『CARNIVAL』は2004年にWIN用として、S.M.Lから発売されました。
桑島由一さんが原作・監修で話題となった作品であり、同時に瀬戸口廉也さんのデビュー作になりますね。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
先輩であるエイミとミサワからいじめをうけている主人公マナブは昔から嫌な事があるとその記憶を無くしてしまう癖があった。
いつものようにミサワに呼び出され屋上へ行くと、マナブへのいじめについて抗議する幼馴染のリサの姿があった。
逆上したミサワがリサに掴みかかった瞬間からマナブの記憶は途切れてしまう。
次に覚えているのは、首を切られ血の海に横たわっているミサワと、着衣を乱し気を失っているリサの姿だった。
記憶が途切れ、曖昧な供述しかできなかったマナブは事件の容疑者として逮捕される。
だが、護送中のパトカーが事故を起こしマナブはその隙に逃亡する。
勢いで逃げたもののいつかは捕まってしまうだろう。
「ならばせめて、捕まってしまう前にリサにハンカチを返そう」
中学の時、いじめられて怪我をしたマナブに差し出されたハンカチ。
返そうと思いながら、今でもお守りとして持っているものだった。
決意したマナブが公園で身を潜めていると、そこにリサの姿をみつけた。
行くところが無ければ自分の家に来ないかと提案するリサ。
自分がこんな状況になってしまったのは全て自分に対するいじめが原因だと結論付けたマナブは
この事件をきっかけに今までの弱い自分を捨て、行動力のある人間になろうと決意するが…。
<感想>
この作品、瀬戸口廉也さんのデビュー作なんですよね。
いや、デビュー作だから知らないだろって話もありますがそうではなく、私は桑島由一さんの作品と認識していたからなんですね。
たぶん、当時のプレイヤーのほとんどはそうだと思います。
狂気を扱った面白い作品があるとの噂は聞いていたのですが、発売当時はラノベ作家になった桑島由一さんが手がけた作品として、そっちの方で話題を呼んでいたように記憶しています。
まぁ、実際には桑島さんが原作で、書いたのが瀬戸口さんということなんでしょうけどね。
そういうわけで、当時をリアルタイムで過ごした人からすると、本作は桑島さんの作品というイメージが強く、この作品と瀬戸口さんがつながっていなかったのですよ。
なお、桑島さんは、『カナリア』等を制作した後、2003年には『神様家族』でラノベ作家となっています。
エロゲのシナリオライターからラノベ作家になるというのは、ゼロ年代以降に出てきた傾向ではありますが、その先駆けというわけですね。
また、ラノベ作家になった後はエロゲに戻らない人もいる中、エロゲにまた戻ってくるという意味でも、先駆けだったのでしょう。
さて、具体的な中身に入りますが、本作は、狂気を扱ったストーリー重視作品になります。
結構頻繁にHシーンもありますし、狂気系の凌辱作品とも言えるでしょうか。
こういうタイプの作品、つまり恋愛メインではないストーリー重視作品は、90年代までであれば、ダーク系と呼ばれ、人気ジャンルの1つでもありました。
しかし、ゼロ年代に入るころから、ストーリー重視作品については、巷でシナリオゲーと呼ばれる、恋愛系の作品ばかりになりました。
他方で、凌辱要素がある作品については、抜きゲーと呼ばれるH重視の作品ばかりになりました。
つまり、シリアスで恋愛要素がメインでないストーリー重視作品も昔はあったのに、次第に廃れていったわけですね。
だからまぁ、私はコラムとかでエロゲの多様性が失われていったと書いているわけですが、今回の本題ではないので、これ以上は深入りしません。
いずれにしろ、90年代まではあったのに、ゼロ年代に入り絶滅にいたったジャンルがダーク系といえるのでしょう。
絶滅にいたるくらいですから、当時のユーザーの主流層に人気がないということであり、売上は見込めないのでしょう。
しかし、ダーク系が好きな人、ジャンルとして知らなくても潜在的に好きそうな人はいるわけで、本作はそういった層の受け皿になった作品といえるのかもしれません。
ただ、確かに狂気を扱っていて一般的な流れは踏んでいるものの、どうにも予想の範疇で全てが終わってしまうんですよね。
ストーリーそのものには特に意外性もないので、結局のところ、本作を気に入ることができるかどうかは、テキストを気に入ることができるか否かにかかってくるのでしょう。
そういう意味で、本作が桑島作品ではなく、今は瀬戸口作品のように扱われているのも、納得できるように思います。
それから、個人的な推測にはなりますが、本作をいつプレイしたかも、少なからず影響しているのではないでしょうか。
本作は、今はどうなっているか知りませんが、当時は割と評価は極端に割れていたように思います。
90年代までのダーク系を知っている古参ユーザーだと、本作のような作品は特に目新しいものでもなく、他方で昔の作品と異なり本作はほぼ読み物に近いことから、否定的な印象になりやすいのかなと思います。
他方で、ゼロ年代以降にエロゲデビューした層とかだと、ほぼ読み物という作品に抵抗はないですし、他方でダーク系に馴染みがないことから、とても新鮮でインパクトのある作品に見えたのではないでしょうか。
私は前者なので、本作をプレイしていて面白いとは思えなかったのですが、ユーザー層やプレイ遍歴を考慮すれば、刺さる人もいるのかもなと思った次第です。
ちなみに、私は読んでないので分かりませんが、本作には後日談を扱った小説があるようです。
どうやらそれと合わせて一つの作品みたいですし、そこまで読めば、もう一つ踏み込みが足りないと思った私の印象もかわったのかもしれません。
でも、それは、このゲームとは一緒の物ではありません。
あくまでこの作品の中で考えた場合、本作は未完成な作品だと思うのですよ。
OPは非常に良かったですし、グラフィックは立ち絵に癖はありますが、一枚絵の構図とかは良いものもあっただけに、もったいないなと思いました。
<評価>
総合ではギリギリ佳作とします。
ストーリーやゲームとしての構造といった中枢部分だけなら凡作相当と考えますが、上記のとおり、OPや一部のCGが良かったことから、その分を上乗せして、というイメージですね。
ダーク系という好きなジャンルだけに期待したかったのですが、好きなジャンルゆえに物足りなく感じてしまった作品でした。
また、ほとんど読むことだけを意識した作品であり、後に小説も出ているくらいであることから、素直に最初から小説で読ませてもらった方が良かったように思います。
できれば、最初から完全な作品をプレイさせてもらいたかったものですね。
ランク:C-(佳作)

Last Updated on 2026-01-12 by katan


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