TrymenT 今を変えたいと願うあなたへ AlphA編

2020

『TrymenT 今を変えたいと願うあなたへ AlphA編』は2020年にWIN用として、TrymenTから発売されました。

『Re:LieF ~親愛なるあなたへ~』を補完する作品であり、一枚絵に関しては、最高峰といえる出来の作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
選択肢はなく、完全な一本道となります。

あらすじ・・・
新しい季節、新しい場所、そして新しい学園生活。
新生活を迎える御雲島を、人々は大型客船のデッキ上から眺めていた。
そんな様子を、船内から覗く車椅子に乗った少女の姿。
閉鎖的な土地に、山を隔てた区分け。コンビニやファミレスなどは一切なく、娯楽施設もほとんどない。
ネットワークを制約された島の中で、人々は初めて顔を合わせる相手と相部屋で生活することになる。
「すごい、本当になにもないんですね」
少年のような見た目をした君島翔が、窓の外を流れる景色を眺めながらつぶやく。
自動車を運転する職員がバックミラー越しに、後部座席に目を向ける。
二人の少女が、それぞれ窓の外を眺めていた。
職員はそれぞれに、この計画に参加した理由を尋ねる。
「色々なことを勉強しなおして、自分の視野をもっと広げたいなと……思いまして」
君島翔は、言葉を濁しながら無難な答えを返す。
そして、隣に座る、目を合わせない少女を覗き見た。
星乃あやめは自分の両足をぎゅっとつかむ。
「私は――今の自分から、変わりたいと思ったからです」
総勢600人余りが参加する、トライメント計画。
果たして、彼らの『卒業』は、どのような形で訪れるのか。
これは――今を変えたいと願うあなたへ贈る、再挑戦の物語。

<感想>

プレイしていて、すっきりしたような、すっきりしないような、何とも説明のしにくい不思議な印象を受けたというのが、率直な感想でしょうか。

本作は『Re:LieF ~親愛なるあなたへ~』のストーリーを補完しつつ、その後を描いた作品になります。
そのため、本作を理解するためにも、『Re:LieF ~親愛なるあなたへ~』を先にプレイしてください。

本作については、プレイしていて、どうにもすっきりしないというのが、いくつかありまして。
まずストーリーですね。
本作は『Re:LieF』のストーリーを補完した作品であるところ、『Re:LieF』も少し説明不足なところもありましたので、その観点からはすっきりするのです。
他方で、本作は単独では完結とはなりません。
今後発売されるであろう『TrymenT ―今を変えたいと願うあなたへ― OmegA編』をプレイしてようやく完結となることから、本作の段階では、まだ途中なのです。
前作のストーリーについてはすっきりしたかと思えば、今度は新たなストーリーの方が完結しないまま終わるので、すっきりしないわけですね。

次にグラフィックとテキストですね。
立ち絵は、あまりパタパタと動くことはしないのですが、必要に応じて動かしており、ここは前作より格段に上手くなっています。
そうなると、本来であれば、立ち絵の進化により、前作より気持ちよくプレイできるはずです。
また、前作からライターが変更となり、本作では、全部ではないにしても、原画がシナリオも兼ねています。
そうなると、多くの場合は、グラフィックとテキストの連動も良くなり、CGとテキストの相乗効果が期待できるはずなのです。
しかし、実際にプレイしてみると、そうならないから、おかしいのです。
これは理由も明らかであり、テキストが妙に説明っぽく、地の文が多かったわけでして。
立ち絵の動き等で表現したのであれば、それ以上に地の文で説明する必要はないのですよ。
それなのに、細かく地の文で説明されることで、立ち絵の進化まで消されてしまうようで、結果として、プレイしていて、どうにもすっきりしない気持ちになってしまいました。
何でこんなことになってしまったのか、どうにも解せません。

本作の一番の魅力は、やっぱり一枚絵の美しさなのでしょう。
見ていて惚れ惚れするCGで、画集が出れば買いたくなるような、ここまで惹きつけられる一枚絵は、本当に久しぶりだと思います。
この点に関しては、ここ数年のノベルゲーの中で1番ではないでしょうか。
その観点からは、とても満足できました。

ただ、CG単体では抜群のクオリティといえるのですが、CGは、ストーリー上の良い場面と組み合わさることにより、相乗効果で更なる魅力を生み出すことが可能です。
前作はそれができていたのですが、本作は、前作最後ほどの盛り上がるイベントがなかったことから、前作のようなストーリーとテキストの融合を感じ取ることができませんでした。

<評価>

なんだろう、凄く惜しいのですよ。
もっと面白く作れたんじゃないかと思うと、凄くもったいなく感じてしまいます。
総合としては非常に悩みましたが、最高峰の一枚絵を高く評価し、総合ではギリギリ良作としておきます。

いずれにせよ早く続編を発売してもらいたいですね。

ランク:B-(良作)

Last Updated on 2024-10-27 by katan

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