月姫

2000

『月姫』は2000年にWIN用として、TYPE-MOONから発売されました。

前年辺りから注目度が高まっていた同人ゲーム市場において、盛り上がりを決定付けた作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
幼い頃の事故の後遺症から、モノの壊れやすい線―――
「死の線」を見る能力を持った主人公、遠野志貴。
事故から八年の間預けられていた親類の家を離れ、志貴は実家へと戻る事となる。
そこで彼を待っていたのは、すでに他人のような妹と二人の使用人だった。
古びた洋館での慣れない暮らしに戸惑いながら、志貴と少女達の新しい生活が始まる。
時を同じくして多発する猟奇殺人事件。
その被害者は一様に全身の血液を抜かれていた。
ある出来事がきっかけとなり、志貴は「吸血鬼」達の壮絶な戦いに巻き込まれていく事となる―――
純白の吸血鬼は微笑む。
「私を殺した責任、とってもらうからね」

<同人>

その名を知ったのは、雑誌の紹介でした。
絵を見ただけで、すぐにひきこまれたものです。

本作の登場から同人ゲーに注目がいくようになったというような誤った情報が広まりつつあることから、まず前提から話すこととします。

そもそも、同人ゲーは80年代のPC88の頃から存在していましたし、当時はPCゲーが少ないこともあり、貪欲で先端を行くユーザーは同人ゲーをプレイしていました。
その頃から既にノベルゲーも存在します。
ただ、PC88は非常に高価であり、持っている人も少なかったです。
私の周りも、誰も持っていませんでしたしね。

これが90年代のPC98の時代になると、また状況がかわってきます。
PC98の頃は、80年代よりもPCが少しは購入しやすくなりましたし、アダルトゲームをプレイしたいならPC98という認識も浸透していきましたからね。
また、PC98時代にはTAKERUという自販機があり、安価でゲームが売られていました。
そのTAKERUの影響もあり、『メタ女』をはじめとして、個性的な同人ゲームも数多く発売されていました。

しかし、windows95時代に移行すると、ゲームの媒体はフロッピーディスクからCDになりました。
フロッピーディスクに書き込んで売られていたTAKERUはこれに対応しきれず、次第に数を減らしていきました。
また、そのような販売手段の減少もさることながら、それ以上にWIN用ゲームの開発が難しいこともあり、時を同じくして面白い同人ソフトも減っていきました。
それに伴い、私の同人ソフトに対する興味も失せていったものです。
つまり、一時期はそれなりに勢いのあった同人ゲーム市場が、WIN95の登場により、一時的に下火になっていったわけですね。
そのためしばらくの間は、CG集とか単純なミニゲームばかりだったように記憶しています。

もっとも、開発の困難さは次第に克服されていき、同人ゲームで再度注目されるサークルも登場してきます。
そして99年には、同人から商業デビューにまで至るケースも複数でてきたことから、目端が利く先端を行くユーザーはもちろんのこと、エロゲ雑誌とかでも特集が組まれ、これからの狙い目は同人市場だと注目され始めていたのです。

そうした状況下で発売されたのが『月姫』でした。
同人ソフトとしては久しぶりの大ヒットにして、個人的にも当時、同人作品では最も評価していた作品になります。

<ボリューム>

同人ソフトのキラータイトルとなったのが1点。
でも、それ以外にも価値を見出した点があります。

『月姫』は画面全体に文字が表示されるタイプのノベルゲーでしたが、『月姫』の発売された2000年にもなると、発売されたアダルトゲームのほとんどがノベル系のADVばかりでした。
この当時はまだ音声はデフォではなく、テキストの分量もそれ程多くはありませんでした。
そのため、数時間でクリアできてしまう作品もありました。

それなのに今と変わらない価格ですからね。
いくら面白くとも、どうしても何か割高な気がしてたんですね。
ところが『月姫』は、2500円という安価にもかかわらず、並のノベルゲーよりも遥かにボリュームがあったのです。

商業のゲームは一体何やってんの?
安い価格でもここまでできるんだよ。
というような制作者の熱意や意気込みが伝わってくるようで、その姿勢に深く感銘を受けたものです。

<テキスト>

それともう一つ。
私は『月姫』が好きなのだけれど、いわゆる型月信者とは、評価の観点が異なるのかもしれません。
というのも、ファンの中にはテキストを絶賛する人もいるのですが、私はテキストについてはほとんど評価してないのです。
ストーリーは面白くはありましたが、テキスト自体には特に惹かれるものもなかったので。
というか、好きではあるはずなんだけど、読んでいて妙に眠くなるんですよね。
私好みの設定、私好みの展開で主観的にはかなり好きなのですが、おそらく客観的にはあまり文章は上手くないんでしょうね。

まぁテキストに関しては、後のFateでは凄くひっかかったものの、本作のときはそれほど気にはなりませんでした。
でも若干気になった部分があったことも確かですし、設定の垂れ流しとか当時から指摘されていましたからね。
問題点は共通しているのだけれど、本作の時は許容範囲内に収まったということなのでしょう。

<感想>

ストーリーは吸血鬼を扱った伝奇になりますが、これまた非常に好みでしたね。

凄いのかと聞かれると、今でもどうなのかなと考えてしまいますが、主観的にはかなり好きな路線でした。
ちなみに、吸血鬼ものはその後、どんどん数が増えてしまい、今ではうんざりしてしまいますけどね。
この時はまだ少なかったですから、素直に楽しむことができました。

むしろ、人によっては下手扱いされている絵が好みでした。
あのキャラデザ、初めてアレクを見たときから凄く惹かれたんですよね。
プレイしてからは、ナイチチシンボリこと秋葉にはまりましたがw

私にとっての型月作品というのは、キャラデザと、キャラ設定&描写の上手さが一番の魅力なように思います。
その認識は、その後の作品をプレイしてもかわりません。

<評価>

キャラに対する想い入れと、上述のように値段に対するコストパフォーマスの良さ。
私が『月姫』を高く評価するのは、概ねこの2点につきると言っていいでしょう。

その後に発売されたプラスディスク、『歌月十夜』、青本は、すべて買いました。
それだけ買っても、それでもまだ普通のゲームより安いですからね。
お得ですよね~、他のゲームもこれを見習って欲しいと思ったものです。

今度リメイクされるらしいですね。
私の評価の大きな部分を担うコストパフォーマンス。
プレミア化している現状では、それが無くなっています。
リメイクで多くの人が安価で手に入るなら嬉しいですね。

ランク:AA-(傑作)


同人GAMEソフト 月姫/TYPE-MOON 同人GAMEソフト 月箱 特製化粧箱入/TYPE-MOON

Last Updated on 2025-01-21 by katan

コメント

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    ああ、自分もこのゲームは絵のほうが好きです。
    文章は同人だけあって「自分酔い」臭が鼻につきました。
    シエルルート以外覚えてないのがなんとも…

  2. SECRET: 0
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    >>森乃やまね さん
    ああ~、仲間がいてくれて嬉しいです。
    正直、絵師が代わったらここのは買わないかもです。
    キャラはどれも好きなんですけどね~

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