『となりのお姉さん』は1998年にWIN用として、にくきゅうから発売されました。
にくきゅうが元気だった頃の、姉特化ゲーになります。
<概要>
ゲームジャンルは、基本的に移動場所や選択肢を選ぶタイプのADVになります。
あらすじ・・・
主人公は、四歳の時にプロレスラーの父と渡米し、久しぶりに日本に帰国した。
正彦には野望があった。
それは幼い頃に優しくしてくれたお姉さんと再会し、結ばれることだった。
しかし、そのお姉さんの顔はまるで思い出すことが出来ない。
隣に住む佐伯姉妹の姉・今日子さんが思い出のお姉さん第一候補筆頭だが、その妹・明日香も候補の一人になっている。
他にも子供の頃から知っているお姉さんは数人居ることもあって、なかなか思い出のお姉さんに辿り着けない正彦だったが……。
<ゲームデザイン>
にくきゅうは96年から2001年までに活動していたブランドですので、主に90年代後半のブランドと考えてもらって良いのでしょう。
90年代も後半になると、新規参入のブランドのほとんどが、広い意味でのノベル系作品を作り始めていたのですが、にくきゅうはゲーム性にこだわり続けたブランドでした。
98年の『めい・King』はかなり売れましたし、ゼロ年代後半以降で例えるならばエウシュリーのような存在でしたかね。
『めい・King』はシムシティのエロゲ版みたいな感じで、一般的にはそういうのが好まれるのかもしれません。
しかし『めい・King』やエウシュリーのような、一般ゲーにエロをくっつけたような作品は、私の求める作品とは異なるわけで、アダルトゲームらしいゲーム性の出し方を追求する作品の方が、個人的には好きなのです。
アダルトゲームらしいゲーム性って何だよって思う人もいるかもしれませんが、とりあえず人気SLGにエロをくっつけたのではなく、まずアダルトなストーリー展開があり、そのシナリオに必要なゲーム性を付加するような、アダルトなシナリオに合わせたゲーム性と考えれば良いでしょう。
にくきゅうは、そういう路線の作品も幾つか作っていて、例えば『無垢弐』とか『追跡者 ~ストーカー~』などがありました。
本作も『無垢弐』や『追跡者 ~ストーカー~』とジャンルは異なるものの、アダルトゲームらしいゲーム性という点では似た趣旨の作品でした。
具体的には憧れのお姉ちゃんを探すために、あちこち場所を移動します。
主人公は超モテモテなので、移動先にサブヒロインがいると、気力と体力が奪われてしまいます。
そして気力が0の時にサブヒロインに会うと、その女性に襲われてしまうのです。
女性上位ということで、M向けな作品とも言えるでしょうね。
体力がないと憧れのお姉ちゃんを探せなくなるので、主人公はサブヒロインから逃げなければなりません。
他方で、主人公に全く経験がないと、最終的にヒロインと結ばれませんので、適度に逃げながら適度に経験を積むことが求められるのです。
<感想>
そもそも、憧れのお姉ちゃんが誰だか分っていないので、5人のヒロイン候補の中から探すことになります。
憧れのお姉ちゃんとの恋愛が究極的な目標ではあるものの、基本的にはコメディ調で進みますし、何より個性的なサブヒロインが多いので、全体としてはバカゲーの印象が強いでしょうか。
にくきゅうの作品が好きだった人は、大抵はゲーム部分に注目するのでしょうが、八宝備仁さんが原画を担当する作品も多かったので、個人的にはグラフィックにも期待していました。
本作でも八宝備仁さんが原画を担当しており、しかも年上の女性ばっかりですからね。
これだけでも満足度は高いです。
まぁ個人的なことを言うと、98年頃は炉利に傾いていたので、後に大人の女性ってやっぱ良いよなと思うことで、それに伴い本作の良さを理解していった感じですが。
<評価>
発想は面白いものの、内容自体は普通だったということで、ストーリー・ゲーム性だけなら佳作程度でしょうか。
個人的には八宝備仁さんの描く姉キャラ満載という点でプラスになり、総合ではギリギリ良作としておきます。
にくきゅうは97年末の『無垢弐』で調教SLG好きに評価され、次の『めい・King』で売上的にもかなり伸び、その次が本作でしたので、ブランド的には一番勢いのあった頃の作品になるでしょうか。
ここで万人受けする物を出していれば、ブランド的にはまた違ったのでしょうけどね。
お姉さん特化の作品で、ゲーム性を増したADVとなると、かなりニッチ向けの作品になってしまいます。
個人的には、そういう作品の方が嬉しいのですが、やっぱりあの当時の万人受けするタイプではないのでしょう。
シナリオに合わせてゲーム性を変えていける数少ないブランドだっただけに、なくなってしまったのは残念ですね。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-12-29 by katan