ファーストKiss☆物語

1998

『ファーストKiss☆物語』(以下『FKS』。)は1998年にPC-FX用として、ヒューネックスから発売されました。

PC-FXの最後の作品となったのが、このFKSでした。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
高校卒業を1か月後に控えた主人公は、父の急な転勤に伴い、秋月市にある父の知り合いの家に居候することになります。
しかし、そこは、未亡人と年頃の娘2人という女所帯でした。
妹の真奈美はなついてくれるものの、姉の香奈にはすっかり嫌われてしまい、複雑な気分の居候生活が始まります。

<感想>

本作は発売の前後を通じて、いろいろ言われてましたよね。
FXの最高傑作であるとか、FX最初にして最後の名作なんてのもありました。
FXの最高傑作は別にあるだろとか、他にも名作あるだろうがとか反論は幾らでもしたくなるわけですが、そもそもFX最後の作品ということも相まって、とにかく注目度の高いゲームでした。
まぁ、あくまでもFXのゲームとしての注目度の高さということですので、私のようなPC-FX大好き人間はともかくとして、世間一般では知らない人の方が多かったのかもしれないですけどね。

ゲームジャンルは基本はノベル系のADVで、それにマップ上での移動が組み合わさっています。
内容的には恋愛ものになりますね。

本作は、ごくごく普通の日常を扱った恋愛ものです。
今ならあまり興味を持てないところでしょうが、当時は「恋愛系のノベルゲー」と限定すれば、まだ家庭用ゲーム機のオリジナル作品はそんなに多くなかったことに加え、FXの最後ということによる人気の高さや、キャラが凄く可愛かったことから、興味を抱いて購入した作品でした。

このゲーム、本当に普通の恋愛を扱った作品です。
それだけに、最近のギャルゲー好きが今から初めてプレイした場合、おそらくあまり作品の特徴を感じとることができないのではないでしょうか。
今やっても面白さが分かりにくい、典型的なゲームだと思います。
でもFKSは、恋愛ものとして当時考えうるあらゆる要素が凝縮されたような、とても丁寧に作られた作品だったのです。

ゲームは2部構成になっており、1部は共通ルートで、2部が各ヒロインの個別ルートになります。
セリフはフルボイスでしたし、FXということで随所にアニメーションも入ります。
普通の日常を扱っているが故に、派手なストーリー展開こそありませんでしたが、一つ一つの描写がとても丁寧に描かれていたように思います。

加えて、本作の場合、ヒロイン間の交流も結構あって、物語に横軸の厚みも感じられました。
今でもそうだし、当時は尚更そうなのですが、この手のゲームって、主人公とヒロインとの関係性にばかり着目し、ヒロイン間に交流のないのも多いです。
まだ共通ルートはマシなのですが、個別ルートに入ってからは主人公とヒロインの関係性ばかりになってしまい、他のキャラは出てこないなんて作品はいくらでもありましたからね。
つまり、縦軸のストーリーばかりが注目されて、横のつながりがないゲームが多いだけに、本作はとても印象が良かったのです。
また、攻略対象のキャラの数も非常に多い上に、どの娘も可愛いので、ボリューム的にも満足できました。

普通普通と言いつつも、それはストーリーの本筋だけに限定して切り取って見た場合の話でしかありません。
作品全体を総合的に判断するならば、ここまで作りこまれた現代を舞台にした恋愛系のノベルゲームは、当時は他にはなかったんじゃないでしょうか。

ゲームシステムにしても、共通+個別といった構造のノベルゲームは、今ではノベルゲー中でも一番多いジャンルでしょう。
しかし、次世代機の出始め頃の恋愛ものはSLGが多かったですし、98年頃の家庭用ゲーム機の恋愛ものにしても、SLGかSLG+ADVの中間的な形式が多かったように思います。
純粋なノベル系ADVの形式を採ったものはまだまだ少なかったですし、それでいてフルボイスにアニメーション付なわけですからね。
これだけの完成度があるならば、恋愛ゲーム好きならばきっと楽しめるように思います。

<評価>

こういう普通の恋愛ものは、特に新しいシステムがあるわけでもないし、感動的なストーリーも派手なオチもあるわけではないことから、どうしても特徴が弱く感じられがちです。
そのため、基本的に私の評価は伸びにくい傾向があり、本作に対しても、当初は良作と判断していました。

しかし、今風の恋愛ノベルゲームの形式で古い作品を遡っていくと、本作の存在がすぐに浮かんでくるわけでして。
というのも、当時のPCの恋愛ADVは声やアニメがないのがほとんどでしたし、家庭用機の恋愛ものはSLGが中心でストーリーが薄いのばかり。
よくよく考えると、今風のノベルゲーの形式を98年の時点ですべて満たしている本作は、実は凄いゲームだったんじゃないかと、数年経ってから妙に懐かしく思えてきたのです。

恋愛系ノベルゲームにおける総合力や完成度という面で考えた場合、本作は当時としては完全に頭一つ抜き出ていたように思えますし、やっぱり名作扱いで良いと思いますね。

プレイヤーが何を基準に名作とするかは人それぞれで、そこに他人は口出すべきではないことかもしれません。
だから誰かが何かしらの作品に対し、ストーリーだけとか、CGだけとか、特定の要素だけで名作と判断したとしても、それはそれで1つの考え方なのだと思います。
しかし、ストーリーさえ良ければ名作と言われるからって、作り手がストーリーだけに力を入れ、他をおざなりにするのは困ったものであり、作り手には全ての面に配慮して作ってもらいたいのです。
90年代後半以降は、あっという間に恋愛ゲームが増えていきましたが、当初は結構何かに偏った作品が多かったです。
その点、FKSは全ての面に配慮して作られた作品といえ、恋愛ノベルADVの教科書・お手本的と言える非常に良く出来た作品だったと思いますね。

ランク:A-(名作)


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Last Updated on 2024-06-24 by katan

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