クロノクロス

1999

『クロノクロス』は1999年にPS用として、スクウェアから発売されました。

非常に多くの魅力が詰まった作品で、大好きなゲームでしたね。

<感想>

時間と空間とはよく並んで出てくる言葉ではありますが、いわゆるタイムスリップ系は、映画に小説にと名作と呼ばれる作品が数多く存在しますよね。
でもその反対に、パラレルワールドを扱った名作って、馴染みがありそうなわりに意外に少ないと思いません?

パラレルワールドというのは、自分のいる世界といない世界といったように、ちょっとした違いがあるだけで他は異ならない世界なわけです。
こうしたパラレルワールドの良さって、映画のような短時間で表現するのって難しいと思いませんか?
タイムスリップなら同じ場所の過去と未来を映すだけで変化が判るので、視聴者にも伝わりやすいです。
しかしパラレルワールドにおける些細な変化は、映画や小説という短時間の限られた世界で表現しきるのは難しい気がします。
結果として、面白さがいまいちこちらに伝わってこないと思うのです。
これまでの表現媒体でタイムスリップ系の名作が多いのに対し、パラレルワールド系の名作が少ないことは、このような点にも理由があると思うのです。
むしろ小説や映画よりも、時間をかけてその世界にどっぷりと浸れるゲームの方が、パラレルワールドの魅力を表現するには相応しいと自分は考えます。

『クロノクロス』は、そうしたパラレルワールドを扱った作品。
2つの世界で、パラレルワールドの魅力を余すことなく伝えてくれます。
この点だけでもこのゲームの価値は十分と言えるでしょう。

加えて、99年のスクウェアの作品だけあって、ムービーの出来も世界最高レベルでした。
光田さんの音楽も素晴らしかったですし、ゲームシステムも非常に凝ってましたね。
特に音楽はね、光田さんの最高傑作でしょう。
この当時の他作品が何でもかんでもオーケストラっぽく仕上げる中で、『クロノクロス』の無国籍風の音楽は特に際立っていましたから。
END曲の「RADICAL DREAMERS」も凄く好きでしたね。
エンディングは、映像も素晴らしく、まさか最後で実写を交えて、ゲームの世界と現実の世界をリンクさせるように見せてくるとは思いもしませんでした。
このエンディングは、全RPGの中でもトップ3に入るくらい好きだったりします。

海外では有名なゲームサイトのGAMESPOT。
今はもうあまり信用できませんが、昔は結構信用できたんですよね。
そして、そこで全ての項目で10点満点を獲得したのは伊達ではないです。
それだけ個々のパートにおいては、どの要素も非常に優れた作品でした。

システムも、非アクション系ではこれ以上ないってくらいに、凝っていました。
「クロス・シーケンス・バトル」と名付けられていましたが、『ゼノギアス』のシステムの改良版って感じでしょうね。
具体的には弱、中、強の組み合わせによるコンボ攻撃や、それによって得られる一時的なエネルギー「パワーレベル」を消費して、6属性の「エレメント」を使用でき、戦術的で奥の深いものになってます。

また本作では、経験値によるレベルアップを廃し、戦闘の度に上昇するサガ風になっています。
もっとも、ボスを倒すと足りない分も一気に成長しますので、ストーリーをとにかく進めたい人も満足できる作りになってます。

属性、エレメント、召喚魔法と基本的な要素も完備。
また、マルチエンディングで2週目もありますが、強い状態&スピード調節で快適にプレイできました。
仲間も40人以上いて、2週目以降でも飽きることなく、いろんな組み合わせで楽しめましたし。

何ていうか、このゲーム。
個々のパートは非アクション系のRPGとしてホント完璧なんですよね。
本作が名作であることは疑う余地もありません。

それでは、本作は全RPGの中でも歴代最高なのかというと、そこはまた違うわけでして。
というのも、本作の場合、各パート・各システム間の組み合わせに若干の違和感があったのです。
監督部分が駄目というか・・・トータル面でのゲームデザインが微妙に変なところがあるのです。

その映像は凄いけど、何度も繰り返して使うものじゃないだろとか、そのシステムを入れるならこのシステムはいらないよねとか。
もしプレイしてもはまれない人がいたら、ここら辺に問題があるからかと思われます。
欲張りすぎて纏まりがなくなってるんでしょうね、きっと。

それと本作品は、『クロノ・トリガー』のあるラストの続きとして描かれています。
問題は、それがバッドエンドの続きということです。
トリガーをやってないと本当の感動は伝わりにくく、逆にトリガーの熱狂的なファンには存在自体が許せないみたいな・・・
だからトリガーはやったけど特に思い入れのないような、私なんかのようなタイプには良いのでしょうが、おそらくそれが多数派とは言えないでしょう。
となると、必然的に褒める人も限られてしまいます。

もう一つ言うと、トリガーって単純・王道路線でした。
子供にはうけたのか、今では屈指の名作扱いですけどね。
もっとも自分の周りでは酷評ばかりでした。
おそらく年齢的なものが大きいのでしょう。
ドラえもんの映画とかが何より楽しみだった年代にやれば楽しめるのかも。
よく分かんないですけど・・・

それに対して、クロスは逆に、複雑・変化球路線なんですよね。
続編と言いつつ、方向性が全く違うわけでして。
そりゃ、前作ファンに嫌われても仕方ない気もしますよね。
正直、完全オリジナルで出した方が良かった気がします。

基本的に続編の出来は前作をプレイした人に聞いた方が確実だけど、こういう方向性が異なる続編だと話は別です。
どれだけゲームの出来が良くても、前作ファンの求めてた要素がなければ叩かれてしまいますから。
この場合、前作ファンの意見はあてになりません。

<評価>

そういうわけで、総合でも文句なしに名作と考えていますし、ある意味で出来は完璧なんだけど、他人には非常にすすめにくい一本でもありました。
とはいえ、PS2以降はアクションRPGもどきが増えましたからね。
非アクション系でもこれだけ凝ったシステムもあるんだよってのは、ぜひとも知っておいてもらいたい気もしますね。
まぁ違和感のある部分の話も長くなりましたが、今調べてみたらクロノクロス以降に発売されたRPGで、これより高い点数つけたのって僅かに1本しかないのですよ。
それくらい、魅力の詰まったお気に入りのゲームでもあるのです。

ランク:AA(傑作)


クロノ・クロス

Last Updated on 2025-01-12 by katan

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