朝の来ない夜に抱かれて -ETERNAL NIGHT-

2002

『朝の来ない夜に抱かれて -ETERNAL NIGHT-』は2002年にWIN用として、F&Cから発売されました。

アニメのような構造の、学園伝奇ホラーになります。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・舞台は古い日本の町並みを残した地方都市。
主人公「八雲辰人」と、幼なじみ「草馬美空」は、ながく歯がゆい関係を続けてきた。
しかし、卒業を間近に控え、2人の関係はより親密なモノになっていく。
13年前、出会った日から、それが運命だったように。
そして、もう1つ運命もまた…。
異界の門より現れた化け物から美空を庇い、命を落とした辰人は、邪神との契約により復活をとげる。
契約した邪神「無貌の神」の望みは自分を封印する4つの門と、門に召喚された化け物達の破壊と抹殺だった。
そして今、暗い夜の中で闘いが始まる。
自然や人の心の闇に生まれた「伝説」「寓話」「昔話」をテーマに物語が展開し、別の恐怖と混じり合いながらひとつの大きな物語を紡いでいく。

<感想>

学園で、異能バトルということで、今なら漫画やラノベ等で吐いて捨てるほど溢れかえっているジャンルですが、当時のエロゲやラノベには、まだそれほど多くはなかったのかな。
そういう意味では、発売時には決してテンプレではないのかもしれません。
ただ、当時はまだ厨二という表現はなかったかもしれませんが、厨二ゲーが増えだしたのも、この時期からであり、本作もその中の一本と言えるのでしょう。

この手のジャンルに対する私の拒絶反応というのは、むしろ今より昔の方が強かったかもしれません。
少年漫画的なノリから離れ、違う方向性の物語が読みたくて、それでアダルトゲームに魅力を感じていたのに、そこで少年漫画的な作品をやるなよと思ってしまうものですから。

それでも、ゲームとして何かしら必然性を感じさせてくれれば、満足はできたのかもしれません。
しかし、本作は実質的に一本道でして。
全5話からなり、各話でOPとかも用意されているのが、より一層アニメを連想させ、だったらアニメで良いじゃんって思わされます。

またラノベの異能バトルものならば、ラノベは読むものだからと、まだ納得もできるんですけどね。
ゲームだと、どうしてもバトルにゲーム性を加えろよと思ってしまいますので、本作の様なノベルゲーには不満が生じてしまいます。

まぁ、ここまでは個人の好みの問題とも言えそうですが、本作はボリュームが少ないですし、そこにいろいろ詰め込もうとしつつ、無駄な部分もきちんと描いているので、全体的にボリューム不足に感じてしまうと。

本作はシナリオが良いと聞いて期待した作品だったと思いますが、演出面に関しては良いと思ったものの、肝心のストーリーにはガッカリでした。

<評価>

ゼロ年代前半に、シナリオが良いゲームとして名の挙がる作品が増え、本作もその中の一本だったと思います。
ただ、結局のところ、PCの普及で新規参入者が増え、そこにネットの普及も加わったことで、この時期に発売された作品の名が挙がりやすかっただけじゃないかと。
ゼロ年代前半の当時のシナリオゲーと呼ばれる物の多くが稚拙に見えたため、個人的にはそう思ってしまうんですよね。

ジャンル的には、こういう系統が好きな人が後にもユーザーとして残るわけで、そんな残存ユーザーは萌えに頼らない燃えゲーとして考えるのかもしれません。
しかし読むだけの少年漫画的な作品には興味ないと思った人は、こういう作品が増えることでエロゲから離れてしまうでしょう。
02・03年辺りで、エロゲに先はないと離れていった人も多かったですし、現にこの頃から売り上げも下降していきますからね。
萌えゲーなんてのは90年代半ばから一杯あったので、売上減少やユーザー離れには、あまり決定的な存在ではなく、むしろ燃えゲーに多い厨二ゲーの増加こそが、「大人な物語」という幻想を抱き憧れて入ってきたユーザーを、エロゲから離れさせてしまった原因になったのではないかと、個人的には思ってしまうのです。

ランク:D(凡作)


ダウンロード版
朝の来ない夜に抱かれて dl

Last Updated on 2025-04-10 by katan

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