『生命のスペア I was born for you』は、2016年にWIN用として、あかべぇそふとすりぃから発売されました。
中島大河さんがシナリオを担当した作品ということで、プレイしてみた作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
「一度『桜紋病』にかかったら、あとは怯えて過ごすだけ」
夙川恵璃(しゅくがわ めぐり)は、病を患っていた。
原因は未だ不明、治療法も確立していないそれは、死に至る不治の病――『桜紋病』。
唯一助かる可能性がある治療法は、心臓の移植のみ。
しかし、適合する心臓が見つかることは奇跡に等しい。
だからこそ、妹の璃亜(りあ)が、デザイナーベイビーとして作られた。
姉の心臓の、スペアになるために。
難病に侵された姉と、彼女のために生まれた妹。
2人の家族を除いて、その秘密を知っているのは、恵璃の友人である静峰竜次だけ。
残された時間と、歪んだ覚悟。
それぞれの気持ちがすれ違う中、迎える結末とは――
<感想>
以前の記事にも書きましたが、中島大河さんの作品が面白かったので、それで遡っていろいろプレイした作品の中の1つでした。
まず、秋空もみぢさんが原画を担当するグラフィックについて、もともとキャラは好みの絵柄ではあったのですが、過去作では若干チープさが漂っていたり、塗りも平凡でした。
しかし、作品ごとに成長していって、本作のグラフィックは良かったと思います。
個人的な満足度は結構高いですね。
本作はミドルプライスの作品ということもあってか、選択肢のない一本道の作品となります。
本作より前に発売された『できない私が、くり返す。』では、余計なものがいろいろくっついて、それで作品の完成度が低くなっていただけに、その反省を活かしたかのような作りといえるのでしょう。
フルプライスにするために無理やり変なルートを付け加えるのであれば、むしろ必要なものだけに絞った方が、作品の完成度は高まりますし、特定のテーマを伝えたいのであれば、この方がずっと良いでしょう。
そういう意味では、本作はシンプルな1本道ではありますが、『できない私が、くり返す。』のような構造的な欠点もなく、単純に楽しむことができました。
ただ、問題は肝心のストーリーにありまして。
本作は死生観とか終末を扱った作品なのですが、題材が重いだけに、もう少しじっくり掘り下げるべきだったと思います。
本作のボリュームも、ミドルプライスとしては少なくないですから、テーマをもう少しシンプルにすれば、十分描ける分量はあるでしょう。
しかし、いろいろ欲張って詰め込み過ぎたため、それらについて全てきちんと描写するには、本作では少し分量が足りなかったように思います。
どこかしら中途半端なもの足りなさを感じてしまい、面白いのだけれど、もう少し掘り下げることができたら、きっと素晴らしい作品になっただろうにという、勿体なさを感じる作品になってしまいました。
<評価>
本作も、これはこれで十分面白いのですが、こういう題材を扱った作品とか、いわゆる泣きゲーとかって、アダルトゲームは優れた作品が既にいくつもあります。
名作といえる作品になるためには、それらとの差別化が必要なのであり、本作はそこまでには至っていなかったように思います。
したがって、総合では良作としておきます。
あれこれ詰め込むのであれば、素直にもう少し分量を増やして、フルプライス作品にすれば良かったと思うし、逆にミドルプライスありきというのであれば、推敲してもっと一番描きたいものに絞るべきだったかなと。
もっと良くなる要素も十分あるだけに、勿体なさを感じる作品でした。
ランク:B-(良作)
Last Updated on 2024-09-08 by katan



