サバッシュ2

1993

『サバッシュ2 ~メヒテの大予言~』は1993年にPC98用として、ポプコムソフトから発売されたRPGです。

開発はグローディアですが、前作の『サバッシュ』と同様に、落語家の三遊亭円丈さんが原作・シナリオ・総指揮を担当しています。

<はじめに>

仮にRPGの最高傑作は何かと考えたとしても、おそらく結論は出ないんじゃないかと思います。
RPGといってもいろいろありますからね。
似たようなジャンルだったら比較も出来るかとは思いますが、例えばストーリー重視のRPGとゲーム性重視のRPGとでは、簡単には優劣はつけられないでしょう。
結局はその人の価値観次第にもなりますしね。

ちなみに私は、総合的に判断し新しい要素を大事にしつつも、基本的にストーリー重視な傾向があります。
そのため、好きなRPGの上位には、ストーリー重視のゲームが並びます。
したがって、私にとってのRPGのベスト3には、この『サバッシュ2』は入りません。

しかし、古くからのRPGファンであるとか、俺はゲーム性こそが第一という人は多いでしょう。
また、そのゲーム性の中でも、自由度を重視するという人もいるでしょう。
その人らがRPGの最高傑作として『サバッシュ2』の名を挙げるのなら、それに対しては全く異論を挟む気にはなれないですね。
私が自由度重視の人であれば、間違いなく本作を最高傑作と言ったでしょうから。

<感想>

さて、本作の一番の魅力は、何といってもその自由度とボリュームにあります。
ストーリーや目的は一応あるのですが、そんなのは二の次。
サブクエストばっかり楽しむ人もいただろうし、中には延々と交易ばかりやっていた人もいるでしょう。

加えて、本作の経験値は少々特殊です。
とういうのも、あらゆる行動が経験値に置き換えられているのです。
通常のRPGは敵を倒さなければ得られないですからね、今までにない発想と言えるでしょう。
でも、これって決して奇抜なだけではないんですよね。
もし自分が本当に冒険者になったらと考えてみてください。
敵を倒したときにだけ成長するって方が、むしろ変でしょう。
そう考えると本作は、ゲームシステムとして斬新でありながら、それでいて全く無理のない道理にかなったシステムとも言えます。
そして成長の手段や解決方法が一つでなく、プレイヤー次第だということは、当然ゲームの幅も広げることにもつながります。
私は、この発想が凄く好きでしたね。
もっと多くのRPG、特に自由度をうりにするRPGには、こうしたシステムが採用されて欲しいものです。

また、高い自由度が面白く感じられるかは、ボリュームも密接に関連するでしょう。
ストーリー重視なら短編でも良い作品になりえますが、自由度重視にはある程度のボリュームが必須です。
だって、自由にやっていいよって言われても、できることが1つか2つじゃ、結局1本道と変わらないですからね。

その点、本作は素晴らしかったですね。
シナリオの総文字数が、何と60万文字に及ぶとか。
サブクエストがね、もう膨大にあるのですよ。
当時はもちろんのこととして、今現在を含めたとしても、国内のRPGでこのボリュームを超える作品はそうはないはずです。
近年のゲームは容量は増えたけど、多くは映像や音声に使っていますからね。

冒頭の繰り返しにもなりますが、RPGにはいろんな要素があります。
そのため、どこを重視するかで最高と呼べる作品も変わってきます。
ただ、上記の理由から総合的な自由度とボリュームにおいては、本作こそが最高の作品であり、それが一部で最高のRPGと言われる理由なのでしょう。

今後RPGがどう進化していくかは分かりません。
しかし20世紀に限定するならば、自由度とボリュームに関しては本作がナンバー1でしょう。
(日本語版が発売されていれば、『planescape torment』が超えたとも言えそうですけどね。
如何せん英語版日本語マニュアル付きしかないですから、PSTに関しては特別枠扱いで良いような気もしますね。)

ここから先は、後は好みの問題ですね。
本作をもってRPGの最高傑作と考える人もいるでしょう。
逆にストーリー重視なら別の作品にもなるかと思います。

ただ、若干注意すべき点もありまして。
本作は、確かに総合的なゲーム性はかなり高いです。
でも、その大部分は自由度に依存しているんですよね。
RPGのもう1つの要でもある戦闘部分は、普通には楽しかったけどそれ程特別でもなかったりします。

野球で例えると、秋山監督の現役時代みたいなイメージでしょうか。
走・攻・守揃った名選手と言われ、事実ゴールデングラブ賞も盗塁王も本塁打王もとってるけど、よく見ると打率はそれ程でもないみたいな。
したがって、打率(戦闘)で判断する人には最高とまでは言えないかと思います。

後はゲームの冒頭部分ですね。
最初にキャラクターメイキングのミニゲームがあり、それがアクションゲームっぽくなっているのですが、あれが無駄に難しかったです。
私がヘタレでミニゲームに苦労したってのもありますけど、それを抜きにしてもだるいわけでして。
冒頭だけだと、ハズレを掴まされたかと思いかねません。
そこだけは要注意というか、そこで投げないようにしてもらいたいかと。
名作の多くは序盤から秀逸なのも多いのですが、本作に関しては逆です。
開始時はこれ駄目かもって臭いが漂いますが、プレイするに従ってどんどん面白くなるタイプと言えるでしょう。

<評価>

落語家が作っただけあって、とにかくアクの強い作品でしたね。
刺さらない人もいるだろうけど、刺さる人には一生物の作品になるのではないでしょうか。
それだけの魅力を持った作品でしたね。

ランク:AAA-(傑作)


PC-9801 3.5インチソフトサバッシュ2 メヒテの大予言

Last Updated on 2024-09-17 by katan

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