Close 2U ~最後の夏休み~

2000

『Close 2U ~最後の夏休み~』は2000年にWIN用として、赤ちゃん倶楽部から発売されました。

登場キャラが小学生ということで、非常に話題になった作品ですね。

<概要>

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
ウィンドサーフィンのプロを夢見る双子の兄弟、涼・毅
最後の夏休みを自分の夢にかけようとしていた
けれど、もっと大切ななにかに気づきはじめていた
女の子たちとの楽しい時間 縁日、肝試し、花火大会、温泉旅行
でも、楽しいだけじゃいられなかった 
時間がすべてを変えてしまう 大好きなあの娘が……
子供のままじゃいられない 大人にならないといけない
最後の夏休み 夏と夢とはざまにオレたちの物語が生まれた

<総論>

赤ちゃん倶楽部というと、今はもう分らない人の方が多いと思うけれど、今は私立さくらんぼ小学校として作品を作り続けている、苦魔鬼轟丸さんとみそおでんさんの昔のブランドになります。

本作は、元々は1998年に同人ゲーとして発売されており、本作はその商業用リメイク作品として発売されました。
本来の私の方針からは、オリジナル作品について語るべきなのですが、この作品に関してはオリジナルの同人版をプレイしておらず、本作しかプレイしていません。
そのために、ずっと記事を書いてきませんでした。
オリジナルとどう違うのかは私には分からないのですが、一応今回は例外として、リメイク版である本作を元に書いていきます。

少し余談になりますが、最初は同人サークルとして活躍し、後に商業ブランドとしてデビューするという流れは、今でもよく見かけられる一つの流れだと思います。
その流れが最初に顕著になりだしたのは、おそらく1999年なのでしょう。
当時のエロゲ雑誌などでも、同人から商業へという特集が組まれ、幾つかのブランドが紹介されていましたから。
まぁそれもあって、今後の新ブランドを青田買いするというか、新しい才能をいち早く発見するには同人だという意識が強まり、そうした同人への注目が高まった中に『月姫』が投じられたわけですね。

本作はリメイク作品ですので、新ブランドの完全オリジナル作品ではありません。
そのため、上記の同人から商業デビューへという流れからは、少しずれてしまう部分もあるのですが、広い意味での同人から商業への流れの中には含まれるのでしょう。
同人の尖った作品に注目する人は昔からいて、本作も小学生が主役ないしヒロインということで、当時から非常に話題になっていた作品でした。

もっとも、当時はね、アニメではルリルリ、さくら、どれみ・・・と、妙に炉利が流行っていた時代で、同人ショップ行っても、その手の作品が溢れかえっていましたからね。
個人的には炉利は食傷気味になっていて、だから本作が話題になっているのは知っていたものの、その話題性の正確な中身に関心を抱くこともなく、結果として本作をプレイしたのも数年経ってからでした。
時期というのは大事であり、鬱ゲーが本格的に増える前に本作をプレイした人は、おそらく結構衝撃を受けただろうし、話題になって然るべき作品と言えるのでしょう。

<感想>

さて、上記のように本作は、主人公やヒロインが現役JSであり、その点において他のエロゲと大きく異なります。
まぁエロゲは、建前上は18歳以上と言いつつ、見た目はJSにしか見えないヒロインばかりなんですけどね。
でも、そこであえてJSと明言することに意味があるのです。

もっとも、どうしてもJSに目がいってしまうのは確かなのですが、本作の本質は炉利な女の子にあるわけではありません。
登場キャラが小学生でありつつ、そこから展開される鬱シナリオのギャップが衝撃的で、またそのシナリオが良く出来ていたからこそ、話題にもなったのです。
このジュブナイルとしての魅力は、今でも「さく小」の作品に反映されていますので、それらをプレイすると何となく分かると思います。
本作は、後の作品と比べると荒削りではあるのですが、いうなれば苦魔鬼轟丸さんの原点となるわけですね。
keyの麻枝さんで例えるならば、本作は『MOON.』ってところでしょうか。

こういう作品は今までになかったという観点からは、本作は十分に名作級のインパクトがありました。
ただ、本作のストーリーの内容がね、これ小学生じゃないだろと、高校生とかの悩みを小学生を使って表現したみたいな違和感があり、それで私の評価は伸び悩んだんですよね。

例えば2000年には『螺旋回廊』という作品があり、狂気ゲーの代表として人気になりました。
しかし世間の評判に比べ、私の評価は低くなっています。
それは、主人公の思考や行動が、その年齢に鑑みて幼すぎたからです。

本作は、その逆になりますね。
小学生の物語にしては少し大人びていて、もう少し大人の物語を、炉利を見せたいために小学生でやったような、ちょっとした違和感があったものですから。
したがって、苦魔鬼轟丸さんの鬱シナリオという、後の作品に通ずる本質部分は本作に含まれているものの、子供らしいジュブナイルとしての魅力は、後の作品になって確立していったというところなのでしょう。

<ゲームデザイン>

それから、本作は一応ノベルゲーとしましたが、マス目のある簡易マップ上から移動していくタイプの作品になります。

問題なのは、システムがとても酷かったんですね。
当時の基準であっても、これはないだろというくらい酷かったです。
私はシステムでのマイナスは最小限に考える方ですが、システムが悪い作品は楽しめないって人だと、
まず本作は楽しめないと思います。

<評価>

名作級のインパクトはあれど、それを全て台無しにしてしまうような劣悪なシステム。
絵も良く変化するけど、デッサンは微妙でしたし。
ストーリーも、個人的には気になるところもありましたしね。
総合すると、ギリギリ良作ってところでしょうか。

当時でも微妙なシステムなので、今だと更に厳しいものがありますが、さく小の原点ともいえる作品ですからね。
そういう意味では、ファンなら一度はやって損しない作品でしょう。
まぁ、苦魔鬼轟丸さんのジュブナイル作品を知らない人は、今ならまずは「セカケンシリーズ」をやって欲しいです。
それでハマったならば、本作にも注目してみてはってところでしょうか。

ランク:B-(良作)


オリジナル版
CLOSE 2U[プレス版] / 赤ちゃん倶楽部
Close 2U

Last Updated on 2025-01-28 by katan

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