Crescendo ~永遠だと思っていたあの頃~

2001

『Crescendo ~永遠だと思っていたあの頃~』は2001年にWIN用として、D.O.(ディーオー)から発売されました。

テキストの評判が高かった恋愛ノベルであり、特に姉好きは必見の作品といえるでしょう。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
主人公・佐々木涼は卒業を5日前に控え、出席日数の不足を埋めるための補講に出席していた。
振り返る3年間の数々の思い出達。
放課後の暇を共にした夕暮れの図書室。
そこで過ごした仲間、そして後輩。
「さぼり」で世話になった保健医、今まで自分を育ててくれた義理の姉。それから…。
「卒業」という節目に近づくにつれ、「徐々に強く」そして激しく募るそれぞれの想い。

<感想>

結局のところ、あなたはゲームに何を求めているのでしょうか?
たぶんその答えによって、このゲームに対する印象は、がらっと変わるのだと思います。

本作は、画面全体に文章が表示されるタイプのノベルゲーになります。
結論から先に言ってしまいますが、もしノベルゲームに一番求めている要素がテキストだけであるならば、このゲームは買いなのでしょう。

舞台は、卒業を間近に控え、独特の雰囲気が漂う学園。
何となく、『卒業写真/美姫』を思い出しました。
その雰囲気の中で綴られる、主人公とヒロインとの純愛ストーリー。
決して派手さはないけれど、無駄がなく、それでいて表現豊かなテキストにより、実に上手く描かれていました。
そういう意味では、当時業界屈指のライターであり、ここに比重を置くプレイヤーは必見の作品であると言えるでしょう。
テキストの描写だけならば、名作級の完成度を持った作品だと思います。

本作の発売されたゼロ年代の頃って、恋愛ゲーでも萌えが強い時代でした。
ヒロインに突飛な口癖があったり、何かしら現実離れした特徴が付与され、そうした特徴が萌え要素を生み出していました。
また、そういう萌え要素の高い作品が、ゲームとしても高い支持を得ていました。
しかし、本作には、当時流行っていたような萌え要素はありません。
現実路線の恋愛ゲーなのです。
そのため、当時の恋愛ゲーの主流路線が好きな人の場合、本作は地味に見えるでしょうし、あまり良さが分からないように思います。
他方、流行りの萌え要素なんていらない、優れた恋愛小説を読むような体験をゲームでしたいという人も少なからずいると思います。
本作は、そういう人向けの作品なのです。

ただ、本作には注意すべき点もあります。
すなわち、本作に音声はありませんし、派手なエフェクトもありません。
(なお、その後にはフルボイス版が発売されています。)
原画も癖が強くて、あまり良いとは思えませんでした。
少女漫画っぽい絵柄なので、当時流行りの萌え絵が好きな人には、おそらく物足りないでしょう。
また本作は、ゲーム性があるわけでもないし、ボリュームも大してありません。
テキストは抜群でも、ストーリーそのものは王道路線で、ちょっと少女漫画っぽさがあるだけで、内容にあっと驚くような奇抜さはありません。
つまり、テキスト以外は並かそれ以下の作品なのです。

私は、個性を重視しつつも、様々な項目を総合的に判断します。
何より、他形式にないものを求めてゲームに手を出した人間です。
本作の場合、テキストは確かに良いと思うのですが、決定的に私が求めているものと方向性を異にするのです。
つまり、この作品を絶賛するのならば、私は素直に小説等を読んでいるでしょう。

ノベルゲーは、テキストやCGやサウンド等が組み合わさることで、その相乗効果で楽しさが増すと言われます。
でもそれって、逆に作用する場合もありうると思います。
本作は、萌えに頼らない恋愛ストーリー、流行りとは異なる少女漫画っぽい原画、画面全体をテキストで覆う、いわゆるビジュアルノベルスタイル、音声なし、無駄なく簡潔に描かれるテキスト等、様々な要素があり、一つ一つは特に問題はないのですが、これらが組み合わさることで、なんだか古臭い印象を受けてしまいました。
個人的には、それが一番引っかかってしまいました。
何かしら今っぽい要素があれば、作品の印象も異なっていたかと思うと、ちょっともったいなかったです。

<評価>

上記のとおり、気になった部分はいろいろあるのですが、本作が流行りの萌え路線と一線を画し、独特の雰囲気を持った作品であることもふまえ、総合ではギリギリ良作とします。

ゼロ年代以降、こういう普通の恋愛ゲーは、逆に珍しいのかもしれません。
萌えが好きな人は、本作をあえてプレイする必要はないでしょう。
しかし、オタ向けの萌えとは関係のない恋愛ものを求めている人もいるはずです。
そういう方には、ぜひともプレイしてもらいたい作品ですね。

ランク:B-(良作)

Last Updated on 2024-07-18 by katan

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