『カスタムメイト2』は1994年にPC98用として、カクテルソフトから発売されました。
プレイヤー自らがヒロインを作ることのできるカスタムメイトシリーズ。
本作は、その第2弾になります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
舞台となるのは近未来で、バーチャル体験のできる大型装置「カスタムメイト2」のある店に、主人公は客として訪れることになります。
そこでまず、主人公の名前、ヒロインの名前、主人公の立場、制服(女子高生、ナース、バニーガール)、年齢(制服に沿ったもの)、性格、髪型、バストの大きさ、体型、血液型を決めます。
ヒロインの制服と年齢、主人公の立場を決めることで、基本的なシナリオというかシチュエーションが決定され、その他の項目は口調や外見に変化が生じます。
シチュエーションが決定されると、そのシナリオが始まり、そこからはノベルゲーとして、会話の中で提示された選択肢の中から選択することにより、ゲームが進行していきます。
<感想>
理想のヒロインがいないのであれば、プレイヤー自らが作ってしまえば良い。
ということで、業界で初めてヒロインを作ることに着目した作品が、『カスタムメイト』でした。
そして本作は、そのシリーズ第2弾になります。
こういうカスタムする要素のある作品、具体的にはSLGであるとかSLG要素のあるADVなどいろいろありますが、その2作目を作るにあたっては、方向性は大きく2種類あるように思います。
一つはシステムの改良、すなわちカスタム要素を増やして、自由度を増していく方向性で、もう一つはストーリーの改良等によりストーリー性を増すという方向性ですね。
どっちが良いのかはケースバイケースであり一概には言えないけれど、90年代のこの時期の作品を見ていると、後者の作品の方が多いように思います。
もちろん、純粋なSLGはシステムの改良しかないわけですから、ここで言うのは、カスタム要素がありつつも、多少のキャラ性のある作品を念頭に置いています。
例えば、『キャプテン翼』『無人島物語』『大航海時代』とかですね。
そして本作も、そうした傾向にのっとり、後者のストーリー性を増した方向性の作品でした。
具体的には、女子高生、ナース、バニーガールという3つの基本路線からなり、それぞれのシチュから女の子と結ばれることが目的となっていまして。
したがって、一本のストーリーではなくショートストーリーの集合体というか、ある種のオムニバス作品を連想した方が近いのでしょう。
だからガッツリとストーリーがあるわけではないけれど、シリーズのコンセプトであるヒロイン作り及びその攻略のイメージが強いと、思いのほかにストーリー性があることに驚くように思います。
さて、ここからは後は価値観の問題も絡んでくるので、意見も多少分かれうるのかもしれません。
ヒロインをカスタマイズできるのエロゲは当時このシリーズだけであり、そのオンリーワンな要素の上にストーリー性が加わったのですから、更に進化したと考えることもできるのでしょう。
しかしながら、まずヒロインのカスタマイズに関しては、確かに1作目における業界初という偉業は認めるものの、設定できる項目が少なすぎて、不満や要望も一杯あったわけでして。
仮に基礎システムが及第点以上であるならば、次作はその遊べるシステムを流用しつつ、ストーリー性を増すのも良いでしょう。
しかし、基礎システムに改善の余地が多分に残されているのならば、まずはその基礎システムの改善を優先すべきだと思います。
本作におけるカスタム要素は原画の癖が強すぎることと相まって、あまり自由度を感じられないものでしたからね。
前作では「初」というインパクトがあったから不満点も霞んだけれど、今回はそのインパクトがないだけに、不満点が余計に目立つのです。
また、ストーリー性が増したことは良いのですが、上記のようにプレイ感覚としてはオムニバスなんですよね。
例えば、それこそ80年代のヒロインの絶対数が少ない頃であれば、オムニバス風で多くのシチュが楽しめる作品は需要が高いと思います。
しかし、本作の発売された時期というのは、前年の93年頃から急激にオムニバス作品が増えた時期でもありますし、ショートシナリオではあるけれど、多彩なシチュの作品が増えた時期でもありました。
またオムニバスの多くは、シナリオごとに原画も異なっていました。
つまり作品ごとに異なった原画で、多彩なショートシナリオとヒロインが登場した時期だったということで、同じ原画で制約された幾つかのショートシナリオのある本作では、その個性が埋没してしまうのです。
そしてゲームシステムについても、本作はノベルゲーになります。
80年代に少し見られた後、90年頃にアダルトゲームでは激減しましたが、94年頃には急激に増え始めましたからね。
時期的には、良く言えば旬の構造とも言えるのでしょう。
他方で分岐の多彩な作品も出ていた時期だけに、ノベルゲーというだけでは、もはや特徴足りえなくもなっていたといえます。
<評価>
以上の様な作品でしたので、一応はオンリーワンなのかもしれないけれど、印象としては中途半端で埋没しやすい感じだったのかなと。
上記のように本作だけ見た場合の印象というのではなく、同時期の他の作品との比較という観点が絡んでいるだけに、もし本作の発売があと2年早ければ、全然異なる評価になっていたでしょうけどね。
本作に関しては、癖の強すぎる原画があまり好きになれないとか、ナースやバニーガールというのが当時流行ではあったものの、個人的にはさほど好きではないということで、主観的な満足度は低めでもありました。
その辺の個人的な点は置いておくとしても、オンリーワンでありつつも、どこかしら中途半端な印象を受けるということで、総合では佳作としておきます。
まぁオムニバス全盛時代に劣化オムニバス風にもっていったことに、個人的には疑問があったのですが、厳密な意味では本作と同じ方向性の作品はなかったわけで、刺さる人には刺さるだけの力はあった作品でしたね。
ランク:C(佳作)
Last Updated on 2024-10-10 by katan
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