雨恋

2014

『雨恋』は2014年にWIN用として、Noesisから発売されました。

片想いだった初恋の女の子の娘との純愛物語。
主観的には、かなり好きな作品ですね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・主人公の安井希は仕事のため、かつての故郷を訪ねる。
到着早々土砂降りに遭って廃小屋に逃げ込み、彼は少女と出会った。
二人で身を寄せ温め合う内に、互いに熱を求めて契りを結ぶ。
情事の後、少女の家に泊まることとなった希に彼女は告げた。
「私、一志瑞希っていいます」
その名前と笑顔が希の初恋だった――一志瑞穂に似ていた。
20年前、憶病で告白できなかった希の初恋相手。
その娘と出会った希は、雨の降る故郷でもう一度、恋をする。
あの時できなかったことをしよう。
あの頃言えなかったことを言おう。
あの日逃した青春の続きを――彼女と。

<感想>

主人公は官能小説家であり、自分の初恋の女性をモデルに書いた本がヒット。
続編の話が出たことから、取材のために一度故郷に戻るものの、モデルとなった初恋の女性は既に他界。
偶然出会って関係を持った女の子は、その初恋の女性の娘だったと。
元旅館である瑞希の家に厄介になることになった主人公は、少しずつ瑞希との純愛を育んでいくことになります。

ストーリーに関しては概要にあるのが、ある意味ほとんどでもありまして。
特に捻った展開はないですし、最初に関係を持つ辺りは強引なんですけどね。
私は、この作品が無性に好きなのです。

巷ではイチャラブっていうのが一部で流行っているけれど、大半は高校生同士のイチャラブなわけでしょ。
それを否定するつもりはないのだけれど、もっと他に、いろんな形のイチャラブがあっても良いはずで、オッサンと少女とのイチャラブがあっても良いはず。
本作は主人公と瑞希との純愛を扱った作品でありつつも、作品内でHシーンも多数でてきますし、ずっと二人の関係性を扱っていますからね。
つまりはオッサンと少女とのイチャラブゲーなんですよ。

もちろん、設定だけオッサンと少女というのでは駄目であり、精神的にも肉体的にも年相応のものでなければなりません。
本作は、それが出来ていたと感じたから、私に刺さったのでしょう。
また主人公の職業と同じ官能小説的な雰囲気のテキストや、テキストに合う落ち着いたサウンドや、音声等が組み合わさることで、全体の雰囲気が非常に良かったのです。

なお、クリアすると瑞希役の小倉結衣さんのスペシャルコメントが楽しめ、これが結構長いので、ファンなら要注目だと思います。

本作に関しては、仮に自分が10代や20代だったならば、地味な作品として、あまり楽しめなかったかもしれません。
故郷を離れ、いろいろ悔いや後悔も抱えるようになり、自分と同年代の女性に娘がいるくらいになって、それで初めて楽しめるようになるのかなと。
本作は18禁なわけだけど、少なくとも30を超えて初めて心底楽しめる作品なのかなと思うわけでして。
アダルトゲームを何歳までやるかは人それぞれなのだろうけれど、中高生向けの様な学園ものしかない状況になれば、間違いなく私は引退するでしょう。
でも、30代向け、40代向け、50年代向け・・・と作品がある限り、具体的には本作のような作品があるのならば、もうしばらくは楽しめるように思います。

これまでのNoesisは、原画である珈琲貴族さんのイメージが強く、グラフィックは良いけど他は少し劣るイメージが強かったです。
本作のライターである永遠月心悟さんは、ブランド前作の『ラブesエム』も手がけています。
その感想は以前に掲載していますが、その時はこだわりも感じられるし、テキストも悪くないのですが、全体的な方向性が定まらず結果として印象に残りにくいというものでした。
文章力が本作で飛躍的に向上したとかっていうのではないのでしょうが、テーマや方向性がシンプルになったことにより、ようやくライターの真価が発揮されたって感じですかね。
今まではグラフィックが中心でテキストはオマケという感じだったのが、本作では逆になり、テキストの存在感の方が大きかったです。
もしこういう方向性の作品を作るのであれば、ライターの新作も読みたいって思いますね。
今作で一気に自分の中での注目ライターになりましたよ。

<グラフィック>

ここの作品に注目する人って、まず間違いなく珈琲貴族さんの絵が好きな人だと思います。
自分もその一人なので、どうしても主観的な好みで語ってしまうのだけれど、やっぱり珈琲貴族さんの描く黒髪ロングの娘は最高ですね。
前作は透過しないテキスト欄で、グラフィックの持つ良さを消してしまうという意味不明仕様でしたが、今作では改善されていますし。
ようやく落ち着いてグラフィックも堪能できるようになりました。

ただ、ここまでの感想って、ぶっちゃけ何となく自分が気に入ったというだけで、名作と言い切れる明確な特徴って乏しいわけでして。
その明確な特徴になりえたのが、本作の公式ジャンルに書かれている、「黒髪濡れフェチ」って部分なのでしょう。
確かに、本作は雨に濡れて欲情するとか、Hも着衣にこだわるとか、特徴的なものはあるのですが、グラフィックから、濡れた少女特有の良さ、つまり濡れフェチ最高って思わせるものは感じ取れませんでした。
もう少し濡れた少女の魅力が引き出せていれば、文句なしに名作扱いにしたんですけどね。

<総合>

というわけで、主観的には満点に近いのですが、いつも私は主観的に好みってだけでは名作扱いしないので、総合でも良作としておきます。
限りなく名作に近い良作でもあり、本当に予想外の掘り出し物でした。

まぁでもランクは一応の他人向けでしかなく、ほとんど意味ないですね。
若い人がプレイして盛り上がらん地味~とか言い出しても、その気持ちも分かりますし。
でも他人がどう言おうと、自分は気に入ったからそれでOKな作品なのです。

特に目新しい部分がある作品でもないですし、万人にぜひプレイしてとオススメする作品ではありません。
しかし、たぶん、ここを訪れる人って、他所のアダルトゲーム系サイト・ブログよりも、年齢の高い方も多いと思うんですよね。
オッサン向けというと、また変な誤解を生みかねないですし、そういう表現は避けた方が良いのでしょうが、主流の若者向け学園イチャラブゲーは興味を失ったという人もいるでしょう。
個人的には、そんな人にこそ、プレイしてもらいたい作品だなと思いますね。

結論は既に書いてしまっているのですが、こういう作品が出てくるのであれば、自分はまだまだ現役で楽しめるわけで、出会えて良かった作品でした。

ランク:B(良作)


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Last Updated on 2024-10-15 by katan

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