ef – the latter tale.

2008

『ef – the latter tale.』は2008年にWIN用として、minoriから発売されました。

システムは群像劇スタイルのノベルタイプのADV。
前作である『ef – the first tale.』と2つで1つの作品となります。

<感想>

ADVの進化の歴史というものは、ある意味グラフィックの進化の歴史でもあったわけでして。
振り返ってみると、優れたグラフィックのゲームが出るたびに、多くの人が興奮していた気がします。

私もグラフィックの優れたゲームが好きだったので、アニメーションが入っているゲームも当然好きでした。
小説じゃなくゲームですからね、動きがあった方が楽しめますから。

もっとも、結論だけを言っちゃうと、フルアニメのゲームはどれも短いです。
決してボリュームが全てではないけれど、やっぱりある程度のボリュームも欲しいわけでして。
それ故に、フルアニメのゲームには不満も付きまとっていたのです。

このジレンマを解消したゲームも、多くはないものの幾つかあります。
例えば『クロス探偵物語』なんかがそうですね。
『クロス探偵物語』では、1万枚のグラフィックをフルアニメに用いるのではなく、部分的に動かすことに費やしていました。
それによって作中の動きと、ボリュームを、両立させていたのです。

私は、それで良いのだと思います。
何も画面全体が常に動いている必要はなく、要所要所で必要な部分がこまめに動いてくれればね。
それで全体のボリュームも損なわないのなら、ゲームとしては、その方が正解だと言えるでしょう。

WINDOWSの時代に入ってからのアダルトゲームのADVの多くは、立ち絵と一枚絵で構成されていました。
以前にあった目パチ口パクもなくなり、動きという面に関しては退化していった感があります。
一枚絵の出来にだけ力を入れていった時期もありましたからね。
一枚絵の良さも、それはそれで一つの魅力だし、ストーリーが良ければ作品としては名作と言えるかもしれないけれど、動きがなくなっていったのが寂しいことに違いはありません。

その後、動きの少なさに物語を表現する上での限界を感じたのか、立ち絵部分の強化に励んでいく動きも増えていきました。
中には、一枚絵と立ち絵の区別なく楽しめるような作品も出てきました。
その成功例の一つにアージュの作品群があるでしょう。

前置きばかり長くなりましたが、本作もまたその流れの中にあります。
目パチ口パクは当たり前。
それだけでなく、とにかく動きまくりでしたね。
CG枚数も722枚でしたっけ。
CGの枚数だけでも並の倍以上のボリュームがありますが、それを上手く組み合わせて細かく動かすものだから、全然同じ画面がないくらいでした。

また、単に動くだけでなく、一枚の絵としても素晴らしいものが多かったです。
これは背景の原画をつとめた、ゆうろさんの功績も大きいでしょうね。
私はゆうろさんの絵が好きで、特に絵全体の構図が好きなのですが、なかなかゲームの原画では見かけなかったりします。
最近では背景での仕事が多いみたいですね。
本作でも背景の原画をしており、その出来が凄く良かったわけでして。
近年のアダルトゲームは、皆似たようなヒロインが多くて、作品間で差があまりつかないです。
そうなってくると、本作のような背景の出来如何が、今後は作品の良し悪しにかなり影響を及ぼしてくる気もしますね。

そのゆうろさん及び本作のグラフィックの真骨頂は、なんと言ってもOPにあるでしょう。
ゲームをやる時間がない人でも、このOPだけは見て欲しいくらいです。
OP自体は新海誠さんが監修したってことで有名ですけどね、あの完成度は背景を描いたゆうろさん抜きには語れないでしょう。
本当に、あのOPには感動したものです。

MYST系やP&C系のADVとノベル系のADVとでは、グラフィックの見せ方もまた違ってくるのでしょう。
そして、およそノベル系のADVに限って考えるならば、本作は見せ方という点で一つの到達点に達した感もありますね。
長くゲームをやっていると、節目節目となるゲームってのが出てくることがありますが、本作もまたその1本になりえるのではないでしょうか。

節目という表現は、個人的には、とてもしっくりします。
ノベル系のグラフィック、ここに極まれりってのが1つなのですが、同時に現状の様々な問題も含んでいると思えるからです。

まずは、作品が分割されて発売されたこと。
これだけのCG枚数ですからね、仕方ないのかもしれません。
海外のADVも近年は分割された作品ばかりです。
世界的な流れからいっても、規模が大きくなるにつれ、こうした展開は増えていくでしょう。
もちろん、分割されても名作足りうる作品も多いのですが、やっぱり1本で完結させた大作よりは印象が良くないですよね。
この流れからは超大作・傑作というものは、今後なかなか出てこないのではないでしょうか。

次に、分割されたということは期間が開くわけです。
本作はわりと間がなく発売されたので、あまり待たされずに済みました。
もっとも、最近はゲームがすぐにアニメ化されます。
本作も発売を前にして、内容の一部でアニメが先行するという逆転現象が生じました。
全く一緒というわけではないのですが、アニメを見ていると、本作の序盤はあまり楽しめないものでした。

それとも関連するのですが。
近年のアダルトゲーム及びADVはどんどんゲーム性を減らしていき、本当に読むことだけに特化していっています。
本作も長いわりに選択肢は2つだけで、後は読むだけです。
いやオートプレイがしっかりしているので、文字通り見てるだけですね。
これはこれで長時間ドラマを見ている感覚で楽しめますが、ここまで来るとアニメとの違いは何?ってなっちゃいます。
本作はアニメ化もされていますしね、そうなるとアニメを見ればそれでOKじゃんってなります。
アニメ化された場合の出来にもよるので一般論になりますが、ADVがこの方向性に進み続けるのならば、アニメの先行お試し版・前座版くらいの価値しかなくなるのではと危惧します。
このままではというか、既に衰退している気もしますが、ここら辺で方向転換しないとADVの先はないでしょうね。

本作には良い面も悪い面もひっくるめて、近年のアダルトゲームの傾向が凝縮されています。
そういう意味で、いろいろと考えさせられた作品でしたね。

そうそう、内容面に全然触れていなかったですが、基本的に鬱ゲーに分類される・・・のかな?
鬱系に慣れている人にはそれ程でもないと思うけれど、慣れていない人には少々きついのかもしれません。
とりあえずヒロインは処女以外不可って人は、本作に手を出すのはやめておいた方が良いでしょう。
鬱だって嘆かれる理由のほとんどはその点に起因しますから。
そこだけは要注意と言っておきましょう。

<評価>

総合でも文句なしに名作といえるでしょう。
本作のグラフィック・サウンド水準を明らかに超えたといえるノベルゲーは、今でもいったいどれだけあるのでしょう。
ある意味、本作もまた、オーパーツのような存在になりつつある作品かもしれません。
いずれにしろ、2008年を代表する作品であることは間違いないでしょうね。

ランク:AA-(傑作)

Windows2000/XP/Vista DVDソフ トef - the latter tale.

Last Updated on 2026-10-12 by katan

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