『あまつそらに咲く』は2023年にWIN用として、studio ailaから発売されました。
高校最後のひと夏という青春を描いた作品ですね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
「久しぶりにみんなで遊ぼうよ!」その一言からはじまる、最後のなつやすみ。
高校最後の夏。大学進学、就職……。
みんながそれぞれの道に進んでいこうとしている人生の分岐点。
ちいさい頃から一緒だった友人たちもそれぞれの道を進んでいく。
みんなで過ごすことができる最後の夏。
『夏を忘れない思い出にしよう。』
だれかが言ったその言葉から始まる、茹だるように暑い、鮮明な夏の日。
大丈夫。きっと忘れない。たとえ、目に見えるものが偽物だとしても。
<感想>
良く言えば堅実、悪く言えば地味、決して悪くはないし、雰囲気の良い作品だとは思うもののの、いざ文章化しようとすると、何か引っかかってしまう、そんな不思議な作品でした。
本作は高校最後のひと夏の青春を描いた作品になります。
ただ、純粋に現実の青春だけを描いたわけではなく、ファンタジー要素も混ざってきます。
ここが判断の難しいところであり、全体の雰囲気は良いはずなのに、ストーリーにどこか既視感がつきまとうようで、素直に褒めきれないのです。
まぁ、良く言えば王道とも言えますので、その辺は捉え方次第かもしれませんね。
ひと昔前ならともかく、今のユーザーには、ファンタジーだの奇跡だのはなくても良いから、現実に即したリアル志向で描いた方が受けるように思うんですよね。
まぁ、同人だから作りたいものを作ったと言われればそれまでだし、別に悪いということでもないけれど、率直な印象として、今風の作品だなというのではなく、むしろ、ひと昔前の作品っぽいなと思ったということですね。
そして、本作をプレイしていて、私が一番思ったことは、音声が欲しいなということでした。
ここを良く訪れてくれる方であれば分かるかもしれませんが、私が音声が欲しいと書くことは珍しいと思います。
ただ、競合する作品が多い分野だけに、音声がないと、どうしても物足りなく感じてしまいます。
同人ゆえのUIの弱さ、演出の乏しさに加え、音声なしで、この手の物語ということで、どうしても地味に見えてしまうのでしょう。
何か一つでも、今のゲームっぽさがあればまた違ったのですが、どうにもかみ合わせが悪かったように思います。
他方で、良いなと思えたところは、1枚絵の構図でした。
主人公らが楽しそうにしている光景がしっかり描かれているので、あぁなんか良いなって、純粋にそう思えたものですから。
特殊な演出とかがあるわけでもないので、それほど大きな加点にはならないかもしれませんが、本作の1枚絵には好印象をいだきました。
正直なところ、私はあまり本作のテキストが合わないのかもしれません。
だから読んでいるだけだと、それほど面白く感じなかったのですが、要所要所で、グッと作品に引き込まれることがあり、それは1枚絵の魅力抜きには語れないのでしょう。
<評価>
総合では佳作とします。
ひと夏の青春を描くとして、その光景はきちんと1枚絵では表現できていたわけで、そうした良いところがあっただけに、余計にも他の部分がいろいろもったいなく感じてしまった作品でしたね。
これ、最初からぴったりの音声が付いていれば、良作と思えていたかもしれません。
雰囲気が大事な作品だけに、ちょっとした違いで大きく印象がかわる可能性があると思います。
この記事を掲載するころには、ゲーム機で移植版が発売されていると思います。
私は通常、オリジナル版をプレイすべきと考えます。
ただ、そんな私でさえ声が欲しいと感じたくらいですので、本作に関しては音声の入っている移植版の方が良いかなと思いますね。
ランク:C(佳作)


Last Updated on 2024-12-03 by katan
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