家族計画

2001

『家族計画』は2001年にWIN用として、D.O.から発売されました。

田中ロミオさんのゲームで心底楽しめたのは、結果的に本作だけかもしれませんね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
沢村司は、家族の温もりを知らぬまま世間の冷たい風に当たってきたせいで、少しばかり排他的な人間になってしまった。
そんな司がある日、路地裏で一人の行き倒れの少女を拾った。
チャイニーズ。言葉も通じない。司が最も関わり合いたくないタイプの一人だった。
だが、司はその少女と同居生活をする羽目になってしまう。
それをきっかけに司の周りには次々と問題ありげな人々が集まってきた。
彼らの共通点は、「家族の欠落」だった。
やがてこの集団は共同生活を強いられていく…。

<感想>

どの時代にも面白い名作はあります。
昔の名作をプレイした人としては、古い名作を若い人にもプレイして欲しいとは思います。
しかし実際にプレイしたとして、必ずしも楽しめるとも限りません。
それには幾つか理由があります。
例えば、グラフィック等が年々進化することで、古い作品は見ること自体辛くなっていくことがあるでしょう。
繰り返しになるから後は省略しますが、こういう側面はゲームシステムやキャラ等他の場合にも当てはまります。

ただ、そういうゲーム自体の構造の変化だけではなく、その時々の流行り廃りといったプレイヤー側の嗜好もまた、決して無視はできないと思います。
例えば80年代のADVは推理物やSF物が多く、近年は恋愛物や伝奇物が多いです。
恋愛物が好きな人の全てが推理物も好きとは限りませんからね。
そう考えると、名作と聞いただけで飛びつくことは、決して賢明な判断ではありません。
あくまでも自分が楽しめる範囲で、古い名作に遡ることが大事なんだと思います。

さて、近年のアダルトゲーム。
主流のゲームシステムはノベルゲームですね。
ストーリー面では恋愛物でしょう。
補足するならば途中はギャグで笑いながらもラストでジ~ンと感動できる、そういう展開が多いでしょうか。
また90年代的なファンタジー路線ではなく、現実世界を舞台にした作品の方が好まれるでしょう。
現実世界内におけるファンタジー要素もない方が良いでしょうね。
可愛い萌えるキャラは必須、これは何より大事です。
優れた主題歌も欲しいところですね。
加えて、最近のゲームと古いゲームを同じものさしで見てしまう人は、出来る限りグラフィック等で、今の作品との落差を感じさせない作品の方が良いでしょう。

おおまかに特徴を拾っていくと、こんな感じですかね。
近年のノベルゲームが好きな人は、この条件を満たす範囲のノベルゲーの名作に手を出していけば、少なくともハズレと思うことはないでしょう。

では、この条件を満たす古い名作ってどこまで遡れるのか?
とりあえず私が真っ先に思い浮かぶのは、『家族計画』なんですよね。
上の条件は全部満たすと思います。
これより古いゲームだと、微妙に今の売れ線とズレていきますし。
古いゲームの評価って、時が経つごとに落ちていきます。
それでも本作の世間的な評価にあまり変化が生じないのは、ヒットする主流路線がこれ以降あまり変わってないからなのでしょう。

そういう意味で、『家族計画』は今でも通じうる名作であり、後続の作品の指標ともなりうる作品とも言えるのではないでしょうか。
古い名作もやってみたいけど、何から手を出すべきかがわからない。
そういう人は、本作からやってみるのも良いのではないかと思いますね。

さて、少し具体的に見ていきますと、システムは普通のノベルゲーになります。
ストーリーは恋愛もので、序盤は笑いつつも、最後にどっと感動が押し寄せてくるタイプです。
あまり奇跡とかに頼らずにそれでここまで出来るんですから、この部分はポイントが高いですね。
キャラ的には末莉と青葉がモロに刺さりましたが、ストーリーというかラストの展開は春花が一番良かったです。
春花のEDを見たときには、本当にプレイして良かったと思ったものです。

もっとも、私はあまり細かいことにこだわらない方です。
表面的に感動できればそれでもOKなところもあります。
そのため、本作もかなり楽しめましたが・・・
家族や人間をテーマとしつつ安易に他人を貶めて仲間を持ち上げる展開は、テーマとの関連性ではたしてどうなのか?
配慮に欠け、手段が短絡過ぎる点は否めないでしょうか。
したがって、ストーリーの細かい所にこだわる人には、もしかしたら合わないかもしれません。
この辺は他の人の意見を聞いて、それでなるほどなと思った部分です。
私は気にならなかったけれど、その考えは十分に説得力があるよなということで、一応注意すべき点なのでしょう。

ライターは山田一(田中ロミオ)さんです。
前作の『星空ぷらねっと』は日常シーンのテキストがつまらないという欠点を晒してしまい、本作ではそれを如何に克服するかが問題でした。
結果としては私は笑いまくったので、本作では一応クリアと言えるでしょう。

ただね、パロディネタや時事ネタとかに頼った結果でもありましたから。
以後の作品でもパロディネタやシモネタに頼って、それで乗り切ったりしてますからね。
作品自体は笑ったし楽しめたから高く評価しますが、本質的にこのライターはこの部分のセンスはない気がしますね。

加えて、この人がかかわる作品は、どれもゲームデザイン的には難が多いです。
ライターとしては優秀でも、ゲームデザイナーとしてはいまいちということなのでしょう。
本作は共通部分が長くて個別が短いというバランス的なものだけなので、その難も他作品に比べるとかなりマシな方ですけどね。
『加奈』で見せた文章力が本物ならば、本質的にはゲームライターよりも小説家の方が向いてるんじゃないかな?
今はラノベを書いていますが、そっちの方が向いているのでしょう。

キャラデザは個人的にモロに好みです。
正直、この絵で購入を決めたくらいですし。
そのため、個人的には好印象ですが、派手な演出もないしCGの枚数も少なめなので、あまり期待しすぎない方が良いかもしれませんね。

オリジナル版は音声がありませんでした。
これ、どうなんでしょうね。
というのも、D.O.は早くから音声に力を入れており、90年代の作品では高水準な音声入りの作品を既に発売していますので、音声入り作品のノウハウは既に十分持っているはずです。
実際、翌2002年には音声等を追加したリメイク版を発売しています。
本作は2001年の作品ですので、音声が付いていないことが、まだマイナスにはならないとは思います。
しかし、最初から音声を付けていれば、傑作評価もありえたかもしれないわけで、何で最初から音声を付けなかったのかと疑問を抱いてしまいます。
まだストーリー重視のノベルゲーに音声は必須ではないと思っていたのなら、時代の流れを読み違えていると思います。
まぁ、かつてはエルフ、アリス、アイデスに次ぐくらいの大手だったD.O.も、田中ロミオさんが手がけた作品が軒並みセールスで失敗したことで、経営的に厳しくなって、リメイク商法に走らざるをえなかったのかもしれませんけどね。

他方で、それを補うかのように主題歌は良かったですね。
私は、これで本格的にKOTOKOさんのファンになりましたし。
OPもEDも名曲でしょう。
このゲームの一押しの部分は、案外ここかもです。

<評価>

総合でも十分に名作といえるでしょう。

ただ、たとえば本作の発売が1年早ければ、間違いなく傑作(AA-)になるでしょうね。
2000年の作品で私は『月姫』や『ファントム』にAA-をつけていますが、内容的にはそれらと同等かそれ以上だと思いますし。
あるいは、最初から音声付きであれば、2001年でも傑作評価していたように思います。
だからどうしてももったいなくみえるのですが、いずれにしろ近年を代表する名作と呼べるのではないでしょうか。

ランク:A(名作)


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家族計画~追憶~

Last Updated on 2025-02-20 by katan

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