『蒼色輪廻』は2004年にWIN用として、美遊から発売されました。
ADMS+NTR+卑屈な主人公。
個性が際立ったかなりの異端作で面白かったですね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
主人公‘堂浦聡’は鬱屈した日々を送る青年だった。
自身の内にうねる「野望」「欲望」「コンプレックス」等のマイナスの感情を、コントロールできずにいるのだ。
……そんな彼の前に、1人の少女が現れる。
奇妙なコスチュームを身にまとい、主人公の心の中を覗くことが出来る不思議な少女。
‘インフィニティー’と名乗る、その少女は自殺しようとしていた主人公に
――「キミの死ぬところが見たいの」と笑う。
――彼女に出会ってから生活が一変する主人公。
住んでいたアパートの火事、金を借りていた金融屋による大家の殺害と娘の誘拐、さらには謎の黒服の一団による追跡……。
全ては、主人公がインフィニティーより授かった「異世界へ自由に移動する能力」の為だった。
主人公が混乱の局地に追い詰められた時、ついに異世界への扉が開く……。
そして、彼の「現世界」と「異世界」を行き来する、奇妙な二重生活が始まるのだった。
時空を跳躍しながら、不条理な奈落の底へ一方的におちていく主人公。
闇の先で、彼を待ち受けるものは一体何なのだろうか……。
<感想>
私の最も好きなゲームである『YU-NO』。
そのシステムはポイント&クリック式(P&C)式ADVに、ADMS(アダムス)という新システムが搭載され、それがストーリーと有機的に結びついたからこそ高く評価したのです。
そのどれかが欠けてても、間違いなく評価は下がっていたでしょう。
よくADMSだけが注目されがちですが、それは面白さを構成するほんの1部分でしかないんですよね。
その『YU-NO』と全く同じシステムのゲームは存在しませんが、部分的に重なるゲームなら幾つも存在するわけでして。
例えば、P&C式ADVとしての要素なら、海外のADVの多くに見ることが出来ます。
もっとも、もう一方のADMSのようなシステム、ましてやそれがストーリーと結びついているとなると、途端にその数は激減します。
すぐに浮かんでくるのは、『プリズマティカリゼーション』や『ガーディアンエンジェル』、あとは『ロストカラーズ』等の自転車創業のADVたちあたりでしょうか。
ADMSは大変魅力的なシステムでした。
そのため、P&Cとかはなくても構わないから、せめてADMSに似たシステムだけでも、またやりたいって人も多かったでしょう。
そういう人には、上記の作品はオススメと言えます。
ただ、今挙げた作品は、どれも一般向け作品なんですよね。
中には、アダルトゲームでやりたいんじゃ~ってな人もいるでしょう。
そうなってくると、つまりADMSっぽい要素のあるアダルトゲームとなると、更に選択肢は限られてくるわけでして。
おそらくまともにゲームとして楽しめる作品となると、ゼロ年代前半までの範囲の中では、この『蒼色輪廻』くらいしかないんじゃないかなって思います。
したがって、もう一度ADMSで味わった面白さを経験したいって人には、この作品は間違いなくオススメだと思いますね。
ただ、ここで注意してもらいたいことが1点あります。
前述のように『YU-NO』は、P&C式ADVをベースとしつつ、そこにADMSを付加した作品でした。
他方で、本作のベースはノベル式のADVで、これにADMSのようなシステムを採用しているのです。
似たシステムは採用していますが、ベースとなる基本システムは異なるのです。
そのため、『YU-NO』っぽいという話だけを聞いて、それで『YU-NO』と同じ物を期待すると、違和感を覚えてしまうでしょう。
個人的にも、P&C式でない点で若干物足りなかったというのが、率直な感想でしょうか。
もっとも、システムには、人それぞれ当然得手不得手があるわけで、近年のノベルしか知らない世代はP&C式に抵抗のある人もいます。
いや、P&C式とコマンド選択式の区別も出来ない人もいるくらいなので、P&C式自体を知らない人も増えてるのでしょうね。
知らないから、楽しみ方も分かっていないと。
そして今のアダルトゲームのプレイヤーは、ノベルゲームを好む層が主流派と言えるでしょう。
そういう人たちにとっては、むしろ本作のシステムの方が馴染みやすいと思います。
幾ら凄くても、自分には向いていないシステムってありますからね。
私なんか、客観的には凄いんだろうなって思いつつも、FPSの類はサッパリ楽しめませんし。
そのため、ノベルゲー好きが手軽にADMSの魅力を感じたいというならば、むしろこの作品こそが最適なゲームと言えるかもしれません。
そういう意味でも、本作は非常にオススメの1本と言えるかと思いますね。
次にストーリーの方を見てみますと、内容的には現代と異世界を行き来するファンタジー物でもありますが、端的に寝取られ物(NTR)と言った方が早いかもしれません。
後述する主人公のヘタレっぷりを楽しみながら、寝取られを存分に堪能する。
それが、本作の楽しみ方というものでしょう。
属性のない人には少しきついかもしれませんが、NTR属性のある人には嬉しいシーンが幾つも用意されていると思います。
ADMSが好きでNTR属性もある私なんかは、これは自分のために用意されたゲームじゃんよって大喜びでしたけどね。
『YU-NO』でNTRに目覚めた人も結構いると思うので、私みたいな人も少なからずいたのではないでしょうか。
さて、ここまででも十分個性的なゲームですが、それを更に際立たせているのが主人公の徹底した卑屈さです。
本作発売当時は、情けない主人公の出てくる作品が多くなってきていた時期でもありますが、正直私は基本的にそういうのは好きではないです。
まぁヘタレそのものが嫌なのではなく、成長物語にするためのテンプレなヘタレが嫌なのでしょうけれど。
だから本作のような、完全にネタ化してるくらいの駄目さや、ひねくれ具合だと、この作品ならではの要素として上手く昇華していると思いますし、かえって清々しく感じて笑えてくるのですよ。
馬鹿だけどにくめないんですよね。
ヘタレ主人公が出てくるゲームで、不快になるどころか最後まで楽しめるゲーム。
そんなのって、私の中ではかなり例外的な部類に属すると思います。
この作品の評判を調べれば、絶対にヘタレ主人公の話題は出てきますし、そういうのが苦手で躊躇してるって人もいるかとは思いますが、そんな人でもこの作品に限っては大丈夫だと思いますね。
<評価>
ゲーム自体はメインのストーリーがそれ程優れているものでもない点、及びシステムもADMSの2番煎じの域を出ていない点から、文句なしの傑作とまでは言い切れないでしょう。
ただ、ADMSという遊べるシステム+NTR+主人公の個性と、随所に尖った所がありますので、十分に名作だと言えるでしょうね。
部分的には尖りすぎているので人を選ぶかもしれませんが、その分はまる人ははまるかと思います。
むしろ私の評価は低いぐらいだとさえ思っていますし。
最後に、実はライターである蓮海さんのブログが、何気に面白かったりするわけでして。
あれだけのテキストを書けるライターは只者ではないなと思っていたら、ブログはそれに輪をかけてぶっ飛んでましたからね。
あのノリで何かゲームを作ってもらいたいですね~
せっかくの才能を本作だけで終わらせるのは勿体無いです。
ストーリーというか、根幹となる企画さえしっかりしていれば、一気に大化けする可能性は十分にあると思いますし。
いつかまたゲームが出ることを願いたいものですね。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2026-01-18 by katan




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