『月の彼方で逢いましょう』は2019年にWIN用として、tone work’sから発売されました。
テキストは面白く、キャラも良かったのですが、それだけにゲームデザイン等の全体の構成の惜しさが、悔やまれる作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
本作は高校生編とアフター編の二部構成になっています。
あらすじ・・・
2年生の夏、青春の日々。
彼女たちは誰よりも気まぐれで、誰よりも謎めいていて、そして誰よりも美しかった。
初めての恋。甘酸っぱい思い出。
心残りと共に、夏の日は過ぎ去っていった。
25歳の夏。
気がつけば、サラリーマンになっていた。
空を見上げながら、ふと夢のような日々のことを思い返す。
懐かしむように、かつて学生時代に使っていたスマートフォンを起動する。
メッセージアプリを起動すると、自分自身にメッセージを送ってみる。
「後悔するぞ」
かつての自分に向けた、届くはずのない想い。
しかし、スマホは振動を返した。
「いきなりなんだよ?」
それは、過去の自分自身からのメッセージだった…
<感想>
同ブランドの過去作より自分好みの絵になったことと、評判が良さそうなことからプレイした作品でした。
上記の通り、本作は二部構成になっており、主人公とヒロインの恋愛を、短い期間ではなく、ある程度の期間を使って描いています。
また、本作はシリアスな要素だけでなく、SFの傾向もあることが、同ブランド過去作との違いともいえるのでしょう。
アフターを描いた作品とか、二部構成の作品とか、そうしたある程度の期間を描いた作品は、個人的には好みだったりします。
そのため、このブランドの作品には注目しがちなのですが、いつも冗長に感じたりして、いまいち楽しみきれていませんでした。
しかし、本作の場合、テキストも基本的に楽しめましたし、グラフィックも良かったことから、結構楽しめましたし、部分的に見るならば、かなり良いところもあったと思います。
ただ、どうしてもひっかかる部分があり、個人的にはその部分がとても気になってしまったわけでして。
若干主観的な話にもなるのですが、本作の場合、メインヒロインよりもサブヒロインのルートの方が、良い味を出していたりします。
そのサブヒロインのルートは後半に登場しますので、二部構成の構造がマイナスに働いてしまっています。
ここだけであれば、私の好みの問題ともなるのでしょう。
しかし、たとえば、多くの人が気になるであろう「うぐいすルート」。
これも、ネタ自体が絶対NGというわけではないと思います。
絶対駄目というわけではないとは思いますが、ここに否定的な意見が集まっているのは、プレイヤーが納得できるような描写が足りていないからなのでしょう。
イレギュラーな要素を入れるのであれば、そのイレギュラーな要素を納得してもらえるように、その部分にこそ、より多くの時間と容量を割くべきでした。
本作はそれができていないから、唐突で説明不足になってしまい、プレイしている方は納得しきれないのです。
<評価>
良い部分だけをみるならば、十分良作と言える内容の作品でした。
しかし、二部構成という枠組みにこだわったがゆえに、その枠組みに縛られてしまい、面白さが損なわれてしまったのかなと。
良い部分と悪い部分が混ざった作品は一杯あるし、良い部分で満足できるのであれば、私はそこだけを判断して評価するのもありだとは思います。
もっとも、良い部分と悪い部分とが、ゲームの構造上、一体になってしまっている場合には、分離が困難であり、全体で評価せざるをえなくなってきます。
したがって、総合では佳作とします。
繰り返しになりますが、一定の期間を扱うこと自体は良いのです。
しかし、それと二部構成はイコールの関係にはありません。
本作は二部構成というゲームデザインにこだわったがために、いろいろ問題が生じてしまったように感じました。
総合では佳作となりますが、可もなく不可もないというような作品ではなく、部分的には良いところもあっただけに、次回作には期待したいものです。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-08-09 by katan



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