『Syberia: The World Before』は2022年にPC用として、Microidsから発売されました。
シリーズ4作目になります。
<概要>
ゲームジャンルはP&C式ADVになります。
あらすじ・・・冒険への呼び声によって人生の大きな転換を経験したニューヨークの弁護士ケイト・ウォーカーと、忍び寄る第二次世界大戦の影によってキャリアが脅かされつつある、ヴァゲンの新進気鋭ピアニスト、ダナ・ローズ。
二人の交錯する運命を解き明かそう。
刑務所から脱走し、打ち捨てられた墓場を訪れ、高い山脈を探検。
冒険のスリルを感じよう。
<感想>
2002年に発売された初代『Syberia』は、世界中で高い評価を得ました。
初代は日本語版の発売がなかったにもかかわらず、当時から日本のADVファンにも支持されていましたね。
『Syberia』という表記と、音声では「サイベリア」と聞こえることから、海外版をプレイしていたユーザーとかですと、「サイベリア」と発音する人が多いのではないでしょうか。
私自身も実は、いまだに「サイベリア」という印象になっています。
その後、本作は日本語版が発売されたのですが、その日本語版では『シベリア』というタイトルになっていました。
そのため、日本語版からシリーズを知ったユーザーですと、当然「シベリア」という読み方になるのでしょう。
このシリーズに対して、「サイベリア」と言う人と、「シベリア」と言う人がいるのには、そうした経緯があります。
初代『Syberia』は世界中で非常に高い評価を得ましたし、続く続編も初代ほどではないにしても、高い評価を得ました。
他方、10年以上経って発売された3作目は、あまり良い評判を聞きませんでした。
発売間隔がかなり開いたこと、評判があまり良くなかったことから、私も、実は3作目はプレイしていません。
しかし、4作目である本作は、評判が良さそうだったことから、久しぶりにプレイしてみようと思った次第です。
さて、実際にプレイしてみたところ、良くも悪くも、あぁ『Syberia』だなって印象を受けました。
オートマタ(からくり人形)の発達した、そして無機質なのにどこか温かみのある世界観は、本作においても健在でした。
グラフィック性能の向上により、より美しくなった世界を堪能できただけでも、純粋にプレイして良かったなと思います。
3D技術の進化により、どのジャンルも3D作品へと移行していき、その流れはADVにおいても同様でした。
TLJの続編も3Dでしたしね。
もちろん、ジャンルによっては3Dの方が面白くなるのでしょう。
しかし、P&C式ADVにおいては、3Dの恩恵は少ないどころか、かえってマイナスになってしまうことの方が多いように思います。
少なくとも、一枚の絵に見入ってしまうという体験は、3DADVの増えた近年では、ほとんどなくなってしまいました。
それは、古いのが好きとかそういう話ではなく、もっと根本的な構造自体の問題なのだと思います。
美麗CGの一枚絵で表現する方が、グラフィックを見せるという意味では適しているのであり、ADVにはその方が向いているということなのです。
このシリーズは、キャラは3Dなのですが、背景は2DのCGであり、製作側の用意した美麗なCGによりその世界観を堪能することができ、やっぱりADVはこの方が良いよなと思ったものでした。
世界観を堪能させるMYST系ADVと、ストーリーも楽しませるP&C式ADVの良いとこどり、つまり折衷的な方向性を模索したのが、このシリーズになります。
本作は、これまでの主人公であるケイト・ウォーカーのほかに、ダナ・ローズという主人公もおり、二人の物語と時代が描かれています。
それにより、過去作のファンも、懐かしさを感じつつ、マンネリにもならずに楽しめる内容になっています。
<評価>
2022年は、本作の他にも、モンキーアイランドの続編も発売されました。
昔からのADVファンには、そういう意味では良い年でしたね。
初代をプレイした時のようなインパクトはありませんが、それでも、過去の傑作の続編を現代的な技術で表現できたということで、ギリギリ名作としたいと思います。
ランク:A-(名作)
Last Updated on 2024-04-21 by katan