お嬢様特急

1998

『お嬢様特急』は、1998年にPS及びSS用として、メディアワークスから発売されました。
タイトルは、「おじょうさまエクスプレス」と読みます。

元は『電撃G’sマガジン』内の読者参加企画であり、あかほりさとるさんが企画したことでも話題性の高い作品でした。

<概要>

あかほりさとるさんの企画ということで、期待するにしろしないにしろ、とにかく話題性は高かったですね。
人によっては、その名前だけで敬遠する理由にもなるかもしれないですが、それでも一定の注目はせざるをえないって感じでしたから。
ましてや本作は雑誌内の読者参加企画を元にしておりますし、その点で注目度は更に高かったのでしょう。
私自身は、この当時の『電撃G’sマガジン』は定期購読まではいかなかったので、この企画にも興味がなかったのですけどね。
だからどれだけ人気があったかとか詳しくは覚えていないのですが、雑誌との連動で成功した『女神天国』などの例もありますし、潜在的な注目度という観点からのポテンシャルは、かなりあったのではないでしょうか。

本作はいわゆる恋愛ADVになるのですが、98年という時代的なこともあってか、SLG色も混ざったような構造になっています。

<感想>

本作は恋愛ゲームですが、よくある学園ものではなく、超特急ヴェガと途中で立ち寄る観光地を舞台とします。
即ち北海道・稚内から出発し、途中の観光地に寄りながら、15日かけて日本を縦断するのです。
その旅の過程で、電車に乗車してくる様々なヒロインと出会うことになります。

家庭用ゲーム機という枠内で考えるならば、あまり他にない設定と言えるのでしょう。
全国各地という点で言えば『センチメンタルグラフィティ』も似ていますが、本作は電車内での出会いや会話が主なので、やっぱりプレイ感覚が全然違いますから。

だから人によっては新鮮に感じたとは思うのですが、PC98でゲームをやっていた人には、『セクスプレス』-「エロ」って見えたのではないでしょうか。
まぁ、私自身がそうなんですけどね。
設定的には『セクスプレス』と同様であり、本作はそこからエロをなくしたようなものなので、個人的にはあまり設定に魅力を感じられませんでした。

ストーリーそのものは普通に楽しめる作品だったのですが、後述するシステム面の兼ね合いもあり、
いわゆる恋愛もののノベルゲーよりもあっさりした感じでもありました。
これはこれで今となっては味わいがあるように思うものの、ノベルゲーのようなしっかりしたテキストを求める人には、基本的に相性はあまり良くないように思います。
もっともいかにもなギャルゲーでもないことから、恋愛ゲーに偏見あるような人でも逆に楽しめるかもしれません。

ゲームデザイン

ストーリーそのものは個人の好みで左右されつつも、基本的には良好だと言えるでしょう。
否定意見が出るとすれば、それはおそらくシステム面になると思います。

ゲームは電車内と観光地を交互に繰り返し、電車内での移動先の選択などはあるものの、基本的にはキャラとの会話が中心になって進みます。
そのため、ベースとしてはノベルゲーと変わらないのです。

ただ、ゲーム機の恋愛ゲーはSLGからADVへと主流が移動し、この頃はちょうど過渡期でもありました。
そのために、中途半端に両方の要素が混ざったものが多数登場したのです。
本作もまた、その中の1本だったわけですね。

具体的に言いますと、本作には「マルチプル・デュアル・システム(MDS)」が導入されています。
これはヒロインらの行動パターンや言動が、主人公の接し方によって変わっていくというものでした。
このシステムが上手く機能していれば凄い作品になったのかもしれませんが、実際にはランダム要素に毛の生えた程度のものでした。
このランダム要素というのが厄介で、フラグ管理がしっかりしていないこともあり、会話に整合性がない場面が生じてしまいました。
大雑把にイベント単位で流せる人ならば大丈夫かなとは思うものの、整合性に厳しい人ほど合わない可能性は高まるのでしょう。

SLGとして他にゲーム性があれば多少の整合性の拙さも誤魔化せるのでしょうが、本作はADVにランダム性を混ぜたため、余計にも粗が目立ってしまったというところでしょうか。
普通にADVにしていれば、もう少し世間の人気も高くなったでしょうに。
まぁ単なる読み物にしたくないとの意気込みは好きなんですけどね。
列車内のオマケゲームなども嬉しかったですし。
それだけに、どうしても惜しく感じてしまいます。

グラフィック

本作がエロの抜いたセクスプレスに見えた私にとって、本作の一番の特徴と感じられたのがグラフィックでした。

キャラデザ自体はいかにもな萌え絵とは異なっていて、今振り返れば個性と感じられるのですが、当時は萌え絵が好きだったこともあり、どうしても地味に見えてしまいました。

だから良いなと思えたのは、キャラそのものではなく背景になります。
すなわち、車内から見える背景が動いていて、ここが電車の中なのだということがきちんと伝わってくるのです。
こういうことはPC98では無理ですから、明らかにセクスプレスを上回る要素と言えます。
この点において、本作をプレイする価値を見いだせたと言っても過言でないでしょう。

そして、本作は、古い作品を超えたというだけではありません。
本作から10年近く後の背景の動きが話題となったアダルトゲームがありますが、その動きより本作の方が動きによる臨場感があるわけでして。
大手のギャルゲーとアダルトゲームでは資金力が違うとも言えますが、そんなことはプレイヤーに関係ないですからね。
ギャルゲーよりアダルトゲームの方が価格が高く、それでいて10年以上経っても本作より動かないゲームが一杯あると。
アダルトゲームのエフェクトは進化したと言う人も多いですが、二次元系のゲーム全般という範囲で考えた場合、進化どころかむしろ退化とも捉えられるだけに、現状が何とも寂しく感じられてしまうのです。
シナリオにしか興味を示さなかった90年代後半のユーザーにも責任がありますが、全ての要素が進化していったわけではなく、要素によっては逆に退化したことは忘れてはならないのでしょうね。

総合

本作がセクスプレスより先に発売されていれば、私は良作以上の評価をしていたかもしれません。
先入観はできるだけ除きたいとは思うものの、それでも完全に無くすことは無理です。
私にとっての本作は、まず最初にエロの無いセクスプレスというものであり、そうであるが故に評価としては佳作止まりになってしまいます。
ただ、今でも見るべき価値のある部分もありますし、少し改良すれば化けるポテンシャルも十分に秘めていたわけでして。
いろいろ惜しいと感じると共に、今尚失われない魅力を有した作品だと思いますね。

ランク:C(佳作)


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Last Updated on 2024-12-29 by katan

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