『サクラ大戦3 ~巴里は燃えているか~』は、2001年にドリームキャスト用としてセガから発売されました。
数億かけたとも言われるOPは圧巻で、DCを代表する作品でしたね。
<感想>
おそらく世間一般のイメージに比して、私の初代『サクラ大戦』に対する評価は低いものだったと思います。
斬新だとあげられている要素は、確かにコンシューマーでは斬新だったかもしれないけれど、PCゲーでは何度も見かけられた要素ばかりでしたからね。
それでいてタクティカルコンバット部分の弱さなど、致命的な欠点は幾つもありましたし。
好きな作品ではあったけど、それ程の物でもないなって印象でした。
そのシリーズの3作目。
今回は舞台もキャラも総とっかえとなりました。
ハードもSSからDCへと変わりましたしね。
プレイしての率直な感想は、かなり大化けしたな~ってことでした。
これまで欠点だった部分が、本作では大幅に改善されました。
それでいて、長所だった部分が更に延びました。
ここまで化けるのかと思いましたし、かなりはまりましたね。
『サクラ大戦3』における最大の長所は、おそらくグラフィックになるのでしょう。
中でも、CGとアニメが融合したOPは本当に圧巻でしたね。
億単位の制作費が使われたと、当時は噂になっていましたっけ。
確かに、アニメとCGの融合は初代からやっています。
当時から、かなり高水準でもありました。
ただ、あの当時は他社からも一杯いろんなのが出てましたからね。
高水準なのは間違いないとしても、必ずしも断トツであったとまでは言い切れなかったかと思います。
しかし、その後家庭用オリジナルのADVがどんどん減っていき、こういう部分に手間をかける作品が壊滅状態になっていきました。
金と労力をかけ、優れたハードで正当に進化した物を作り、一方で周りには対抗馬がいなくなった。
要因は幾つも挙げられますが、結果的には本作のアニメ部分が頂点に達したのは間違いないでしょう。
『サクラ大戦3』のOPは今見ても興奮してきます。
これだけでも元が取れると思えるくらい、それ程素晴らしい出来でしたね。
もちろんOPだけでなく、グラフィック全般が高水準でした。
キャラデザも凄く良かったですね。
一番のお気に入りはグリシーヌでしたが、エリカやコクリコとか他にも好きなキャラが一杯いました。
なので、このポイントは非常に高かったです。
その反面、ストーリーは相変わらずでしたけどね。
まぁ、あかほりさんに多くを求めるのは野暮ってもんでしょう。
ストーリー自体はそれほどでないとしても、それを補って余りある魅力的なヒロインを作り上げるってのが、彼の持ち味なんですから。
その持ち味は、本作でもいかんなく発揮されていると思います。
ゲームシステム的には、マップ上を移動するADVパートと、タクティカルコンバットのSLG部分からなります。
基本的な構成はこれまでと一緒ですね。
知らない人向けに補足しておきますと、一見するとSRPGなのですが、メインはADV部分にあります。
あくまでもADVがメインであり、そこにSRPGのようなタクティカルコンバットがオマケで付いた作品だと思った方が良いでしょう。
ADVパートの基本部分は若干のマイナーチェンジに止まりましたが、オリジナルのDC版はシームレスで進行しました。
これは非常に大きかったですね。
イベントからアニメに移行する際のロード時間が一切なく、そのまま移行するのです。
これによって、ゲームにおけるテンポが非常に良くなりました。
これまでにもアニメのあかほり作品は好きでよく見ていたのですが、どうもゲームはあまり楽しみきれない作品も多かったのです。
それは何故なのか?
私は、あかほり作品の生命線であるキャラの魅力は、作品全体のテンポの良さにも大きくかかっていると思います。
しかし、ゲームだと随所にロードが挟まってしまい、肝心のテンポの良さが損なわれていました。
そのためにキャラの魅力まで殺がれてしまい、私はイマイチはまりきれていなかったのでしょう。
しかし『サクラ大戦3』ではシームレスになることにより、完全にその問題が解消されました。
あかほり作品の生命線であるテンポの良さが、まったく損なわれることなく実現できたのです。
これによりADV部分の印象も、ガラリと変わったのでしょう。
そういうわけですので、基本的に本作のPS2版はオススメしません。
オリジナルのDC版より後発であるにもかかわらず、ロード時間があったりして逆に退化していますから。
ポリゴン関連はPS2の方が優秀だけれど、2D関連は実はDCの方が優秀だったんですよね。
シームレスは本作の最大のウリでもあっただけに、PS2版は本当に残念な出来でした。
なお、WIN版はやってないので、よく分からないです。
戦闘部分も専門のSRPGには劣るかもだけど、欠点とはもはや言えない程に進化してきました。
戦術面ではまだ問題もあるかとは思いますが、システム的には結構凝っていましたし、ADVのオマケとしてはこれで十分なんだと思いますね。
他にもオマケ要素も十分にあるので、総合的にはゲームとしてかなり楽しめました。
ボリュームも半端じゃなくありましたし。
1人のクリアでも結構あるので、全員だとかなりになりますからね。
<評価>
総合でも文句なしに名作といえるでしょう。
特にOPに関しては、今後これを超える作品は出てくるのでしょうか。
一部ではオーパーツ扱いされていますが、初めて見た時の感動は忘れられません。
単体での出来もさることながら、2Dを存分に活かした最もDCらしい作品でもあり、その意味でもDCを代表する傑作ゲームだったと言えるのではないでしょうか。
ランク:AA-(傑作)
Last Updated on 2025-02-20 by katan
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