Chain 失われた足跡

2001

『Chain 失われた足跡』は2001年にWIN用として、ZyXから発売されました。

地味ながらも、しっかり作られた作品でしたね。

<概要>

ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

あらすじ・・・
土砂降りの雨の中歩いて行くトレンチコートとずぶ濡れになって佇む少女の出会い。
事件の兆しはすでにこの時にあったのかもしれない…。
東雲(しののめ)武士、都会の暗部を己の才覚のみで渡りきる腕利きの探偵。
雨の中出会った少女「歩」が呼び込んだ電話。
歩の姉である沢渡鞠絵から受けた依頼内容は、平凡な浮気調査だった。
しかし、平凡なはずの調査は、やがて殺人事件へと発展していく。
…失われて行く事件の足跡。
果たして武士は事件を解決へと導けるのか?

<感想>

ZyXは、90年代後半は、『淫内感染』シリーズがヒットしていて、かなり勢いがあったのですが、ゼロ年代に入る頃から、急激に勢いが衰えていった印象があります。

私は、原画の武藤慶次さんの描くキャラが大好きなのですが、当時の萌え絵とは明らかに異なりますので、流行の絵柄でなくなっていったことが大きいのでしょうか。
まぁ、本作については、絵柄以外にも理由があり、埋もれるべくして埋もれたというイメージではありますが。

さて、本作は、公式にはハードボイルドアドベンチャーとされており、いわゆる推理系の作品になります。
プレイヤーの視点が飛ぶことがあるということで、一部ノベルゲーみたいな構造にもなっていますが、基本的には一本道のコマンド選択式ADVになります。
とくに詰まるところもないので、ストレスなくさくさく進むのは良いのですが、その分というか、遊び要素がないことから、コマンド選択式が好きな人に対しても、もの足りなさを与えます。
他方、一本道であることから、ノベルゲー好きにも、もの足りなさを与えるので、結局どちらのユーザーからも、高く評価されにくくなっています。
コマンド選択式の短所をなくそうとして、一緒に長所もなくなったわけで、その辺の調整は本当に難しいなと思います。

ストーリーについては、とにかく地味です。
この当時、ユーザー受けしやすいのは、脈絡がなくても、派手でインパクトのあるストーリーでしたからね。
そういう意味でも、時代とあっていなかったのでしょう。
私もプレイしていて、なんか地味だなと思ったものです。
ただ、本作は地味ではあるのですが、推理の過程を途中でも示し、1つずつコツコツと前に進んでいくわけでして。
こういう作品は他にはほとんどないよなと思うと、これは評価すべきなのではと思えてきます。

それから、音声ですね。
ZyXは、早くから音声に対応していたこともあり、音声の使い方が非常に上手いですし、凝っています。
本作の発売された時期を考慮すると、この音声へのこだわりは、他所のブランドよりも確実に前に進んでいるといえるでしょう。
当時よりもむしろ今になってあらためて振り返ってみると、ZyXって実は凄かったんだなと思わされます。

<評価>

私個人の主観的な印象からすると、佳作相当かなと思いますし、当時であれば佳作と言っていたのかもしれません。
ただ、あらためて振り返ってみて、他のブランドが手を抜いたり力をいれていないところでも、きちんと作っているということで、これはこれで代わりのない作品なのかなと思い、総合ではギリギリ良作としておきます。

こういうエロゲは、今後ほとんど出てこないでしょうから、その意味でも貴重な作品かもしれませんね。

ランク:B-(良作)


DL版

Last Updated on 2025-03-01 by katan

タイトルとURLをコピーしました