Pro student G (ぷろすちゅーでんとG)

1993

『ぷろすちゅーでんとG』は1993年にPC98用として、アリスソフトから発売されました。

アスキーアートによるアニメーションが斬新な作品でしたね。
また、ゲームで本気で笑ったのも、この作品が初めてであり、とても想い入れの強い作品でした。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

あらすじ・・・20世紀末、教育制度改革により厳しい学歴社会が生まれ、路線に乗った者と落ちこぼれた者との激しい対立が続くようになっていた。
教育本部は落ちこぼれ者たちの制圧を図るために、全ての学校を週休二日制にする事を決定。その許可証を発行する為に、本部まで学校印を持ってくる事を全国の学校へ通達する。

沖縄のある学校でも許可証を発行してもらう為に、教師を本部へ派遣する事になった。道中は危険な為、学校側は社会不適合者として座敷牢に数年間監禁していた、高校二年生の猿藤吾郎(二十歳)をボディーガードとして同行させる事にした。
猿藤は同行する教師三蔵法子に一目惚れし、報酬そっちのけで同行を決意する。
猿藤同様、法子に同行することになった四万十沙織、八神ちょこの四人は許可証を求めて沖縄を旅立つのであった。

<感想>

ギャグゲーなんてものも、今ではそれなりにありますよね。
でも、80年代のADVはミステリーやSFとか、硬派なノリのADVが多かったです。

もちろん、中にはノリの良いADVもありましたけど、楽しいなって思えるのと実際に笑ってしまうのは別の話です。
だからプレイしていて思わず吹き出してしまうってのは、あまりなかったように思います。

そういうのは92年頃から幾つか出てきた気もしますが、何分にも泣きゲーと異なり、笑いのツボは千差万別です。
万人が笑えるネタなんてありません。
そういう意味では、ポイントに大きなずれのない泣きゲーよりも、皆に支持されるギャグゲーを作る方が難しいのでしょうね。

さて、私が初めて爆笑してしまったゲームが何かと言うと、それがこの『ぷろすちゅーでんとG』なのです。

概要として、あらすじを載せましたが、ギャグゲーなんで別に知らなくてもいいですかね。
キャラの配置とかベースとなるのは『西遊記』だけど、『西遊記』の話はほとんど関係ないですから。

実はこの『ぷろすちゅーでんとG』には、かなり濃いネタが随所に散りばめられているそうです。
私は最初、あまり良く知らないで、ただ単に波長が合ったとの理由で笑ってました。
波長があっただけでも十分に楽しめましたが、その上でネタをどれだけ知っていたかで、更に評価は上昇するのかもしれません。
なかには、人生でトップ3に入る作品だって言ってる人も何人か見ましたし。
ちなみに、パロディネタを用いる作品って、その後、ノベルゲー全盛の時代に入ると一杯でてきて、食傷気味になってしまうのですが、当時は他になかったこと、ネタがマニアックすぎて自分でネタを考えるより大変そうなこと等から、とても新鮮に感じたものでした。

<グラフィック>

圧倒的なまでの馬鹿げたネタの豊富さ。
それに加えて、テキストアニメーションがとても新鮮でしたね。

今ではネットの普及により、アスキーアート(AA)とかで普通に見かけますけど、当時の自分はそういうのを知らなかったものですから。

おお~!! テキスト欄で何か無意味に動いてる!!
ってビックリしたものですw
ゲームでこんなのを使ったっていうのは、これまでにあったのかな?

このAAの存在だけでも名作認定したくなっちゃいますが、個人的にはキャラデザも大好きでした。
原画はKさんで、原画家が多いアリスのため、中々作品が出ないですけどね。
でも自分は、凄く好きなんですよ。
結構良いキャラ、多いと思うんだけどなぁ~
個人的には、もっともっとKさんの原画で作って欲しいですね。

<ゲームデザイン>

ゲームシステムはコマンド選択式ADVになります。
基本的には一本道なのだけど、ラストだけマルチエンドになってます。
でも、どちらになるかは序盤で確定してしまうので、浮気をしてしまった私は望んだエンドが見られず、泣きを見るはめに・・・
いや、マジで凹みましたよアレは。

ところで、単なる私の願望なので、どれだけ賛同者がいるかは分からないですけどね。
海外のADVの中に、屈指の名作シリーズとして絶大な人気の、Monkey islandシリーズがあるじゃないですか。
私も以前、『Curse of Monkey island』(CMI)の紹介はしました。
他にも扱った作品はあります。
このシリーズは、コメーディー風のP&CタイプのADVなのです。
そのMonkey islandシリーズをプレイする度に思っちゃうんですよね。
ぷろGシリーズをP&CタイプのADVでやってみたいなって。
しかもCMI並にアニメがグリグリ動く感じで。
ぷろGのキャラとテキストで、CMIみたいなゲーム。
考えただけでもワクワクしてくるんですけど・・・やっぱ少数派なのかな?
猿島に猿藤、猿つながりってわけではないけれど、同じギャグ中心の作品ですからね、きっと面白いものが出来そうな気がするんだけどなぁ~

でもね、P&CタイプのADVってアリスも昔作ろうとしたって、前に聞いたことがあります。
そもそもチャンピオンソフト時代は、画面クリックを用いたゲームもわりと得意としていましたから、そっち方面のノウハウもあるはずなんですよね。
だから、やれば面白い物になった可能性も高いと思うのですが、作ろうとしたけどエルフに先に『ELLE』とかを作られちゃったから、それでやめにしたんだって話です。
最近ではアリスは、ゲーム性に拘る会社って思う人もいるけれど、私はちょっと違うと思います。
TADAさんのコメントとかからすると、他所と同じものは作りたくない、他所が作るならうちは別のものを作ろうって。
アリスってそういう会社なんだと思います。
だから昔はADVも多数作っていたのに、今の時代がノベルゲーばっかだから、結果的にSLGやRPGが多くなっていったと。
世間の流行が違っていたら、アリスの歴史もまた全然違っていたと思うのですよ。
仮にエルフがP&Cタイプを作ってなければ、もしかしたらぷろGはP&Cタイプだったのかも・・・
そう考えると、ちょっと残念な気もしますね。
まぁ、今となっては過ぎたことですけど。

<評価>

AAを導入したり、本格パロディゲーの先駆けであるなど、見どころの多い作品ではあります。
しかし結局のところ、とにもかくにも笑えるか否か、それで印象が変わってくるのでしょう。
世代が違うとどうしても笑いのツボも違ってきますので、今やって楽しめるかは保障できませんけどね。
ツボに入りまくった私には、とても思い入れが深い一品でした。
思い入れの強さだけならば、今までにプレイしたアダルトゲームの中でも、トップ3に入るかもしれませんね。

最後に。
『ぷろすちゅーでんとGood-bye』まだぁ~??
個人的にはどの続編よりも待っているのですけど・・・
このシリーズの続編と『さやかちゃん物語』を拝むまでは死んでも死に切れませんよw

ランク:A(名作)


 ぷろすちゅーでんと G

Last Updated on 2024-09-26 by katan

コメント

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    いや~、これ好きでしたよ!!
    katanさまの仰られるように、確かにゲームで笑えるのって少ないですよね。俺も腹の底から笑ったのはこれと「トリオ・ザ・パンチ」くらいですかねw
    基本的にはパロディが多いですよね。俺は結構全方位オタクだったので、かなりわかったと思いますが、何が驚いたかっていうと冒頭のつかみ(ってほどでもないですが)がいきなり「ようこそようこ」だった事ですね。パロディにしてもいきなりそういう、ニッチな部分で突いて来るとかってもう完全にユーザー無視で好き勝手作ってるとしか思えませんでしたw
    「神聖モテモテ王国」という漫画がありましたが、その笑いと少し似ている部分がありますね。よくわからなくても十分面白いんだけど、雑学(?)があれば一層面白いし、感心させられることすらあるっていう。
    あと本稿でも触れられていますが、AAというか絵文字というか、あれはほんとにカルチャーショックでしたねw
    なんか冒頭からいきなりごろーちゃんの秘密、みたいな感じでどかんと出てきたと記憶してますが、ほんとこれ作った人アホだなー(褒め言葉)と、つくづく思い知らされました。
    写真は東宝特撮メカでも抜群の人気を誇るメーサー戦車ですね~。これも笑ったな~。
    展開のダイナミックさも物凄く好きでしたよ。ごろーちゃんが「○○○」になっちゃったり、「バショウセン」があんなのだったり、とにかく驚愕の展開が多かったですねwそういうのって最近ないですよね(当たり前かw)。
    思えばあそこまでのムチャな展開はADVというジャンルしかできないかも、と思ったりします。
    中学~高校の頃によく友達と「ゲームブック」を作りあってたんですよ、ノートに番号振って。初めはスティーブ・ジャクソン氏のを超意識して(てかパクってw)、真面目に書いてたんですが、だんだん選択肢がなくなって、内輪ネタや今見てるアニメとか漫画のネタをじゃんじゃん導入するようになっていったんですが、まさに本作はマスプロダクツでそういうのやっちゃってる!!すげーな~wって思った記憶があります。
    お話は一本道なんですが、お金の使い方なんかで細かい寄り道みたいのがたくさんあって、なかなか奥の深さ(?)を感じました。
    これのノリを期待して「ファニーBee」をプレイしたんですが、こちらは随分とまともwなノリで、ちょっと残念でした。(宇宙横綱?は笑ったけど)

  2. SECRET: 0
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    >>マスター栄者さん
    >よくわからなくても十分面白いんだけど、雑学(?)があれば一層面白いし
    これなんですよね。
    分かった部分は、それはそれでニヤリとできます。
    でも、例えわかんなくても笑えちゃうところが凄いなって思ったわけで。
    このセンスは最高です。
    友人も98ゲーのトップ3に入れてましたが、
    私も主観値だけならフルマークでも良いかなってくらい好きです。
    AAは知らなかっただけに、とても衝撃的で。
    小説ではなく、ゲームですからね。
    こういったプレイヤーを飽きさせない遊び心は他社も見習って欲しいです。
    (ってか、アリス自身忘れかけてそうですが…)
    >本作はマスプロダクツでそういうのやっちゃってる
    昔のアリスは自分達のやりたいことを好きなようにやってるって感じでしたね。
    あの自由な雰囲気が好きでした。
    そういう点では、WIN以降は優等生過ぎてハジケ具合が足りない気もします。
    >「ファニーBee」
    ありましたね~
    ぷろGよりは人気がないけれど、結構好きでした。
    でも、やっぱり指摘された通りかなって思います。
    楽しかったけれど、ぷろG程ではなかったですね。

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