『赤線街路 ~昭和33年の初雪~』は2007年にWIN用として、C-sideから発売されました。
アダルトゲームでは珍しい、昭和中期を舞台にした作品になります。
<概要>
ゲームジャンルはノベル系のADVになります。
商品紹介・・・終戦から10年を経た昭和33年の冬。
日本には特別に売春を許された地区が幾つも存在していた。
その特別地域は警察の地図に赤い線で記されていた事から、「赤線」と呼ばれ、人々の欲望と侮蔑を一手に引き受けていた。
主人公はそんな赤線のうち一つである玉柳に足を踏み入れた少年、如月真之。
真之は戦後の混乱期、幼少の頃生活の為に娼婦に身をやつした母を追って赤線街・玉柳に入った。
国会での売春防止法制定を受け、赤線街はあと数カ月で失われる。
手がかりを失う前にと玉柳を訪れるが、母の手がかりは無く途方に暮れる。
疲れ果て倒れる真之。
そんな彼を介抱してくれたのは、不思議な落ち着きをもった空崎静枝だった。
彼女は玉柳の赤線宿「薫屋」の娼婦。
静枝はこの街で母が見つかるまで真之を保護してくれる事となった。
赤線街での日々繰り返される生活と人情と情事。
子供としての無力さと恋を覚え、成長をする真之。
いつしか少年の小さかった手は、大事な者を守れるほどに成長して行く。
そして、真之は母と再会する時、何を思うのか?彼の手は、いったい何を、誰を守るのか?
赤線の灯が消える、昭和33年の春――運命の日は静かに迫っていた――
<感想>
アダルトゲームに限らずゲーム全般において、大正時代を舞台にした作品はそれなりにあるものの、昭和初期や中期を舞台にした作品はほとんどないように思います。
とにかく、その頃を扱った作品がやりたいということで、それで目に入ったのがこの作品でした。
今はマニアックなシチュとかでも、それなりに数があります。
その一方で、舞台や設定という観点からは、似たような作品が多いと思います。
今は特定の属性の作品を探すよりも、こういう特定の時代を限定した作品を探す方が難しく、希少なのかもしれません。
したがって、まずはこの設定で作ろうとした点を素直に評価したいなと。
小説の場合、小説家は作品を作るに辺り、いろいろ事前に調べることも多いでしょう。
しかし、アダルトゲームのシナリオの場合、これは良く調べたなと思わされることは、ほとんどありません。
ライターの脳内に既にあるもの、脳内で考えただけのものを、単にはき出しているだけって感じの作品も多いですし。
本作には用語解説もありますし、それが最適な手法かは議論の余地が残るものの、それでも真面目にこの時代に取り組もうとしたのだろうなと、作品に対する意気込みと努力は伝わるわけで、その点だけでも他の作品より印象が良くなります。
また、単に昭和を舞台にというだけであれば、それこそどっかの夕日でも見とけよとなりかねないですが、昭和の風俗を題材にした辺りも、アダルトゲームっぽくて良かったです。
全体の雰囲気も良かったですし、プラス要素は以上のようなところでしょうか。
賛否分かれそうなのは、テキストでしょうね。
無駄に長いテキストが増えている中にあって、本作はあっさりめ。
私は無駄に長くだるいよりはよっぽど良いと思うのですが、最近のユーザーには受けないタイプかなとは思います。
それと、あっさりめであるために、盛り上がるところも盛り上がりきらず、個人的にはマイナスにもならないけどプラスにもならない感じですね。
他方で、マイナス要素は主人公でしょう。
基本的に舐めたようなガキは苦手なもので。
本来ならこういう主人公ってだけで敬遠しかねないのですが、今回は舞台を優先して選んだので仕方ないですね。
まぁ成長物語で成長しているのだから良しと考えうるので、気にならない人もいるのでしょうが。
<評価>
このテキストと主人公で現代ものをやられたら、おそらく凡作と言っていたのでしょう。
今回は題材と、それに対する姿勢の勝利という感じですね。
少し悩んだのですが、良作に近い佳作としておきます。
いずれにしろ単純に自分が楽しめるかって観点で考える人だと凡作に感じ、本作の持つ希少さなどを重視する人だと良作に感じやすい作品なのでしょう。
個人的には昭和中期に限らず、もっといろんな時代の作品が増えてほしいと思いますね。
Last Updated on 2026-03-22 by katan


