『拐 ~カドワカシ~』は2003年にWIN用として、ZyXから発売されました。
調教SLGの『虜』を作ったメンバーの一部による新作であり、事実上の虜3、或いは外伝となるのでしょうか。
<概要>
ゲームジャンルは調教SLGになります。
あらすじ・・・とある女子学園の美術講師をしている主人公。
ある日主人公は、いじめを受けていた学生、朋子を助ける。
しかし、その朋子にサディスティックな気持ちを抱いた事を見透かされ、ついには乱暴に肉体関係をもってしまう。
その関係を通じて、サディストとして目覚めてゆく主人公に、朋子は何も知らない純真な少女を
思うように調教してみたくはないかと持ちかける。
朋子が何かを隠している事には気付きつつ、朋子の計画に乗る主人公。
自分は人を服従させ支配できるような人間に成り得るのか?
単純な肉欲からではなく、その答えを見いだすために調教を行う。
果たして主人公は、ヒロイン達を服従させ、支配する事ができるのか?
それとも、朋子の操り人形として終わるのか?
<感想>
このゲームを簡単に要約すると、以下のようになります。
『虜』-「広崎」分+「武藤」分=『拐 ~カドワカシ~』
つまり、調教SLGである『虜』から広崎さんのエッセンスを除いて、かわりに武藤さんのエッセンスが加わった作品ですね。
元々このゲームは、D.O.で『虜』を制作したメンバーによって作られたものであり、そのため良くも悪くも『虜』と似ているのです。
だから出来とか完成度の面では申し分ないし十分面白いのですが、それ以上の上積みもなかったわけでして。
そのため、パクリとか言われると、それはちょっと違うだろとも思うのですが、他方で、新しいシステムや試みを求める人にとっては、あえてやる必要もなかったのも確かでしょう。
また、実は、この制作したメンバーという表現が曲者でもありまして。
このゲームには、『虜』制作メンバーの一番の中心人物である広崎さんが加わっていません。
広崎さんは『虜』でグラフィックもシナリオも担当していますからね。
私は、『虜』は広崎さんのゲームだと思っています。
その広崎さんが関わっていないのであれば、全然別物だよと思う人も当然いるでしょう。
個人的には、グラフィックに関しては武藤さんも素晴らしいキャラを描くので、
明確な甲乙はなく、あとは好みの問題かなと思っています。
実際、本作が出て良かったですし。
でも、シナリオ面での替えは利かないものであり、その面での不満は残ってしまいました。
<評価>
基本的な進行も一緒なだけに、新鮮さを求める私には不満の方が大きかったわけでして。
そういうわけで劣化版『虜』の印象が強く、私の基準では名作にはなりえない作品ではありました。
それにしても、これが評価の面白さってものなのですが、調教SLG好きには私と同じような考え方の人が多いのでしょうか。
つまり、クオリティよりもオリジナリティを重視する考え方、そして作品を発売時の基準で評価する考え方ですね。
そのため、世間一般でも本作に対する高い評価はそんなにありません。
しかし、数の上で主流を占めるノベルゲームを好きな人の間では、必ずしもそうでないわけでして。
今の基準でどうなのかで評価する人が多いですよね。
そんな数年後には無意味となる評価の仕方には、個人的には疑問があるのですが、本題とずれて長くなりそうなのでそこら辺は省略します。
いずれにしても、そういう人が多いってわけですね。
本作を見た場合、私は演出面全般でも『虜』に圧倒的に高い点をつけます。
96年のDOSゲーがほとんどだった中で、あの絵・アニメーションに音声は別格なくらい突出していましたから。
他方、本作のグラフィックやアニメーションも確かに高品質で、十分長所とは言える完成度だとは思います。
しかし2003年の水準で考えると、一応長所とは言えても、それほど突出しているとまでは言えないのでしょう。
だから『虜』ほどの点数は付けられないのです。
でも、『虜』がいかに当時別格だったとは言っても、技術はどんどん進化しますからね。
その間にFFなんかは7から10まで行ってますし。
今の基準で見るならば、むしろ本作の方が綺麗なわけです。
演出面も良いし、ゲームの完成度も高い。
周りを見渡しても調教SLGに強かったセレンでさえも、2002年の『DEEP2』以後は本格的な調教SLGを作っていません。
この時期の調教SLGは、同人とか小粒なのがほとんどで、しっかりと作りこまれた作品なんてほとんどありません。
そうなると、本作レベルに作り込まれた調教SLGなんて、探してもまず見つからないのですよ。
だから、ノベルゲーで今の基準で評価する人が本作をやった場合、本作が最高の調教SLGと言い出す人がいても何ら不思議ではありません。
いや、むしろそうなるのが順当とも言えるでしょう。
多くの人のノベルゲーに対する見方と同じ基準で判断すれば、判断基準にブレがないのであればそうなるはずなのです。
もしそういう人がいれば私とは水と油な存在にはなりますが、でも確率的には絶対にある程度はいそうなものですけどね、
そうでもないから不思議なものです。
まぁ、だからこそ調教ゲーム好きの人のゲーム評価は、参考になる場合が多いんですけどね。
ちょっと脇道にそれてしまいましたが、結局何が言いたいのかというと、本作は過度に低く見られすぎだよねってことです。
オリジナリティ等の面から名作と言えないのは確かだとしても、現時点で本作を完全に凌駕する調教SLGが一体どれだけあるのでしょうか。
その意味での品質は十分に評価に値すると思いますし、素直に良作とは言えるかと思うんですよね。
当時はあえてやる必要もないかなとか思ったりもしたものですが、今となってはこの水準でも良いからゲームが出て欲しい、そう思ってしまう調教SLGの現状がとても寂しくみえるのですよ。
ランク:B-(良作)
駿河屋
DL版
Last Updated on 2024-04-18 by katan


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