『ブランディッシュVT』は1996年にPC98用として、日本ファルコムから発売されました。
ブランディッシュシリーズの外伝として発売された作品でしたね。
本作はオリジナル版はPC98からの発売であるものの、後にWIN版が発売されており、WIN版では『ブランディッシュ4 眠れる神の塔』と名称が変更されています。
オリジナルが96年というPC98末期の作品なだけに、WIN版での呼び方の方が、もしかしたら認知度は高いかもしれませんね。
<概要>
ゲームジャンルはアクションRPGになります。
あらすじ・・・
その昔、スーラン帝国とギデア皇国を結ぶカルア砂漠で、神の塔が発見された。
塔はかなり古く、内部には4大元素を象った紋章などがあり、太古の知識の宝庫だった。
スーラン帝国のヌビアール教徒やカルア砂漠を治める自治区の役人は、古代の英知を得ようと次々に塔内に入っていった。
しかし10年が経過した今でも、塔の全容は不明のまま。
そんななか、それぞれ別の事情や目的を持った5人が、運命に導かれて神の塔に足を踏み入れる。
<感想>
本作はオリジナル版はPC98からの発売であるものの、後にWIN版が発売されており、WIN版では『ブランディッシュ4 眠れる神の塔』と名称が変更されています。
オリジナルが96年というPC98末期の作品なだけに、WIN版での呼び方の方が、もしかしたら認知度は高いかもしれませんね。
移植版が4と付けられたことからも分かるかと思いますが、本作が発売される前に、ブランディッシュシリーズとして3作品が発売されていました。
本作は設定等、仕切り直しということで、4ではなくVTとされたのです。
ブランディッシュシリーズはフルマウスオペレーションのアクションRPGで、マウス一つで全部できることが特徴になります。
また、舞台となるダンジョンには多数のトラップがあり、パズル性も非常に強いシリーズでした。
RPGの中にも、様々な方向性の作品がありますが、ブランディッシュシリーズは、単純操作とダンジョン内での謎解きを極めて重視した作品だったわけですね。
そういう観点からは、謎解き好きな私向けのシリーズではあったのですが、フルマウスオペレーションによる戦闘はアクション系のものであり、つまりはアクションRPGとして本来は私の守備範囲外なんですよね。
でも、PC98時代のRPGと言ったらやっぱりファルコムだろと思うわけで、それで頑張ってやってみようと思ってプレイしたものでした。
さて、肝心の中身に関してなのですが、実は、シリーズのファンの一部からは、このVTの評判はあまり良くなかったりします。
というのも、シリーズ過去作は、キャラとプレイヤーが一体となった表示方法でしたので、背後からいつ襲われるかもしれないという、恐怖と緊張感が常につきまとっていた作品であり、それがシリーズの特徴だったのです。
他方で、『ブランディッシュVT』では、視点がクォータービューに変更されました。
加えて、キャラは常に中央に表示されるものですから、視野が広がっているわけですね。
そのため、背後から忍び寄られる恐怖感という、過去品の持つ特徴・魅力が失われてしまったのです。
ファンの多い作品で、過去作の持つ特徴を放棄した作品は、本作に限らずどれも叩かれる宿命を担っています。
『ブランディッシュVT』は、クォータービューを採用した時点で、熱烈な前作ファンからのある程度の批判は、免れられない運命にあったと言えるのでしょう。
こうした従来のファンの不満は十分に納得できますし、仕方ない部分もあります。
しかし、シリーズと切り離して考えた場合、本作は決して悪くはないと思うのです。
実際、私はかなり楽しめました。
ファルコムお得意のドットキャラの動きは相変わらず良かったですし、クォータービューを活かしたアクションも、ダンジョンの謎解きの歯応えも満足いく出来で、かなり良く出来ていたと思いますから。
まぁ、私のようにアクション系が苦手な人の場合、背後からいつ襲われるかもしれないという恐怖と緊張感なんてのは、むしろない方がありがたいくらいでして。
そういう意味では、本作は、アクション系が苦手な人でも大丈夫という、シリーズ入門作的な意味合いもあったと思います。
前作までのブランディッシュシリーズが持つ方向性は、ある程度完成に至ったと言って良いでしょう。
そしてこれ以上同じ路線を続けても、新たな収穫はほとんど得られなかったと思います。
それならば従来の方向性は捨てて、新たな方向性を目指すことも良いことではないでしょうか。
だからこそ、「4」でなく「VT」だったわけですしね。
シリーズの特徴を完全に受け継ぐ続編ではなく、特徴を受け継ぎつつも新たな方向性も模索した外伝であると、そう割り切れば別物としてかなり楽しめる作品だと思います。
まぁ、アクションRPGに関しては私は永遠の初心者に近い立場なのですが、少なくともそういう立場からは楽しめた作品であり、個人的にはかなり好きな作品でした。
Last Updated on 2024-05-24 by katan
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