LOVELY×CATION

2011

『LOVELY×CATION』は2011年にWIN用として、暁WORKS響SIDEから発売されました。

原画が唯々月たすくさんで、声優にまきいづみさんがいるということで期待した作品でした。

<感想>

本作は恋愛モノのADVなのですが、システムはマップから移動場所を選び、キャラとの会話で選択肢を選ぶことで進行します。
またプレイヤーにはパラメーターもあります。
まぁこれは進行度の目安みたいなものなので、SLGというよりはADVの範疇に入るものなのでしょう。
一応ADVではあるものの中間的な位置付けなわけで、90年代後半の恋愛系ゲームを思い出させる構造と言えるでしょう。

もっとも、単に90年代の模倣をするわけではなく、現代的なシステムも導入されています。
それがプレイヤーの名前を呼んでくれるラブリーコールシステムになります。
ただこれは、事前に大量に収録させていたものを使用するので、全く該当しない人だと恩恵を受けられないおそれもあります。
『ときメモ2』というより、『あいたくて』方式かといえるのでしょう。
気にする人は、OHPで事前にチェックしておくべきでしょうね。

恋愛モノは今ではすっかりノベルばかりになりましたが、揃いも揃って馬鹿みたいに同じシステムにする必要もないわけでして。
中にはこういうシステムの方が好きな人だっているでしょうし、名前を呼んでくれるシステムにしてもそうなのですが、労力のわりに報われなさそうなことに挑んだ姿勢は評価したいです。

ただ、応援したくはあるのですが、完成度自体は長所と言えるほどには優れていなかったですし、この作品によって新たな道が開けたというわけでもないので、そこは今後の課題なのでしょう。

システム面は及第点ということで、むしろ大きくポイントを稼いだのは、絵と音声でしょうね。
原画は唯々月たすくさんで、頭身が高めでいながらとても可愛いキャラで、今とても期待している原画さんの1人です。
そのキャラの1人にまきいづみさんの声がついたりするわけで、主観的な好みの問題でもあるのですが、個人的にはかなりツボにきました。

これでストーリーも普通に楽しめたら、名作扱いも十分にありえたのでしょうけどね。
問題はそこにあったわけでして。
いや、ストーリー本筋は普通に楽しめるのでしょうが、むしろ問題は主人公そのものなのでしょう。
これがまたいろんな負の因子を注ぎ込んだような、典型的なヘタレ主人公だったのです。
私はそれだけでも結構嫌なタイプ(っていうか、こういうの飽きた)ですが、それでもストーリー主導でその主人公の成長を扱ったのであれば、まだ許せるって人も多いでしょう。
でも、この手のゲームはそうではないわけで、加えてあなたの名前を呼んでくれますよってことで、より一層主人公≒プレイヤーの構図を出しておいてのこれですからね。
ヘタレに対し自分の名前を呼ばれることが苦痛に感じる人もいるでしょうし、とにかく主人公の設定とシステムの不一致が目立ってしまいました。
いっそのこと無個性な主人公にしてくれれば良かったのですが、ちょっと残念でしたね。

<評価>

総合的に見れば十分に楽しめはしたのですが、絵や音によるヒロインのプラス分を主人公で打ち消してしまい、結局は良作止まりってところでしょうか。
非常に勿体無い作品でした。
意欲は買いたいけどまだ作り方を理解していなかったのが全てなので、次の作品で改善してくれることを期待したいものです。

ランク:B-(良作)

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Last Updated on 2024-12-12 by katan

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