホント、商売という点では良く出したと思うよ。
その点を考慮して、総合でも佳作としておきます。

そもそも比較対象で念頭に浮かぶ作品も、一昔前の物ばかりですからね。
2009年以降の商業作品で、こういう作品はないと思えますし。
一周まわって逆に新鮮に感じられる人もいるだろうし、題材的に何か語りたくなる人も多くなるタイプのジャンルでしょうから、定期的なネタ提供としても意味があるのでしょう。
そういう意味では、本作は初心者向けのゲームなんだろうなと思います。
したがって、古参ユーザーで新しいものを求める人には薦められる作品ではないですが、こういう系統に馴染みのない人にはキッカケとして良い作品だと思います。
また、もっと単純に、本作はグロ系のCGが豊富な作品ですから、商業でグロやリョナの豊富な作品は決して多いとは言えない状況だけに、この手が好きな人なら損のない作品だとは思いますね。

ランク:C-(佳作)


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Last Updated on 2024-10-17 by katan

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