『コンチェルトノート』は2008年にWIN用として、あっぷりけから発売されました。
とにかく幼馴染でメインヒロインの莉都が魅力的で、素晴らしい作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
倉上進矢は追い詰められていた。
事故により長期の入院生活が開けた後、彼の立場は一変していた。
諦めて働こうとした所に、初めて訪れた幸運。
懐かしい幼馴染からの連絡と再会。
彼女がもたらしたのは、新しい学園と月光館という古ぼけた洋館だった。
<フローチャート>
まずゲームデザインについて、基本的に普通のノベルゲームなのですが、本作にはフローチャートがついています。
これは決して斬新というわけではないのですが、いまだに付けてないところが大半ですからね。
加えて、本作ではフローチャート上から任意に好きな地点にも戻れます。
これにより長い既読スキップで画面をボ~っと眺めているという、この当時のノベルゲーの大作にありがちなマイナス点が解消されています。
また、任意で戻れることから、自分でセーブする必要もなくなりました。
そのため、セーブのし忘れでやりなおしをするはめになったり、無駄足を踏んでやる気を削がれるようなこともなくなりました。
フローチャート自体は昔からあったとはいえ、ストーリーのボリュームが少なかった昔のノベルゲーでは、このシステムはそんなに威力は発揮しなかったと思います。
しかし、全体のボリュームが増え、既読スキップに長時間を要するノベルゲーには、ますます有用になっていくシステムといえるでしょう。
したがって、本作での導入はとても好印象だでしたし、他所も真似てほしいと思います。
<感想>
ストーリー上のジャンルとしては、一応伝奇ものでもあります。
幸御魂のたまが出てきて中枢にも絡んでくるので、伝奇要素はあると言えるのでしょうが、
出来自体は普通だったのかなと。
もう少し煮詰めれば良かったのでしょうが、ちょっと消化不良気味でしたかね。
したがって、伝奇ものとしてはそんなに優れてはいないのでしょうが、本作はむしろ主人公と、相棒でありメインヒロインである莉都らが、自らに降りかかる不幸から逃れようと懸命に頑張る姿を描いた、成長物語と考えた方が良いでしょう。
キャラゲーだと思ってキャラ目当ての感覚でいた方が、楽しめるのではないでしょうか。
となると、キャラやテキストがどうなのかが問題になってきますが、これが驚くくらい自分には合いました。
そもそも私は、近年の学園ものの多くが楽しめません。
1つは、どれも同じような感じで飽きてしまっていること。
1つは、序盤のコメディ部分が苦痛であること。
ラブコメは今でも好きなのですが、最近の奇天烈なキャラやパロディに頼ったギャグ、ヘタレな主人公や年齢に精神面が遠く及ばないキャラとかに、すっかりと辟易しているのです。
本作は学園ものなので、どうしても最初の印象は、あまり良くありません。
それなのに、す~っと入っていけたわけでして。
これは、上に書いたようなキャラやテキストがないからなんですね。
奇天烈なキャラややパロディに頼っていないにもかかわらず、何だか妙に面白いわけでして。
それは大笑いする類のものではなく、クスリとかニヤリって感じのものなのですが、終始そんな感じで楽しめるテキストもそうはないものです。
まだ書き慣れてない所もたまに見受けられ、特別文章が上手いってわけではないんですけどね。
技術的な面ではなく、もっと根っこの部分でセンスがあるんでしょうね。
他のライターとはちょっと違う雰囲気で、これには驚かされました。
たぶんアダルトゲーム歴の長い方をはじめとして、私と同じような理由で最近の学園ものが苦手な人もいるかと思います。
そういう人には意外といけるかもしれませんね。
他方で、逆の場合は、もしかしたら注意が必要かもしれません。
つまり、最近の恋愛系がどれも楽しめちゃうような人には、本作は、パロディネタや奇抜なキャラに頼った派手さがないために、地味で面白みのないものに映る可能性は否定できないと思います。
キャラも良かったですね。
主人公は苦労人なのですが前向きで、とても好感が持てるタイプです。
主人公は、幼馴染でもある莉都を相棒と言いますが、一見完璧超人な莉都の相棒は彼しかいないと納得させてくれるような、きちんとした行動力もありましたし。
ヒロインでは、やっぱり莉都につきますね。
というのも、他にもヒロインはいるのですが、他のルートはあまり大したことがなく、ストーリー的にもキャラ的にも、作品内での莉都の占める割合は非常に大きいです。
本作は、莉都ルートをやらなければ何の意味もない作品ですし、莉都を気に入るか否かで作品の印象もガラリと変わるでしょう。
つまり本作は、莉都ゲーってことですね。
ここはどうしてもその人の感性次第になってしまうのですが、莉都と主人公との絡みは面白いし、主人公のことを誰より信用し信頼しているのに、依存し過ぎるわけでもなく自分というものをハッキリ持っている態度、知的でサバサバした性格は、見ていてとても気持ちが良いものでした。
恋愛ゲーを多くプレイすればするほど、個々のヒロインへの愛着も減ってしまいますし、これはと何年も印象に残るヒロインにも出会えなくなります。
たぶん多くのユーザーが、恋愛ゲーを初めてプレイしてから数年以内に出合ったヒロインが、いまだに印象深く残っているでしょう。
記号化された萌えは、ある意味では洗練された結果なのであり、初めて出会ったユーザーに大きな影響を与えるのでしょう。
しかし定型化されて深みがないために、数をこなすと次第にどれも同じに見えてくるのです。
近年の恋愛ゲーでお気に入りキャラが出にくくなった私が、莉都には強烈な魅力を感じたのは、安易に萌えに頼らず、その内面をしっかりと築き描ききったからなのでしょうね。
<評価>
総合では、ギリギリ名作とします。
当初は良作としていました。
キャラやテキストは良かったのですが、メインのストーリー自体はそれ程でもなかったですしね。
キャラやCGも好きなものも多いのですが、たまに雑なところもあったりしますし。
主観的にはかなり好きな作品ではあるのですが、名作と言うにはもう一つ何かしらインパクト・長所が欲しかったのかなと思い、それで名作に一歩届かずと考えていました。
しかし、莉都というヒロインの存在、フローチャートを進化させた構造等から、単独では名作と言い切ることはできないものの、合わせ技一本で、名作として良いと考えをかえました。
まぁ、いずれにしろ、評価以上に主観的には好きな作品でしたね。
最後に、このゲームは初心者向けと言われることもあります。
実際、私もそういう面はあると思います。
しかし本作は、エロゲを始めてから数年経ったような、そんな初心者を脱却したてのユーザー層と相性が良くないのであって、逆に90年代ごろからやってるような人には意外といけるんじゃないのかなと。
個人的には、もう恋愛ゲーは楽しめないのかなと思っている人にこそ、本作をプレイしてもらいたいですね。
ランク:A-(良作)
Last Updated on 2026-03-02 by katan
![コンチェルトノート[初回限定版]](https://www.suruga-ya.jp/pics/boxart_m/145018793m.jpg)



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