『少女猟奇譚 獣の告白』は2014年にWIN用として、BaseSon Lightから発売されました。
途中までは間違いなく名作といいたくなるくらいに凄く面白かったのですが、触手がふぉ~っと出てきたことで事態は一変することに。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・主人公草間淳一郎は地方紙に連載を持つ駆け出しの作家だった。
身の回りの世話をしてくれる女中を募集した草間のものに現れたのは数年前、書生だった彼が家庭教師をしていた令嬢『保科雪子』であった。
震災直後、一家が夜逃げ同然に姿をくらまして以来の再会であった。
凛とした美しさは保ちながらも、令嬢だったことを感じさせない献身的な働きに心打たれる草間。
かつてとは立場の違った共同生活が始まる。
同じ頃、文壇サロンに出入りすることになった草間の前に、豪奢な銀髪の美少女が現れる。サロンの女王として振る舞う少女の正体は、かつて出会った娼婦『奈緒美』だった。
震災の混乱に乗じて上流階級に潜り込んだ彼女は、その美貌と狡猾さで社交界で成り上がっていた。
雪子と穏やかな交流を深めながらも、奈緒美との関係も続く。
サロンで開かれる秘密倶楽部を覗いた草間は、奈緒美に雪子を蹂躙される悪夢を見るようになる。
近付いてゆく悪夢と現実の距離。草間と雪子の二人に執着する奈緒美の思惑は何か。
荒れ狂う情愛の前に悲劇は不可避なのか。
絶望の果てに判明する真実とは。運命は物語を何度でも覆す。
<感想>
主人公が出会った二人の少女、雪子と奈緒美。
雪子はお嬢様であり、一方の奈緒美は娼婦。
しかし、震災を経て駆け出しの作家になった主人公が再会した時、二人の立場は逆転していました。
お嬢様だった雪子は家を無くし女中として主人公の下へ、そして奈緒美は社交界で成り上がり上流階級に潜り込むことに成功。
大正から昭和初期辺りの少し前の日本を舞台としつつ、二人の少女の明暗・対比を描いた作品として、本作のライターである、うつろあくたさんは、以前にも『僕は天使じゃないよ』(2005)を出しています。
時代背景や二人の少女の対比という点で本作も非常に似ているなと、まず最初に感じたのはそのことでした。
『僕は天使じゃないよ』も面白くて好きだったのですが、もうひと押し足りなかったことから、総合では良作としていました。
『僕は天使じゃないよ』は独特の、エロゲでは非常に珍しい、言い換えれば人を選ぶかもしれない文体だったのに対し、本作では誰でも読みやすく物語に入っていきやすい文体になりました。
また、グラフィックもサウンドも非常に良かったですからね。
これは間違いなく名作になるだろうと、途中までは半ば確信に近い思いでプレイしていました。
実際、凄く面白かったのですよ。
起承転結の起承転ぐらいまでは完璧で、2014年に名作扱いした他のノベルゲーを軽く超えるくらいに。
『僕は天使じゃないよ』の後継作として、完全に超える作品が遂に出てきたのかと興奮さえしたものです。
・・・が、触手がフォっ!!と出てきたことで事態は一変しました。
大きく変化するのが「一転」で、まるっきり変わるのが「一変」ならば、まさしく一変したというべきなのでしょう。
目の前に起きたことが信じられず、しばらく茫然としてしまいましたが、本作をプレイした人は皆同じだったと思います。
本作は二人のライターが担当しているのですが、通常はヒロインごとに分担することが多いです。
ルートが異なると別物とも言えますから、ストーリーが大きく異なっても特に違和感は生まれません。
しかし本作の場合、ストーリーの途中までと終盤以降でライターを分けたような作品であり、終盤に入るとそれまでの流れが全く嘘だったかのような、全然異なる雰囲気・ジャンルの話になっていくのです。
私は触手ものも、ホラーモノも好きで何作もプレイはしているけれど、これ、そういう作品じゃなかったでしょ。
数奇な運命に翻弄される二人の少女の対比を繊細に描写してきたはずなのに、何で突然触手ファンタジーになってしまうかな?
あまりの豹変ぶりに、ただただ驚かされました。
<評価>
とりあえず、何で触手出したし・・・
この作品でそれはあかんやろ・・・
何ていうのかな、野球で例えるならば、8回までコントロール重視の投手が緻密なピッチングで2塁も踏ませぬ快投で0点に抑えていたのに、9回に突然、ノーコンの剛腕投手に交代され、その投手が炎上し大量失点で逆転みたいな、そんな感じの作品でした。
悪い意味で、ここまで驚かされたのも何年ぶりですかね。
これは名作間違いないだろと思ってプレイしていたのに、全部吹き飛んでしまいました。
今の私はラスト偏重ではないので、多少終盤がこけても、途中までが非常に面白ければ名作扱いすることもあります。
しかし、さすがにこれはないだろと思うような、それまでの楽しさを木端微塵に打ち砕く終盤でした。
失速しても構わないから、途中までと同じ流れであれば、それで十分だったのですけどね。
何とも残念で勿体ない作品でした。
プレイしてみないと何を言っているのか分かりにくいかもしれませんが、とりあえずエロゲやりすぎて驚くことがなくなってきた人とか、茫然としてしまうような刺激が欲しい人にはオススメですかね。
(ただし、それが面白いとは言わないが・・・)
むしろ、ポカ~ンとしてしまったという仲間が増えることを、個人的には密かに望んでいます。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-10-21 by katan



コメント
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私もこの作品をプレイして、茫然自失状態になった仲間の一人ですw
「僕は天使じゃないよ」は2005年発売作品の中でもトップクラスに好きな作品でした。
ゲーム内容やスタッフの類似から、僕天のようなゲームが再びプレイできることに喜びを感じていました。
実際、プレイ中のゲーム没入度はここ数年でもトップクラスで、まさに完璧な作品でした。
そう、終盤までは…w
なんでこんなことになってしまったのか…、最悪のどんでん返しでした。
今思えば、本作のような一本道の短編作品で、シナリオライターが二人というのも怪しかったですね。
うつろあくたさんが、終盤のオチをもう一人のライターに丸投げしたと言われても信じてしまいます。
この記事を読んで、プレイした頃を思い出すだけで、なんとも言えない悔しさが込み上げてきました。
こういう作風はモロに好みなので、非常に残念です。
僕天や本作に似た作風の他の作品があれば、是非とも教えてほしいです。
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> 私もこの作品をプレイして、茫然自失状態になった仲間の一人ですw
仲間がいましたかw
でもこれ、たぶんほぼ全員が同じ様な感想を抱きそうですよね。
> うつろあくたさんが、終盤のオチをもう一人のライターに丸投げしたと言われても信じてしまいます。
逆に、それしか信じられないような。
普通の人の感覚では、あのオチにはならないでしょうし。
> 僕天や本作に似た作風の他の作品があれば、是非とも教えてほしいです。
基本的に作品ごとの違い・個性を探し出そうとするタイプなので、
その作品ならではという部分は記憶に残っても、
逆に似ている部分は忘れやすく、
そのため「~と似た作品ないですか」という質問には弱かったりします。
あと、ここしばらく精神的に追い込まれていまして、
頭が回らないというのもありますが。
少し冷静に考える余裕が生まれて何か思い出したら、
日記か何かの記事で書いておきます。
ただまぁ、何となく思い浮かんだのが『夢二 浅草綺譚』でして。
PC98の(今となっては)マイナーシナリオゲーには、
幾つかこういう感じの作品があったのかなと。
なにせ僕天や本作をプレイしていて感じたのは、
PC98時代のゲームっぽいなということですから。
もっとも今更PC98作品を挙げるのもどうかと思うし、
できればWINゲーでと思うのですが、それは思い出したらということで。
こういう作品は、間違いなくシナリオ重視の作品なのだけれど、
いわゆるシナリオゲー重視と言い出す人の好む作品とも少しずれ、
またエロ重視な人の視点からもずれてしまうので、
どうしても埋もれてしまいやすいのがネックですね。