『ミシシッピー殺人事件』は1986年にファミコン用として、ジャレコから発売されました。
ファミコン時代のクソゲーの代表作。
なのに周りの保有率は凄く高かったという、不思議な作品でした。
概要
ゲームジャンルは移動式ADVになります。
あらすじ・・・6月のある日。
セントルイスからニューオーリンズへと向かう外輪船「デルタ・プリンセス号」。乗客の探偵チャールズ卿と助手のワトソンは、散歩がてらに乗客・乗員たちを訪問して行き、とある一室で他殺体を発見。
2人はともに、乗客・乗員の協力を得ながら犯人を推理し、事件解決を目指すが、彼らはさまざまな事情から互いに憎しみ合っており、一筋縄では行かない。
感想
ファミコン時代にはいくつもクソゲーと呼ばれるゲームがありましたが、ADVの中で必ずノミネートされるであろう作品が、このミシシッピー殺人事件でした。
同時に、ADVの中の認知度としてもファミコン屈指な上に、上記のように私の周りも皆持っているという、実に珍妙なゲームだったんですよね。
ついでに加えると、助手はワトソンなので、先入観で主人公はホームズとずっと思い込んでいました。
でも、実は、主人公はチャールズ卿とかいうパチ者だったりするわけで、そこら辺からして胡散臭さが漂っています。
さて、このゲームはRPGのように直接キャラを動かすタイプのADVで、そのシステムであるが故に評価が変動するというわけではないのですが、この当時では珍しかったのかなと思います。
ただ、本作をクソゲーとして伝説たらしめたのには、このシステムだったことが大きく寄与しているように思います。
そういう意味では、使い方次第で化ける可能性のあるシステムなのかもしれません。
というのも、本作の舞台は豪華客船で、そこで事件が発生したことから船内を探索することになります。
その過程で床に突然穴が空いて落ちてゲームオーバーとか、ドアを開けるとナイフが飛んできてそれに刺さってゲームオーバーとか、そんな死にまくりのゲームだったんですね。
あれを初見で全てかわせた豪の者はいたのでしょうか?
あまりの理不尽さで強烈なインパクトを与えたわけですが、よ~く考えると理不尽なゲームオーバーなんて、昔のADVでは決してないことではありません。
それでも本作がことさら有名になったのは、理不尽な死がグラフィックで描写されたことによる、視覚的なインパクトが伴っていたからだと思うのですよ。
だから面白さに貢献したとは言えない本作のシステムも、クソゲーとして人々の記憶に残るということには大きく影響したと思うのです。
まぁ、そこそこ面白くてもすぐに忘れ去られていくゲームが多い中で、長く覚えていてもらえたわけですからね。
そう考えるとやっぱり凄いことだったのかなとも思ったり。
ところで、本作には他にもクソゲーと言われる要因がありました。
得た証言を他人への聞き込みに利用する場合には、ワトソンにメモをさせる必要があったのです。
しかし、ワトソンがメモできるのは証人1人につき3つまでで、しかも一度漏らすと再度証言を得ることはできず、結果としてすぐに詰まってしまいました。
トラップでの死はインパクトこそありますが、その場所にさえ注意すれば問題ないわけですから、案外クリアに対する大きな支障になっていなかったと思います。
むしろ地味に堪えたのが、このメモのキープ数制限だったのでしょう。
こういう詰まりやすいのは叩かれやすいですからね。
特にプレイヤーの大半が子供だったファミコンでは尚更でしょう。
他方、必要な情報の取捨選択を迫るなど、ADVの、特に推理系作品では有効に利用できそうなシステムもあったわけで、結構見所のあったゲームでもあったように思います。
余談ですが、後にこの手のシステムを上手く活用した推理物も出てきます。
『刑事神南さつき』のKIMシステムなんかが、その代表例になるでしょうか。
確かに、一度逃すと2度目は無理というような構造は、やっぱりちょっとバランス的にどうかとも思いますが、結局のところ、本作は、発想は良かったけど練り込みが足りなかった、独自性はあったけど完成度が伴わなかったということなのでしょう。
総合
そういうわけで、巷では最高ランクのクソゲー扱いな本作ですが、そして私も諸手を挙げて褒める気にはなれませんが、ADVとしての珍しさや見所はあったわけで、中々に興味深い作品として元は取れたように思い、総合では佳作としておきます。
ランク:C-(佳作)
ミシシッピー殺人事件 AMAZONで詳細を見る
Last Updated on 2024-04-18 by katan
 
  
  
  
  

コメント