『酷罪を受けるべき者』は2008年にWIN用として、禁飼育から発売されました。
残虐かつ鬱な内容で話題になり、禁飼育の名が広まった作品ですね。
<概要>
あらすじ・・・
学校で「いじめ」をする首謀者である主人公、尾藤あゆりは、「いじめ」られた小倉によって橋から突き落とされ、異世界へと飛ばされ、そしてその世界で生活する事となった。
西洋の国「サイ」と東洋の国「糸羅」の対立する世界であゆりはどうなるのか……?
ただ読むだけの選択肢無し、異世界ファンタジー残虐ノベル。
CG87枚。プレイ時間8時間前後。
性描写は男性向け。グロ描写有
<感想>
ゲームジャンルはノベル系ADV。
選択肢はなく、完全に読むだけの作品になります。
ちなみに、禁飼育作品は、本作は女性主人公の男性向けといいますか、普通の18禁同人ノベルゲーとなります。
また、次の作品からは何作か一般向けのノベルゲーとして発売され、『乙女の悲劇は残酷なキス』から、いわゆる乙女ゲーとして発売されています。
禁飼育さんの作品全体で考えますと、後の作品になると、私は絶賛する作品もありますし、名作と判断した作品もいくつもあります。
それくらい、後の作品については、好きな作品も多くなっています。
その禁飼育の名が世に知れ渡った作品となると、おそらく本作なのでしょう。
当時、同人ゲームをプレイする人たちの間で話題になり、それで私も知ったものですから。
実際、後の作品にも通じる特徴や傾向は、本作からも感じ取ることができますので、禁飼育の原点的な作品とも言えるのでしょう。
では、その出世作とも言える本作、私の印象はどうなのかというと、実はあまり芳しくな
かったりします。
まず、形式的なところから入りますと、本作は音声もなく、ライターと原画が同じこともあってか、原画の方はあまり良くないです。
これが後の作品になると、演出が劇的に進化していきますし、原画の方も、描き慣れることにより、味わいが出てきます。
しかし、本作の段階では、まだ素人感が強く、どうしても貧弱に見えてしまいます。
本作は、キャラの立ち絵を見せる場面ではテキスト欄を下部に配置し、そうでない場面はテキストが画面全体を覆います。
この構造は良いと思うのですが、テキストが画面全体を覆っている時間、つまりキャラが登場せずに背景に文字だけの時間が長いです。
本作は演出面も乏しいですし、基本的に評価の対象になりえるのはストーリー性だけなのでしょう。
だからストーリーさえよければ高得点というような人なら高得点にもなりえますが、ある程度は全体も配慮する人だと、不満も出やすいかもしれません。
本作のストーリーは、主人公が異世界に飛ばされてしまい、身体能力は高めでありつつも普通の人間でしかないことから、そこでの事件に次々に巻き込まれてしまうというものです。
シリアスで鬱な展開が続きつつ、残虐でグロい映像も出てきますので、鬱ゲーとかグロが好きな人向けと言えるでしょう。
個人的にはグロ系の作品も結構プレイしているのだけれど、自分の好きなのはエログロであって単なるグロではなく、本作のようなエロさの伴わないグロは少し好みからずれる感じかなと。
まぁ個人の好みは関係ないとして、本作の主人公は「いじめ」をすると概要にも書きましたが、ゲーム序盤はその描写がなされます。
この現代でのいじめ部分から、異世界に飛ばされてしばらくの間、つまりゲームの前半部分が、どうにも単調で退屈だったわけで。
上記のようにストーリーしか見る部分のない作品だけに、他でカバーすることができないことから、余計にもそう感じてしまった感じですね。
とはいえ、後半は後の禁飼育作品に通じるこのサークルならではの良さが出てくるので、本作を好きになる人が出てくるのもわかります。
<評価>
以上をふまえると、何を評価するかにより、本作を高く評価する人がいても、不思議ではないのでしょう。
そうですね~そのうえであとは、本作に対する姿勢で、印象も大きくかわってくるのではないでしょうか。
というのも、歴史を振り返ってみますと、ゼロ年代前半に鬱ゲーが流行しました。
ゼロ年代半ばくらいには、現実的ないじめを扱ったような鬱ゲーも出てきます。
そうした作品が好きだった人は、ゼロ年代後半に入ると、次第にプレイしたいと思える作品が減っていったと思います。
そんな中で本作が出てきたわけですから、過去の鬱ゲーのような作品を求めていた人には、待望の作品にも見えたかもしれません。
しかし、私はそうではないわけでして。
常日頃から私は、完成度より独自性、クオリティではなくオリジナリティを求めると言っています。
特に同人ゲームなんてのは、商業エロゲやCSゲーよりも、全体的なクオリティは低くなりがちです。
それでも同人ゲームをプレイするのは、商業エロゲやCSゲーでは得ることのできない、その作品からしか味わえない刺激や新鮮さを得られることがあるからです。
本作は、過去の流行路線を禁飼育風に作成したというだけで、プレイしていて独自性や新規性を感じることができませんでした。
そのため、私の本作に対する評価は、あまり伸びなくなってしまいます。
したがって、総合では佳作とします。
最後に余談ですが、かように本作に対する私の印象自体は、決して良いとは言えません。
ただ、禁飼育作品の場合、作品を重ねるごとに、進化していくわけでして。
その、もともと持っていた魅力は洗練されていき、本作ではまだ作品の「傾向」としか言えなかったものが、このサークルからしか得られない「唯一無二の特徴」へと昇華していきます。
この辺は、これだけだと抽象的すぎるので、もう少し捕捉しておいた方がよいでしょうか。
具体的にいうと、上記のとおり、本作は男性向けの作品として発売されています。
その後も何作かノベルゲーを出していますが、それらは年齢制限のない一般向けです。
そうした作品において、ライターでもある画用紙さんがメッセージ性を込めているのは理解できるのですが、その扱う内容については、正直なところ、他所の作品でも見ることができるよねと思ってしまうわけで、画用紙さんならではという要素が足りていなかったと思います。
乙女ゲーにシフトチェンジすることにより、そこに一般的な女性向け作品とは明らかに一線を画すような歪んだ性癖等を織り込むことにより、ようやく画用紙さんならではという境地に達したと思うのです。
また、弱かったグラフィックも、演出面がどんどん進化していくことで、短所から長所へとかわっていきます。
このようなサークル、つまりサークルの持つ魅力という本質を維持したまま、着実にグレードアップしていくサークルというのは、非常に珍しいように思います。
だから、本作をプレイして面白いと思った人は、その後の作品もプレイしてください。
他方、本作をプレイして面白いと思えなかった人でも、少しでも良いと思えた部分があったのならば、その後の作品もプレイしてください。
他の作品もプレイすることで、特に後の乙女ゲーに路線変更してからの作品をプレイすることで、禁飼育作品からでしか得られないものがあることに気が付くと思いますので。
Last Updated on 2026-08-10 by katan


