『planetarian ~ちいさなほしのゆめ~』は2004年にWIN用として、keyから発売されました。
原画が駒都えーじさんで、シナリオが涼元悠一さんということで注目した作品でしたね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
「私は涙を流せません。ロボットですから……」
降り止まない雨──30年前、突然の細菌攻撃により放棄された 『封印都市』
今はただ、自律型の戦闘機械が支配する 無人の廃墟
そこに彼はたどりついた
疲れ果て、身を潜めたビルの中に その場所はあった
プラネタリウム
昔、満天の星々を眺め 人々が心を癒やした空間
そこで彼を一人の少女が迎える
少女の名は「ゆめみ」
30年の間、訪れる人を待っていたプラネタリウム解説員
彼女は、壊れかけのロボットだった──
「ゆめみ」に乞われるまま
今は動かない投影機を動かすために 彼は時を忘れて修理を続ける
降り続く雨
静かに流れていく「ゆめみ」と彼の日々
遠い郷愁のような毎日が彼の心を揺り動かす
人工の星空に、彼は何を想うのか?
そして「ゆめみ」の運命は──?
<キネティックノベル>
シナリオに涼元悠一さん、原画にこつえー(駒都えーじ) さんということで、個人的な期待も大きかったところ、同時にキネティックノベルの第1弾としての役割も担った作品でした。
ノベルゲーム自体は80年代からあるわけですが、当初は選択肢によって様々に物語が分岐するという、ゲームブック的な側面も重視されていました。
ゲームブックが好きだった私は、その形式自体は好きだったのですが、かかる形式は同時に物語の主張がぶれやすいという問題も抱えていました。
やがて、プレイヤーを楽しませるというよりも、ライターの主張をもっと前面に押し出したいという方向性が強まり、次第に物語が分岐していく要素が失われていきました。
それでゲームと呼べるのかは疑問が残るところですが、それでもテキストに音と絵が備わることで、小説とは異なる独自のコンテンツとしての意義は有していました。
ただ、絵と音がついたノベルで1万円近い価格は高いですし、価格分に相応しくと無理にボリュームを増やしてしまえば、中短編の良作は作りにくくなります。
そういう意味では、1000円というラノベと大して変わらない価格で、音と絵のついたノベルを提供しようとするキネティックノベルの理念は、私には大変素晴らしいもののように思えたものです。
<感想>
さて、ライターの涼元悠一さんは、『青猫の街』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してますし、『AIR』で担当した部分も秀逸でしたので、個人的にはかなり期待していた方でした。
原画はこつえーさんで、今もそうですが、当時は特に人気の高かった方で、私も好きな原画さんでした。
そういうわけで期待せざるをえなかったところ、キャラはやっぱり可愛かったですね。
ストーリーは荒廃した世界に主人公とロボットの女の子だけということで、個人的には、この手の設定が好きなだけに、良くも悪くも大体先が想像できてしまいます。
ラストもロボット三原則を貫いていますし、意外性がなく想定の範囲内で終わってしまうのは確かでしょう。
でも、それでもグッときてしまうのは、ライターの自力があるからなのでしょうね。
日本ファンタジーノベル大賞はあまり浸透できてないところもありますが、ここの受賞者たちは実力者揃いで、ハズレの多い賞も一杯ある中で珍しく良質な賞だったりします。
涼元さんは優秀賞でしたが、それだけの実力はあったってことですね。
かように基本的には満足できましたし、元の価格からすればコストパフォーマンスも悪くないでしょう。
キネティックノベルの理念は伝わってきましたし、十分に良作だとは思います。
人によっては名作にもなりうるでしょう。
ただ、いくら良くても、想定の範囲内ってのは、私の評価のベクトルとはずれてしまいます。
できればありきたりな話ではなく、もっと涼元さん独自の世界を見せて欲しかったわけでして。
ゲームのライターとしては文章力は抜群なのでしょうが、そういうものを求めているわけではないですからね。
それこそ『青猫の街』のような、涼元さんらしさを前面に出したゲームを作って欲しかったです。
それと、キネティックノベルの理念は理解できるのですが、涼元さんに限って言うならば、フルプライスの作品で1本作ってみてほしかったわけでして。
そこで真価が問われるべきだったと思うのですが、もうゲームから離れてしまったので、結局は分からずじまいでしたね。
その点は非常に残念で、今でも心残りです。
こつえーさんの絵も、せっかくならもっと一杯楽しみたかったですしね。
本作は良質な作品ではあるものの、このコンビならフルプライスで見てみたかったという気持ちが先行し、どうしても消化不良な気になってしまったものです。
キネティックノベルというコンテンツは応援したいが、この作品はフルで見たかったということで、ハッキリ言って矛盾した感想かもしれませんけどね。
そう感じてしまった作品でしたね。
Last Updated on 2025-12-14 by katan
![planetarian ~ちいさなほしのゆめ~ [初回版]](https://www.suruga-ya.jp/pics/boxart_m/145014165m.jpg)


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