2nd LOVE

2000

『2nd LOVE』は2000年にWIN用として、Forceから発売されました。

『書淫、或いは失われた夢の物語。』で有名な深沢さんのデビュー作でした。

<感想>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
もっとも、かなり後期型の、ノベルゲーとの違いが曖昧なタイプになります。
具体的には汎用のコマンドはなく、個別のコマンドが表示され、しかもそのコマンドもたまにしか出てきません。
したがって、本作をノベルゲーとして紹介しても間違いでもないのでしょう。
私もノベルゲー扱いで良いかと思ったりもしていましたが、本作はキーボードでのプレイが便利なことも加味すると、かなりノベルゲー寄りのコマンド選択式という方が相応しいように思います。

ストーリーは、交通事故で死んだはずの幼馴染が、手のひらサイズの小ささになって主人公の元にかえってきたところから始まります。
一見すると普通の恋愛ゲーのようでもありますが、決して普通で終わらせてくれないのが深沢さんなわけでして。

本作はループものでもあり、最初に3人のヒロインの物語をループしながら読み進めます。
3人の物語が終わると、幼馴染のルートに入り、そこでループについての真相が判明します。
そしてその幼馴染のルートが終わると、タイトル画面に「3TH LOVE」というルートが登場し、そこで本作全体の真相が明らかにされるのです。
つまり、ループゲーでありつつ、2段構えの仕掛けを用意してきているわけです。
この構成には驚かされましたね~
次の書淫は、その構成の妙が抜群の作品でしたが、構成の上手さというのが、深沢作品の一番の魅力なのでしょう。

他方で、本作は、良くも悪くもその構成の上手さだけが取り得のゲームでもありまして。
2000年の作品なので音声がないこと自体は構わないとしても、1枚絵の量も質も足りない上に、ボリュームも少ないし、システム周りは癖が強いですしね。
構成の上手さは感じるものの、テキスト自体が上手いわけでもなく、ぶっちゃけラスト以外は平均以下の同人レベルの作品でもあったのです。
また、ラストの仕掛けも、ある意味夢オチの亜種のようなものなので、一定数は合わない人もいるでしょう。
ここまで長所と短所のハッキリ分かれている作品も珍しいです。

なお、オチに関しては、書淫の場合、理解できた人にはこれ以上にないくらいの強烈なインパクトを与えうるものの、一定数の人は理解しきれない可能性もある作品でした。
他方で本作の場合は、誰でも理解できる内容になっています。
そのため、本作が理解できない人はいないと思いますが、その分、書淫ほどのインパクトはないように思います。
インパクトが書淫ほど強くないので、良くも悪くも綺麗にまとまっているという印象になるのです。

<評価>

総合では佳作としておきます。

長所だけなら良作相当の作品だと思いますが、本作は書淫よりも欠点が多いわけで、せっかくの良さも消されたように思ってしまいました。

深沢作品というと、構成の上手さに目がいきがちなのですが、今あらためて振り返ってみると、作品全体からこだわりの職人気質のようなものを感じるわけでして。
そういうところに惚れ込んだユーザーにとっては、替えの利かない作品なんだと思いますね。

最後に、深沢作品は、料理でいうならば、好き嫌いの分かれる癖の強い1品料理のようなものです。
コスパを求めるような人は、とても向いていません。
本当は本作がデビュー作ではあるのですが、書淫以上に欠点のある作品ということもあり、今から深沢作品をプレイしたいのであれば、まずは手軽に購入できる『セカンドノベル』をプレイして、そこに何らかの共感を持てるようであれば、高くても書淫をプレイし、それで氏のファンになり全作品プレイしたくなったら本作でも良いかなと思いますね。

ランク:C-(佳作)


2nd LOVE

Last Updated on 2025-01-28 by katan

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