『ルリのかさね ~いもうと物語り~』は、2017年にWIN用として、ねこねこソフトから発売されました。
ひと昔前の泣きげーを彷彿とさせる作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
舞台は現代、郊外にある小さな神社。
その神主の一人息子であった主人公は、高校生の時に親戚の子である初駒ルリと出会う。
まだ幼いルリとケンカしながらも、いつしか親しくなってくるのだった。
そんなある日、二人はお互いの両親を事故で同時に亡くしてしまう。
他に身寄りもなく突然、天涯孤独となった二人。
ルリはまだ●学校に入ったばかり、主人公も高校生だった。
悩んだ末に主人公は、ルリと二人で生きることを選ぶのだった。
<ストーリー>
何人かヒロインはいますが、メインヒロインはルリであり、本作は主人公とルリとの、二人の生活を描いた作品といえるでしょう。
本作は主人公がルリと出会うところから始まります。
徐々に仲良くなっていったところ、両親の事故死を機に、一緒に生活を始めた二人。
天涯孤独となりつつも、二人で楽しく過ごし始めた矢先、妹のように大事にしていたルリの病気が発覚します。
そこからは、書かざるとも想像はつくと思います。
したがって本作は、ストーリー上のジャンルとしては、泣きゲーとか鬱ゲーと呼ばれるものになります。
私は純真で健気な子が、ひたむきに頑張る姿に弱いものでして。
主人公に苦労を掛けたくない、少しでも役に立ちたいと、けなげに努力するルリが、とても可愛かったです。
だからこそ、その後のルリの姿は見ていてつらかったし、この手の話には、むしろ年々弱くなっている感すらあります。
本作のルリルートには、ハッピーエンドと、バッドエンドらしきものがあります。
「らしきもの」と表現したのには理由がありまして。
確かに結果的にはバッドなんだけれども、その結末を迎えるにあたり、一度はすれ違った二人が再度向き合って、お互いが納得できるように頑張っているんですね。
その姿には心打たれるものがあり、単純にバッドと割り切れるものではないし、むしろこちらこそがトゥルーと思う人もいるでしょう。
単に悪い結末にするだけに終わらせるのではなく、そうした状況においても、二人の生き様を最後まできちんと描いたことは、とても良かったと思います。
かように、主観的な満足度は高く、久しぶりに満足できる泣きゲーをプレイできたのですが、全く問題がないわけではありません。
本作をプレイして思ったのは、何よりもまず「古臭いな」ということでした。
ひと昔前の泣きゲーの構造、そのままなんですよね。
時代設定的にも、15年くらい前に発売されたと言われても、あまり違和感ないですし。
泣きゲー大好きな人とか、私のように昔の作品もプレイする人なら、それでも満足できてしまうのでしょうが、私ですら古いなと思うような類の作品を、今の若い人がプレイしてどう思うのかなと。
その点は、プレイしていて、少し気になってしまいました。
まぁ、本作は若者に向けた作品ではないのだ、ひと昔前のシナリオゲーとかを今でもありがたがっている人向けなのだと言われてしまえばそれまでですけどね。
<感想>
その他の要素として、本作はフルプライスの作品ではありますが、ボリュームは少なめです。
そういう意味でも、ひと昔前の作品っぽいですかね。
本作は結局はルリの物語なのだから、他のヒロインを削って、ミドルプライスにした方が良かったとすら思いますし。
そのため、ボリュームを気にするような人だと、本作はあまり向いていないかもしれません。
もっとも、個人的には、本作においてボリュームは、あまり関係ないと思っています。
おそらく他所の感想とかでも、プレイ時間が短いという指摘をする人は多いでしょう。
しかし、そのようなプレイ時間の短さを指摘する人はいても、主人公とルリの関係の描写が不足しているとか、そういうことを言う人はいないと思います。
つまり、このボリュームの中で主人公とルリの関係を描くにあたり必要なことは、きちんと詰まっているのです。
無能なライターほど、何かを表現するのに量を要しますからね。
必要なものをコンパクトに表現できたというのは、それは本作のライターに、それだけの腕があるという証拠でもあるのです。
本作は演出等も進化していますし、結局のところ、ひと昔前の泣きゲーを今の技術で表現した作品といえるのかもしれません。
個人的には主題歌も非常に好みでしたしね。
それはそれで徹底できれば、十分評価に値します。
ただ、必ずしもそうも言いきれないから、厄介でもあるわけでして。
というのも、演出は良いけれど、グラフィック自体は決して綺麗とは言い切れないですし、私は細かいシステム周りは気にしないのですが、UIに神経質な人だと、UIも古臭いと感じてしまうでしょう。
ある要素が古典的でも、その他の要素が現代的ならば、特に気にもならないのでしょうけどね。
ひと昔前の泣きゲーを、少し古い絵と、少し古いシステムで表現したとなると、全体として古い、今さらな印象を抱かれても仕方ないのかもしれません。
その意味で、本作は人を選んでしまうのでしょう。
<評価>
総合では良作といえるでしょう。
上記のように人を選んでしまうのは仕方ないですし、ストーリーとかも突っ込みどころはいろいろあるのですが、個人的には設定とサウンドがツボにはまったこともあり、十分に楽しめましたし、今年の泣きゲー枠の中では筆頭クラスだと思います。
それにしても、ねこねこの作品は、デビュー当初から気になってプレイしてきていましたが、どこかしら引っかかるところが多かったですからね。
結果的に今のところ本作が、同ブランドの中でも一番好きな作品になった感じですね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-08-18 by katan
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