『ROSE BLOOD ~血の渇き~』は1996年にPC98用として、アアルから発売されました。
後に個性的な作品を出していくアアルのデビュー作でした。
<はじめに>
アアルというブランドは、一般的には、あまり高い評価を得ていたとは思わないのですが、個性の強いというか、味のある作品が多かったです。
例えば、マゾ向けゲーの元祖的な存在の『M HARD』とか、近親描写やアブノーマルさで発禁処分になった『コ・コ・ロ・・・』であるとか。
他にも、ゲーム性にこだわることもありましたし、世の中がノベルだらけになった時期に、あえてコマンド選択式で作ってみたり、ちょっと他所とは異なる雰囲気があったんですよね。
マニアックなネタやあえて流れに反する作り故に、必ずしも万人受けすることはなかったのですが、人はともかく俺は好きって人もそれなりにいたのではないでしょうか。
そのアアルのデビュー作が、この『ROSE BLOOD ~血の渇き~』でした。
<感想>
ストーリー的には、主人公の高校時代のクラスメートが冒頭でレイプされ、その元クラスメートから、自分を陵辱した犯人を探して欲しいと頼まれたところから始まります。
犯人がそもそもレイプ犯ということもあり、その関係でシナリオ内でも何件も陵辱シーンがあります。
冒頭から、縄で首を絞めながらナニをくわえさせていますからね。
鬼畜系が好みな人向けではあるのでしょう。
そのような陵辱分が強めという傾向はあるものの、基本的には、この当時にわりと多かったタイプのミステリーものであり、アアルの後の癖の多い作品らと比べると、わりと普通だったのかなと。
2作目が『M HARD』なので、そこからブランド色が強まった感じですかね。
ストーリーはいたって普通だったのですが、本作の特徴として、分岐により真犯人が代わります。
こういう構造は何度でも楽しめると褒められる場合もあれば、推理が無駄になると貶される場合もあり、一概に是非は決められません。
ライターの腕が良ければ前者にとられやすく、悪ければ後者にとられやすいという諸刃の剣でもあるのでしょう。
残念ながら本作は後者に近い感じなので、やや物足りなさの方が強かったのかなと。
<ゲームデザイン>
ゲームシステムは、基本的にはコマンド選択式のADVになります。
もっとも汎用メニューはありませんので、個別の選択肢が表示されます。
したがって、見た目は今のノベルゲーと変わりません。
また途中の選択肢次第で展開も変わりますので、コマンド選択式では珍しくマルチエンドでもあります。
その点でもノベルゲーに近付いていますね。
つまり選択式とノベルの中間的な構造であり、これまた当時は増えていたシステムだったと思います。
総当りできないコマンド選択式という意味では工夫されているのですが、このような作品は本作以外にも増えていた時期でもありますし、コマンド選択式としての基本的な作りも平均レベルなので、長所とまでは言えないのかなと。
<評価>
総じて、とにかく平均ラインの作品なんですよね。
こういう系統の作品は今は非常に減ってしまいましたが、当時は結構数があったジャンルでもありましたし、ストーリー的にもシステム的にもどこを見ても平均ラインって感じなのです。
原画は、後の若妻万華鏡の人で、個人的には好みの路線なのですが、本作の頃は少し不安定で、原画自体には、まだあまり魅力はなかったかな。
でも、塗りがシーズウェアとか姫屋っぽい感じでしたので、塗りから感じられる全体的な雰囲気は好きでした。
もっとも、そうした雰囲気も98ゲーっぽいものとも言えますので、良くも悪くも当時の作品らしい作品なのでしょう。
そういう意味では、ありふれていた当時よりも、同系統の作品が減った今日の方が素直に楽しめるのかなと、ふと懐かしく思ったりもするんですよね。
ところで、この作品がエロ抜きで、ダイソーで売っていられていたようなのですが、プレイした人いますでしょうか。
そもそもこれ、エロ抜いて成り立つのでしょうかね。。。
ランク:C-(佳作)
Last Updated on 2024-11-20 by katan
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