『ギディ』は1991年にPC98用として、ハート電子産業から発売されました。
歴史上に名を残す美人とHをしてみたいと、一度は考えてみたことのある人も多いのではないでしょうか。
<概要>
80年代に全流通から発売された艶談シリーズでは、多くの日本の歴史上の偉人が登場しました。
となると、今度は世界を舞台にしたものがやってみたいと思うのも、当然といや当然なことでしょう。
本作は、そこに注目した作品でした。
じいちゃんが死んだ・・・と、もの悲しく始まるOPには驚かされましたが、主人公は、じいちゃんの残したタイムマシーンを使って、世界中のいろんな時代にワープします。
その辿りついた先で問題を解決しつつ女の子とHをすることになるのですが、相手がクレオパトラとか楊貴妃とか、歴史に名を残す美女ばかりなんですね。
個人的には、設定だけでも興奮してきそうです。
<グラフィック>
もっとも、これで絵がヘタレだったらガクっとなるわけですが、キャラもちゃんと可愛く描かれていました。
そもそも、デビュー当時のハート電子の作品は、あまりグラフィックは良くなかったです。
後のインターハートは、最近また復活したのでややこしいですが、勢い(?)のあった頃の90年代後半のWINゲーでは変に濃くなって、あまり万人受けしなそうなキャラデザでしたしね。
振り返ってみると、90年代前半のこの時期の作品だけが、可愛くて綺麗な絵だったように思います。
<感想>
さて、ハート電子産業のゲームといえば、どうしても注目したくなるのがゲームデザインでしょう。
変わったシステムを導入している作品が多いですから。
今回はポイント&クリック式(P&C)式のADVということで、これだけを聞いて今の観点から考えてしまうと、特に変わった部分はないようにも思えます。
しかし業界初のP&C式として有名な『ELLE』も91年で、こっちの方が若干遅かったはずではありますが、ほんの数ヶ月の差でしかありませんし、ジャンルとして珍しいことにかわりはありません。
というか、P&C式にも種類や変遷が一杯あるわけでして。
そもそも画面クリックという形式のADV自体は、80年代半ばのアダルトゲームでもあるのです。
その頃はコマンド選択の際の総当りを避けてゲーム性を増すために、部分的に使われるってのが大半でした。
アイコンを選択した後に画面クリックという、コマンド選択式を伴わないシステムにしても、80年代に既にあったりします。
ただ、私はシステムとデバイスって密接に関連すると思っています。
例えばDCの『シーマン』の音声入力は面白かったけど、事実だけで判断するならば、音声入力自体はファミコンでもあっただろってなります。
しかし、ファミコン時代の音声入力では、『シーマン』の面白さは全く実現できないでしょう。
内面上の技術が発達したからこそ、魅力が引き出せるようになったのです。
マウスが標準装備となったPC98とは異なり、PC88の頃はマウスが標準ではなかったですし、画面クリックもキーボードでカーソルを動かしてって感じなので、ハッキリ言って面倒でした。
ましてやアイコンを選んだ後でとなると、手間が2重になりますしね。
今でこそ私はP&C式ADVこそ最高の基本システムと考えますが、PC88時代のマウスなし+アイコン型は楽しさがあまり分かりませんでした。
こういうのは部分的に使うからこそ意味があり、基本システムに使うべきではないと思っていましたからね。
『ELLE』はアイコン選択型ではなく、クリックできるところで自然にカーソルが変化します。
今のP&C式ADVもこういう形式か、その場所で右クリックすることでカーソルを任意に変更させるのですが、いずれにしてもアイコンを決めるために動かし、アイコンを決めた後に動かしという2度手間はかかりません。
手間が減った上にマウスで快適に動かせるわけですからね、飛躍的に面白く感じられるようになったものです。
P&C式ってのは、マウス操作の発展も含めた上で成り立っていると思うんですよね。
だから私は、『ELLE』は画期的だったと思うわけです。
他方で本作は、アイコン型で、まずアイコンを選択して、その後に対象物をクリックしてという形になります。
これはどうしても手間が増えてしまうわけですが、マウスでの操作を念頭に置いて作られていますので、『ELLE』ほどではないにしても、プレイ自体は80年代の作品より快適になっています。
ところで、以上の様な説明だと、アイコン型は古い形式のように見えてしまいますが、アイコン型は『ELLE』のような自動変換型よりも、理屈上は、やれることが増やせますからね。
ADV制作の上手い人が作ればゲーム性を高めることができます。
一定の快適さが確保されれば手間も気になりにくいですし、人によってはこっちの方が好きな人もいるでしょう(エルフだって『DE・JA2』ではアイコン型の画面クリックに、コマンド選択を混ぜた形式に変えてきていますし。)。
また、海外のP&C式ADVでは当然のように用いられているインベントリー。
つまりアイテムを入手して、それを適切な場所で用いる要素ですね。
本作では、これも採用されていました。
P&C式と呼べるアダルトゲームはその後に幾つか登場するものの、インベントリーを用いているタイプは少ないです。
こうしてみると、当時のこの手のシステムとしては先端を行った作品であり、ハート電子らしい作品と言えるのでしょう。
まぁ、欲を言えばもう少しクリックした際の反応が多ければ、もっと良かったんですけどね。
エルフのADVに比べると、どうしても作りこみが甘く感じてしまうのですよ。
作り込みが甘いから、せっかくのアイコン型も活かされていないのです。
<評価>
せっかくのシステムが活かしきれていない点は、どうしても少し気になってしまうのは確かなのですが、テキストやグラフィックの良さを考慮すれば、十分に良作と言って良いように思えますね。
今回は脇道にそれまくった感もありますが、結局言いたいことは明確で、本作はこの手のゲームの初期の代表作だってことですね。
ランク:B(良作)
Last Updated on 2024-08-21 by katan
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