『僕のこと彼らのこと』は2007年にWIN用として、J-amから発売されました。
思う存分、自由奔放に作っているなと。
演出面の素晴らしさが第一だけど、理屈抜きにしても楽しい作品でした。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
商品紹介・・・椎名高校に入学した久賀龍汰は、入学早々、2年の八巻京介に絡まれる。
体育倉庫に呼び出され、痛い目を見るかと思いきや「付き合ってくれ」と告白され、久賀は大混乱。
「無理です」とあっさり断る。諦めきれない八巻は久賀に無理やり迫る。
が、そこに救世主のように現れる謎の人物、春都。
変なアメリカ人のアクセル・キングスレイとヒゲメガネの教師、西緒先生など個性的なキャラクター達がおりなすボーイズラブ学園ADV。
<感想>
本作は女性向けの、いわゆるBLゲームになります。
同人作品であり、12歳以上推奨になっています。
総プレイ時間は同人としては長めであるものの、END数が25もあるため、1プレイは短めですね。
舞台が学園で、そこでの数日間描いたということもあり、物語を深く掘り下げるというよりは、ドタバタ系の学園コメディとして、多くのENDを見ながら、とにかく単純に楽しむって感じ。
キャラも皆立っているし、ENDも含め丁寧に描写されているし、非常に良質な学園ラブコメです。
いや、これ、理屈抜きにしてもマジで楽しいです。
何時間もプレイして、ようやく面白さが出てくる作品も多い中で、この作品の楽しさはすぐに伝わってきますからね。
体験版をやっただけでも分るし、それどころかOHPのストーリー紹介やシステム紹介を見ただけでも、面白さが伝わってくるというものです。
百聞は一見に如かずじゃないけれど、せめてOHPの紹介だけでも見て欲しいな、これ。
そうしたら絶対体験版がプレイしたくなるし、その次は本編がプレイしたくなるわけで。
それだけ作品の方向性やキャラの個性が際立っているということでもあり、とにかくプレイしていて楽しい作品でしたよ。
<グラフィック>
たぶんこれ、シナリオだけでも十分楽しめたのでしょうが、そのシナリオを支え、切っても切れない関係にあり、そして本作最大の魅力と言えるのが、グラフィック及び演出なのでしょう。
グラフィックは、塗りは完全に自分好みですね。
こういう色使いの作品は単純に好きなのですよ。
原画に関しても、例えば主人公は野郎にいきなり告白されるけれど、そうなっても仕方ないくらい可愛いですし。
BLゲーだけど、自分の中では男の娘ゲー的な印象だったり。
というわけで、原画も塗りも非常に好みな上に、CG枚数という客観的な量も差分抜きで130枚と、平均的なフルプライス作品超えていますしね。
ちなみに、差分含めると400枚超えます。
この絵とシナリオが組み合わさっただけでも、十分に良作です。
そしてそこに、演出が加わるわけですね。
本作では、背景と一般的な立ち絵の他に、随時カットインも入れ、そこに細かい表情のエフェクトも加えています。
さらに、セリフも吹き出し式にしたり、背景の中に人物を溶け込ませたりと、あらゆる手法を取り入れたって作品なのです。
吹き出し式のセリフや漫画的な表現方法というと、ゼロ年代前半のリトルウィッチのFFDシステムが有名ですが、本作はFFDシステムと言うよりも、Project-μのノヴェルシアターPLUSの方が近いかな。
ノヴェルシアターPLUSにFFDを足したような構造ですね。
ゼロ年代前半においてノベルゲームにおける表現方法として突出していた、そして方向性の異なっていた二つの手法が組み合わさったわけですからね、ある意味最強ですよ。
でも、本当に肝心なのは、どんなシステムを用いたかではなく、どのように用いたかなのでしょうね。
本作をプレイしていて、本当に自由奔放に制作しているなと、ゲーム中のあらゆる場面で画面の端から端までフルに使って、存分に暴れているなって印象を受けました。
画面全体を用いてプレイヤーを楽しませようって意識が、ハッキリとこちらに伝わってくるんですよね。
こういう姿勢こそが大事なんだと思います。
物語の内容が奇抜で複雑ならば、ストーリーに専念させるためにシステム面で守りに入るのもありでしょう。
逆に王道な内容を扱うのであれば、演出など違う部分で暴れないと。
文字でしか勝負できない小説と異なり、ゲームはテキストの他にも絵でも音でもシステムでも、様々な部分で勝負しうるわけですからね。
全部が挑戦なんて作品は作れないし、仮に作っても誰もついていけないおそれがありますので、そんなの誰も期待しないでしょう。
だから、オーソドックスで皆が安心して楽しめる要素がありつつ、それでいながら、どこかしらでおもいっきり暴れて欲しいのですよ。
そして本作は、その勢いがとにかく優れているのです。
<評価>
これを褒めないで、一体何を褒めるの?
・・・ってくらい、誰がやっても楽しめそうな良質な作品でした。
まぁ、BLゲーは全くダメって人には向かないですけどね。
それと壮大であるとか号泣するって類の作品でないので、マイベストって思われる類の作品ではないし、少し動きがもっさりしていることもあって、個人的にも点数は抑え目になっていますけどね。
でも、どんなに低く見ても、これは名作でしょう。
BLゲーを主戦場にしている人はともかくとして、そうでない人は、例えばこのサイトに頻繁に訪れてくれている人でも、この作品に辿り着けない場合も多いでしょう。
同人の一般PCのBLゲームですからね。ふるいの数が多すぎます。
本作は、まずはBLゲー好きな女性向けであることは間違いないですが、個人的には男性向け商業エロゲに疑問を持ち始めた人にプレイして欲しいなと。
あなたは何故、商業作品にこだわるのですか?
あなたは何故、アダルトゲームにこだわるのですか?
あなたは何故、男性向けゲームにこだわるのですか?
そしてそのあなたのこだわる理由は、あなたがノベルゲーを選択する上で、絶対に譲れないものなのですか?
俺は男性向け抜きゲーしかプレイしない、求めるのはエロだけという人もいるだろうし、それは考えとして十分ありなので、その人には本作はすすめないですけどね。
でも、そうでないのならば、本作自体は素直に楽しめる単純に楽しい作品なのだけれど、ある意味男性向けエロゲの対極にある本作をプレイすることによって、ノベルゲーの新たな可能性を見出したり、これまで手を出していなかった分野に興味を持てる人も絶対にいると思うな。
本作は、そういう魅力も秘めた作品なのだと思います。
Last Updated on 2026-03-15 by katan



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