『コンサート』は1994年にPC98用として、アーヴォリオから発売されました。
音楽というのはゲームにつきものなわけですが、そのわりには音楽をテーマにしたゲームは少ないように思います。
<概要>
ゲームジャンルは移動式ADVになります。
音楽を題材にした作品は少ないことは少ないのですが、ポツポツと忘れた頃にどこかしらが出してたりもするんですよね。
近年で言えば工画堂のミュージックアドベンチャーシリーズとか、ノベルなら『キラ☆キラ』であるとか。
本作もそんな音楽を扱ったゲームであり、上に挙げた作品を足して2でわったような路線ですかね。
もちろん、本作は、上で挙げた作品らよりずっと前の作品ですし、当時は音楽をメインにした作品はより希少だったのであり、その点は忘れてはいけないのでしょう。
<ゲームデザイン>
ジャンルはADVなのですが、RPGのように大きめのマップ内を直接移動させるタイプです。
そう聞くと、当時の人であれば、『同級生』を連想するかと思います。
移動式のADVは、『同級生』の発売以降、アダルトゲームの中でも少しずつ増えていて、本作がその流れを汲む作品であることも間違いないのでしょう。
もっとも、本作には時間の概念はありません。
そのため、イメージ的には、RPGの町の中でうろついている感じですね。
ここ数年、同人ゲームではRPGブームになっています。
もっとも、RPGと名付けられていても、作成ツールがRPG用ってだけで、特に戦闘や育成のない作品も多数あり、それらは移動式ADVだよなと思います。
PC98時代の作品は知らないけれど、近年の同人ゲーは知っているという人は、そうした移動式の作品を想像すれば分かりやすいのではないでしょうか。
<感想>
ストーリーはロックバンドのリーダーとなって、5人の女の子と共にメジャーを目指すってものです。
私が普段重視することの1つに、そのテーマに対して、そのゲームジャンルやシステムは相応しいのかというのがあります。
読むしかできない小説じゃないんだから、幾らでも工夫のしようがあるわけですからね。
メンバー集めに人々との交流、バンドによる演奏を空間的にも表現しようとしたことで、この作品にRPGっぽいシステムを導入した意図は成功だと思います。
その点だけでも、ただのノベルゲームより格段に印象が良いです。
ただ、手段の選択は正しかったのですが、その選んだ手段の中身が問題だったわけでして。
ストーリーは普通ってところなのかもしれませんが、ゲーム部分が退屈でね。
ときおり画面クリック的要素もあったし、いろいろやろうとした意欲は評価したいところなのですが、どれもこれも作りこみが甘いんですよね。
『同級生』を模倣しようとして、しきれなかった感が拭えません。
『同級生』は別格としても、この年には『不揃いのレモン』とか、他にも直接移動させるタイプのゲームがあるわけです。
同じシステムでも良し悪しがあるわけで、本作はどうしても他の優れた作品と比べると見劣りしてしまったんですよね。
<評価>
ゲームの出来自体は必ずしも良好とは言えないかもしれませんが、安易にコマンド選択式やノベルゲームにしなかった点、当時は音楽をテーマにしたゲームが珍しかった点を評価して、ギリギリ良作としておきたいと思います。
こういうのはね、実に勿体無いですよね。
目の付け所が良かっただけに、大手が作っていたら凄い名作にもなりえたかもと思うと、どうしても惜しいなと思ってしまうのですよ。
いずれにしても、珍しいタイプの作品ではありますし、っていうか、これと被るような後継作品って、今でもないと思いますので、移動式ADVが好きな人や音楽系ADVに興味がある人には、ぜひプレイしてみてもらいたい作品だと思いますね。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-10-10 by katan


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