シロナガス島への帰還

2018

『シロナガス島への帰還』は2018年にWIN用として、旅の道から発売されました。

昔懐かしのミステリーアドベンチャーって感じでしたね。

<概要>

ゲームジャンルは、詳細は後述しますが、便宜上コマンド選択式ADVとしておきます。

あらすじ・・・
大富豪の遺書の中に残された『シロナガス島』への招待状。
ニューヨークで探偵業を営む男『池田戦』は特殊な能力を持つ少女『出雲崎ねね子』と共に島へと向かう。
そこで起きる数々の奇怪な殺人事件。
果たしてシロナガス島に隠された真実とは……?
すべての謎を解き、呪われた島から脱出せよ!

<感想>

ミステリーゲームもしばらくやってないなと思っていたところ、この作品の存在を知り、やってみたくなったものでして。

まずはゲームジャンルなのですが、公式ではクリック型ADVと書かれています。
もっとも、P&C式ADVと呼べるほどには、画面クリック部分が洗練されていませんので、P&C式ADVとはいえないように思います。
イメージのしやすさという観点から説明するならば、ノベルゲーをベースにしつつ、ところどころで画面クリックによる捜索があると、そういう風に考えればイメージしやすいかと思います。
ただ、この画面クリックの割合は結構多いですし、何度もクリックしなければなりません。
選択肢も同様だったりしますので、変則的なコマンド選択式といいますか、ノベルゲーとコマンド選択式の中間的な構造であり、PC98末期に見られたようなパターンと言えるでしょう。
PC98末期の作品の中で、私がコマンド選択式と紹介している作品も多くありますが、本作のような構造の作品は、どれもコマンド選択式として紹介していると思います。
そういうわけで、本作のゲームデザインは、良くも悪くも90年代半ば頃的な構造といえます。

あとは、プレイヤーの考え方次第なのでしょう。
古臭い構造で自分には合わないという人もいるでしょうし、最近見かけなくなったこういうのがやりたかったという人も、それなりにいるでしょうからね。

本作の良いところは、上記の構造にとどまらず、緊迫するシーンでは時間制限があったりする等、状況に応じてゲームシステムを変えているところにあります。
最近のADVには欠けてしまっている視点ですが、ADVといえども、いやADVだからこそ、ゲームデザインは、その場面ごとに適したものを用いるべきなのです。
本作はそれを実行しようとしていることから、製作者の作品への真摯な態度が伝わってくるのであり、とても好感が持てました。

他方で、個々の要素を見てみると、特に目新しい要素はないこと、また、必ずしも作り込みは十分でないことから、点数のうえでは、伸びにくい作品でもありました。
コマンド選択式のだるい部分も継承しているので、本作が合わないという人も、それなりに出てくることが予想されますしね。

次にストーリーについてですが、ミステリーではあるものの、次々に起こる事態に対応していくということで、どちらかというとサスペンスものの方が近いのかなと。
普通に楽しめる作品ではありますし、この手の作品が減った現状では、貴重な作品でもあります。
そういう意味では、おすすめできるのですが、過去の同系統の作品と比べたうえで、それでもなお優れているかとなると、少し疑問には思ってしまいます。
したがって、普通には楽しめるけど、過度には期待しすぎない方が良いと思います。

<評価>

総合では、ギリギリ良作としておきます。

昔懐かしのADVということで、そういう作品がやりたいならば、まず楽しめるでしょう。
他方で、独自性の強い作品でもないので、独自性を求めると物足りないでしょう。
また、今風の作りではないので、その点で合わない人も出てくると思います。
その辺も考慮して内容だけであれば佳作相当と考えますが、如何せん500円の作品ですからね。
この価格でこれだけ楽しめるということを加味し、良作としておきます。

ランク:C(佳作)


Last Updated on 2024-08-13 by katan

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