『僕は彼女の浮気を知っている』は2020年にWIN用として、アトリエさくら Team.NTRから発売されました。
原画:ジェントル佐々木、シナリオ:おんぼろ月ということで、期待した作品だったのですが・・・
<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
あらすじ・・・
ヒロイン山中紗枝と主人公の博は子供のころからの腐れ縁であり、恋仲。
現在は紗枝が遠方の大学に通っているため、遠距離恋愛中。
ある日博が彼女の家へ行くと、中から紗枝の喘ぎ声が聞こえて来た。
自分以外の男とセックスをしている──
裏切られたショックに憤る博だったが、同時にかつて感じたことのない強烈な興奮が彼を襲った。
一体どんな表情で、そして仕草で、自分以外の男を受け入れているだろう。
知りたい。自分以外の男とどんなセックスをしているのかどうしても知りたい。
歪な欲求に突き動かされた博はついに行動を起こす。
愛する彼女の浮気セックスを見たいがために。
<感想>
主人公はゲーム開始時から、ヒロインが他の男とHをしていることを知っています。
寝取られ(NTR)ゲーの楽しみ方はいくつかありますが、主人公がヒロインのNTRを当初から知っている場合、不意打ちのような衝撃はありませんし、ヒロインが堕ちていく過程を楽しむという観点からも、少し弱くなってしまいます。
そのため、NTRという観点からは、どうしても弱くなりがちな設定といえます。
では、このような設定自体がダメなのかというと、決してそうではありません。
青は藍より出でて藍より青しという言葉がありますが、NTRから派生しつつも、異なる楽しみを生み出したジャンルとして、寝取らせ(NTS)というジャンルがあります。
NTSの場合、主人公は、ヒロインが他の男とHしていることを知っています。
そのうえで、あえてその状況を楽しんだり、むしろ自らヒロインが間男とHするよう仕向けます。
そのような主人公の心境を楽しむというのは、NTRの主人公の心境を楽しむのとは異なってきますよね。
だから両者は、似ているようで全く異なるジャンル・性癖なのです。
そして、NTRとNTSの大きな違いは他にもあり、それは、主人公が受動的なだけか、それとも能動的に関与するかにあります。
つまり、主人公がヒロインの裏切りを知っているだけではNTSとはいえず、それだけではNTRのままです。
その状況の中で、主人公が主導権を握って能動的に関与することにより、初めてNTSというジャンルへと昇華するのです。
だから、NTRの主人公は受動的なだけでも足りますが、NTSの主人公は、状況を把握したうえで、いかに能動的に関与していくのかが大事なんですよね。
前提部分が長くなってしまいましたが、本作の主人公は、最初からヒロインが裏切り、他の男とHしていることを知っています。
そして、その後のストーリーは、ただ単にヒロインと間男とのHを盗聴するか覗き見をするか、そのどちらかをするだけです。
上記のとおり本作の設定では、NTRとしての魅力は、どうしても弱くなりがちです。
だからこそ、本作を面白くするためには、NTSとしての魅力を追求すべきだったのでしょう。
しかし本作の主人公は、ただ傍観しているだけであり、能動的に何かしていくわけではありません。
つまり、NTSに昇華されていないのです。
個々のテキストがどうかとか、そういう次元ではなく、もう構造的にだめなのです。
NTRとNTSは違うものであり、その違いを意識して、自分が何を作ろうとしているのかを意識しなければ、どっちつかずの面白くない作品になることは目に見えています。
NTR分野では定評のある方たちの作った作品だけに、何を考えてこの企画でいこうと思ったのか理解に苦しみます。
<評価>
ストーリーに関しては駄作レベルといえるでしょう。
ただ、原画は良いので、CG集としては楽しめることから、CG集と割り切るならば満足できるように思いますし、それだけで元がとれるという人もいると思います。
そのため、総合ではギリギリ凡作といったところでしょうか。
もうネタが出し尽くされたかのようなNTRとは異なり、NTSはまだまだ未開のジャンルであり、今後の可能性を持ったジャンルだと思います。
もともとは力のある制作陣だけに、できればNTSゲーでリベンジしてもらいたいものですね。
Last Updated on 2024-08-06 by katan
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